表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

決意

以前の投稿からだいぶ期間が開きました。何故でしょう。

「真っ当に自らを磨き、そして玉座を志す者が増える。喜ばしいことですわ。わたくしも一層身を引き締めねばならぬようです。」



そう穏やかに言い切ってみせるエレノアを眺めつつ、私は焦る。もう少しでいいから必死になって欲しい気持ちと、私ばかり焦っているのだという事実。それらが重なれば、どうしても気持ちは急いてしまう。

繰り返すようだが、貴族という生き物の大きな特徴の一つには、メンツと見栄、それから誇りを重んじるというものがある。

有り体に言ってしまえば、とんでもなくプライドが高い。名誉を貶められたまま生き長らえるくらいならば、名誉ある死を選ぶ!と心の底から言える者が少なくないことからもお察しだ。

何を馬鹿なことを…と思う心はありつつ、確信を持って言える。


──アルヴィンなら、やる。


嗚呼、そうだ。確信を持って“やる”と言えてしまう。他ならぬアルヴィンである私が、そのプライドに欠片程しか疑問を抱けていないのだから!

ゲーム内のアルヴィンだけならいざ知らず、私は違和感にしっかり思い当たってしまっている。故に断言出来る。

…仮にそうなれば、我が家は私含め反旗を翻すな。と。

私本人が狙い撃たれ、半身となるならまだいい。私の腸が煮えくり返るだけで済む。

問題は他の攻略対象を攻略された挙句、赤のJokerになられる事態だ。そうなれば私は側配偶者となる訳だが…。そちらは私個人では何ともならない問題があるのだ。


第一に、山のように(そび)える私のプライドが許さない。想像するだけで屈辱的だ。掻き毟りたくなる。

やはり幼少からの教育が人物の価値観において多大なる影響を及ぼすというのは間違いではないのだろう。21世紀日本の記憶があるにも関わらず、すっかり貴族マインドだ。

…と、いけない。思考が逸れてしまった。


気を取り直し第二、こちらが問題だ。私の実家はスペードのKing、ノルドヴァル公爵家であること。

四つの領には当然独自の特色があるのだが…運の悪いことに、スペードは軍事に優れた。

軍人気質と言えばいいのか、真っ直ぐな気質と内部への身内意識を強く持つ者が多く、実力主義なところも多分に見られる領である。

つまるところ、曲がったことが大嫌い且つどこよりも軍事力に優れた領が私の後ろにある…と言えば、この不味さが解るだろうか。


赤のJokerの半身に選ばれている時点で、私は一定以上優秀と言える。公爵家からしたら自慢の息子だろう。

その自慢の息子が、他の者では王配としての実務が務まらないからという理由のみで、側配偶者にされる…ともなれば、公爵家は当然キレる訳だ。

その上準独立国家級とされ、領内のことはほぼ我が家が取り仕切っているとなると、反乱は()もありなんと言ったところだろう。


本来のアルヴィンであれば、なんだかんだと理由を付けた手紙でも送り、家族を宥めたのかもしれないが、私にその気は一切ない。王都は四季から三季に、夜も半分なってしまうな…。としか思えない。

現代日本人であった頃の感覚から、今の今まで引きずり続けた政治への興味のなさが出てしまっているが、本当にそうとしか思えないのだ。


然し反乱を起こしたい訳ではない。ぶっちゃけ面倒なのだ、反乱は。事前準備、事後処理、etc。

これで反乱が起きれば私が渦中の人となってしまう以上、避けれるならば避けたい。指揮官も人質も御免こうむるのだ。…いや、王の半身は緩く人質としてのニュアンスもあるのだが…それは置いておく。

つまり、今言うべきはこれだ。



「えぇ、そうですね。喜ばしいことです。私もより一層努めて参ります。」



──貴方を王にする為に。そう心の中で付け足す。

私からしても反乱は思わしくないし、プライドも傷付く。なれば長く共にあり、情もあるエレノアには是非とも王になってもらわなければならないのだ。

そう、偏に私のプライドと、我らが国の安寧(我が家の反乱阻止)の為に──!


机の下、決意を胸に左手を固く握り、自身を鼓舞する。

そうだ、将来国を担う覚悟は既に決まっていたのだから、何も問題はない。エレノアの圧にたじろぎはしたが、それはそれ。我々が目指すべきは、以前と変わらず優れた王。

そこに(私にとって)恐ろしく大きい“負けられない理由”が一つ生えただけ。幸い脅威であるということだけは認識出来ている。なれば、その脅威を常に上回り続ければいいだけの話だろう。

熱血な体育会系のような根性論(たわごと)を信じ、実行することになる我が身を哀れんだとて、もはや仕方ないのだから…。

実はとんでもない領からお婿(未婚)に来てるアルヴィン君。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ