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整理

──詳しく整理しよう。ゲームでの描写と、この世界のシステムを一緒に考えるのがいいのかもしれない。

まずは…今がゲームのどの時間か、だろう。これは確実に分かっている、プロローグ前だ。

作中の我々は王立学院第3学年、今は第2学年終業間際、終月(おわりづき)の第1週2日目。前世の感覚で言うのなら年度末に近い時期、暦で言えば12月上旬にあたる。


この世界では春から新年が始まる為、1月に相当する芽月(めつき)が季節の上では既に春なわけである。

つまり年末と年度末、年始と年度始めが重なっている。12月と卒業式、1月と入学式が重なっていると言えば分かりやすいだろうか。…と言っても、年始にはデビュタントもある為、始業は年始からひとつばかり月がズレるのだが。

デビュタント後すぐからの社交期は、貴族と認められた新成人が顔を覚えてもらう為にあちこちのパーティに参加する。それがある故に元が貴族子女の教育機関である学院は、この時期からの始業はしない。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


プロローグは今から1ヶ月後、芽月。主人公のデビュタントと、その後に開催される夜会が舞台だ。

昼間デビュタントを終えて貴族となった新成人たちの為に、毎年王宮で開催される夜会が存在する。強制参加というわけではないが、夜会の流れを教える側面のあるこの会にはほとんどの者が参加する。建前は自由参加、実情としては参加しないと噂をされることが想像に難くない、というところだろう。

もうじき3年前になるが、エレノアと私も例に漏れず、デビュタント後の夜会へ手を取り合い挑んだ。

そして夜会の席には親や兄姉や後見人など、新成人以外も広く呼ばれるのだ。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


夜会。踊る気になれずホールを眺めていた主人公は、最有力Joker候補たちが婚約者と踊るのを見る。…自分には許されない赤や黒の衣装で踊る、次期王と目される幾つか年上の優秀な親族を見ることになる主人公だが、そこで思い出してしまう。



「最有力とは、支え合う相手を得て、この組み合わせならば国を任せられると判断された者に過ぎず。」



という教育係の言葉を。

そう、この世界では片方だけが優秀ではダメなのだ。どちらも優秀であることは前提で、考え方であったり、視野の違いであったり、大人たちから見てバランスの良さそうな者たちを婚約させ、最有力としている。

この際、性格が合うかはあまり重視されない。多分本人たちで努力してくれということだろう。


つまり主人公も支え合う半身を得て、自身と相手双方の優秀さを見せられれば、王位を継げる可能性があるのだ。

王家の子供は全員、王になる前提で教育されている為、形式上は誰もが王位に就けることになっている。

現段階では候補者に優劣はないとされているし、王位継承者を目指すなら、法的に成人した継承者正式発表前の今となる。


──というのが、プロローグである。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


主人公が何を思い王になりたいのか、ゲーム内で言及はなかったが、貴族の世界は建前で出来ている。優劣がないなど勿論建前に過ぎず、貴族なら誰しも知っている。

最有力候補とは、次代の王であると。

王宮内での教育や公的な扱いに差はなくとも、貴族からの見られ方は確実に異なる。

その上、主人公は努力家だ。努力をしているのに、婚約者…半身の有無で最有力とは呼ばれない…そこに思うところがあっても不思議ではないだろう。


それで移動させられる可能性のある側からしたら堪ったものではないが。


そして私はと言うと、赤の最有力候補者の婚約者、次期王の半身ポジション。つまりプロローグの夜会で踊っている内の1人、2人いるメイン攻略対象の1人である。

先程までの衣装合わせは夜会で着るものの確認であり、私はそこでスチルで散々見たドレスを初めて直に見たということだ。何周かしたゲームだったこともあり、どうやらプロローグスチルはかなり記憶に残っていたらしい。


メイン攻略対象が最有力候補者の婚約者とは…と呆れてしまうが、仕方がない。幼い頃から次代の王の半身として教育を受けてきた、かなり優秀な人材なのだから。

そして、その婚約者さえ落とせれば、簡単に最有力候補の1人を引き摺り下ろせるのだから。


最有力候補の婚約者は、もし違う人物とのルートだったとしても、どちらかは必ず側配偶者にはされる。

王の半身としての教育は、婚約者本人しか受けていない。王の半身になる予定なのだから、実家で跡取り教育をされている筈もなく、そこしか居場所がないとも言える。


運よく黒を…つまり私が側配偶者にされないルートを目指してくれればいいのだが、楽観視をしてはいられない。

それに、主人公は頑張っているからと言ってはいるものの、それがどうした?としか私は思えないのだ。

エレノアが頑張っていないとでも?…私は、エレノアを支えるのだと言われ、思い、覚悟だってとっくに決めた上で頑張っているのに?そう思えてならない。


あくまで最悪の場合ではあるし、ゲームをプレイしていた時はそういうものだと気にも留めなかった気がするのだが、当事者になり、シナリオも知っているとなると甚だ不愉快だ。

シナリオライターも、主人公も別に悪くはないと知っていれど、この不快感は暫く治まりそうになかった。

《用語》

春:芽月・若月・花月

夏:陽月・熱月・盛月

秋:実月・収月・静月

冬:冷月・眠月・終月

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