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第2話 お金の価値

今回はお金の価値について。

計算が面d…げふんげふんので日本円にしました。

まぁ、色々ありえないかと思いますが其処はご容赦を。




この世界に来て吃驚したのがお金の価値だ。


普通こういう異世界物の小説だと金貨とが銀貨とか銅貨とかでちょっと分かりにくかったりするものだがなんとここでのお金の値は円と呼ぶらしい。


銀子さんのKYOUIKUの中にはこの世界の情勢、地理、歴史、一般常識等多岐に渡り、更には魔法知識、護身術と称した”何か”と安くて質のいい卸店や近くのおいしい食堂など必要なものから必要でないものまで教えてもらっている。


勿論その中にお金の価値というものがあって聞いてみると日本と変わらない呼び方で呼称されているではないか!


計算しやすくて助かっているが何か釈然としない物を感じつつ僕は銀子さんから様々な事を教えてもらった。




なぜここでお金の価値が出てくるかって?


うん、それはね…。



「てんちょ~っ!お願い!!お金無いからツケといて!!」


冒険者になると財政難からかこういう客も出てくるのだ。


勿論、こういう客は極少数であり、普段からキチンと計画を立てて迷宮に潜って無駄遣いをしなければこういう事にはならない。


「…アーべ、君は先月も同じ事を言ってそのツケを払っていないじゃないか。」


溜め息を吐きながら無駄遣い冒険者の一人である目の前の青年を睨み付ける。


彼の無計画さは磨きがかかっており、よく組んでいるパーティーのリーダーの話では『奴に財布を握らせると碌な事が無い』と言わしめる程。


本人は褒められたーと喜んでいるがパーティーメンバーの揃って出た溜め息に思わずエール(この世界のビールみたいなもの)を一杯奢った程だ。


そんな彼が笑顔で来月には払うと言っているが信用できるか?いや、出来ない。


しかし難儀な事にもう調理した食事を食べた後でそれを見計らっていうあたりまだ好感は持てる。


食い逃げするような奴なら容赦なく『OHANASI』をしたんだが…


ふぅ、と溜め息を吐いて手を差し出す。


アーべは笑みを浮かべて手を握る。


ふざけんな。


「誰が握手すると言った!さっさと耳揃えて金出さんかい!!」


「だからお金ないって…」


やかましい!そう心で毒吐きながらあからさまに溜め息を吐いて妥協案を出す。


「無いなら物でもいいって銀子さんが言ってただろうに…。」


「おぉ!そういやぁそうだな!!」


かっかっかっ、と笑いながら腰のポーチからナイフを取り出すアーべ。


それを受け取り鞘から刀身を抜き出して判る範囲で検分する。


特に汚れらしい汚れも無く割りと丁寧に扱っている事が伺える。


まぁ、自分の命を預ける獲物だ、大事にしない奴が居ない…とも言い切れないが状態の良いナイフに普段のアーべの怠けているイメージからかけ離れた整備のされたナイフを見て十分と判断した僕は先月分もこのナイフでチャラにすることにした。


「…これだけの状態なら先月分もチャラにしてあげるよ。」


「お!そりゃ助かる!!」


相場から考えてもナイフは安物の新品で大体2万程の値段である。


中古品だとしても1万~1万五千円程の値段であり、新品だとしても先月と今月のツケをギリギリ払えるか少し少ないくらいのツケが溜まっている訳ではあるがまぁ、そこは友情価格とか憐れんだ結果と言うか…。


少し意外な友人の一面を見た僕は少し上機嫌で彼にドリンクを一杯サービスする事にした。





アーべと世間話をしながら最近の話題を取り込み、幾つか目新しい情報を買い付けながらグラスを磨いていた。


既に昼のピークは過ぎ去って店内には数えるほどの人数しか居らず、それも常連ばかりで外の喧騒とはかけ離れた静かな店内にコーヒーの香りと周りの客に配慮した僕達の話し声が店内に響く。


意外と大声で騒ぐイメージのあるアーべであるがこいつは意外と周りに配慮する心遣いを持っていて意外と礼儀も正しい。


黙っていれば眼を引く赤毛の碧眼の美男子ではあるのだが普段の金遣いの荒さに振られること数十回。


その度にウチにやってきては自棄酒を煽りそしてツケを貯めて行くと。


まぁ、まだ本人は若いんだしそんなに早く身を固めなくても、と何気なく言った事もあったがアーべは苦笑を浮かべて色々あるのさ。と格好良くグラスを煽った姿に嫉妬した。イケメンは滅べ。


まぁ、兎に角冒険者なんて危ない職業をしているぐらいだ、僕がとやかく言う事は無いと自己完結してふと鳴ったドアベルに反射的に「いらっしゃい。」と声を掛けた。





来客は店内を一瞥し、一人納得したように頷くとカウンターに座って言い放つ。


「店主よ、ここに来れば『紅眼の銀狐』に会えると聞いたが?」


黒いゴスロリを着た金髪ツインテールロリの言葉に顔を顰める。笑いを堪える意味で。


『紅眼の銀狐』…銀子さんの二つ名である。


そんな二つ名を聞いて大笑いした時の銀子さんの恥ずかしそうな表情でビームをバカスカ打ち込まれた日には死を覚悟した。今でもその名前を聞くと大笑いしそうになる。ぷぎゃー。的な意味で。


顔を顰めた僕に怪訝な表情を浮かべる幼女に僕は表情を緩めてグラスを置くと真面目な表情で問い掛ける。


「どうして銀子さんに会いたいのかな?」


「うむ、ワシはな…『紅眼の銀狐』が欲しいんじゃよ。」


真面目な話と言う事で席を離したアーべに心で感謝しつつ幼女の答えを吟味する。


ふむ。と思考する僕に幼女は思い出したように声を上げた。


「そう言えば名乗ってなかったの…ワシは「お嬢様ぁっ!!」…っと、なんじゃ…げっ!!」


バタンとドアが壊れるんじゃないかと言う程の勢いで開かれ、荒い息を吐くメイドが現れた。


メイドはノシノシと大股で幼女の傍に立ち、幼女の首根っこを掴んで此方に優雅な礼をした後に凄い速さで去っていくという荒業をやってのけたのだ。


ドップラー効果を残して幼女の悲鳴が聞こえたが僕は何も見なかったことにして開いたままのドアを閉めた。



後ろではアーベが腹を抑えて笑いを堪えていて周りの客は何事も無いかのように思い思いに過ごしているのが腹立たしいと感じた日だった。







「そう言えば…」


名前を聞くのを忘れていたと思い出したのは帰ってきた銀子さんと晩酌をしている時だった。





次回は文字についてでも説明しようかと。

暫くは説明が続くのでプロローグ的なものだと思ってください。


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