悪夢と出会いと 3
「〜〜〜〜♪」
ジングルが鳴り始めた。今日俺達が出演するのは、大人気音楽番組である『No Song No Life』だ。
「皆さんこんばんはー!!今日も始まりました、『No Song No Life』!今日は、Starlight's特集ということで、ゲストはもちろん……Starlight'sの3人だー!」
司会者の声掛けに合わせて、俺達はステージに上がる。
「改めて3人集まった姿を見ると、やっぱ今をときめくアイドルってこともあってめっちゃキラキラしてんねぇ!」
「そうですかね?あんま自分達じゃ実感湧かないんですけどね?なぁ瑠夏、星夜」
「え?ボクはいつだってキラキラしてるよ!」
「僕も輝いてるけど?」
「えっ、ここで俺だけハシゴ外されることある!?」
「でも、1番輝いてるのは……」
「晴陽だからね!!」
「2人とも……」
「3人とも仲良しだねぇ?聞いてるこっちもニコニコしちゃうよ」
そんな笑顔なMCの話を聞きながら、俺はいつの間にか朝のことなんて頭から消えていた。
いつも通りの笑顔で収録を進めていくことができていたと思う。周りからどう見えてるかはわかんないけど。
そして、ライブパフォーマンスの時間になった。
「それじゃあ、ここらで1曲歌っていただきましょう!!Starlight'sで、『スターダスト』」
歓声の中でスタジオに作られたステージに上がり歌う俺達。いつも通りのパフォーマンスを見せる俺達だったけれど、観覧席のある一点と目があった途端、俺は過去をまた思い出してしまう。
「(り……凛!?)」
そこにいたのは、俺の元カノで半年前に俺の心に深い影を落とした相手、月城 凛によく似た女性だった。
さすがに、パフォーマンスを止めるわけにもいかないのでなんとかこなしたけど、正直そこから先の収録は俺の記憶にはほぼ残っていなかった。
頭の中は、さっき目が合った女性のことばかり。
いつの間にか収録は終わっていて、俺達は控え室に戻ってきていた。
「晴陽、大丈夫?」
最初に俺に声をかけてきたのは瑠夏だったけど、星夜も、澪さんも俺のことを心配そうに見つめていた。
「……ん、大丈夫。ちょっと凛によく似た顔の人を見かけちゃってさ?みんなに迷惑かけてたなら申し訳ない」
「いや、それはむしろ鬼気迫ってたというかすごい迫力だったからいつもよりすごくてむしろボクたちの方が足引っ張ってた感じなんだけど、晴陽のメンタルが大丈夫かなって心配で」
そうだったのか。俺は無我夢中でやってたみたいだ。なんも覚えてないからよくわからないけど。
それよりも、今の俺には確かめないといけないことがあった。
「悪い、2人とも、それに澪さん。俺、ちょっと出てくる」
そんな俺の事を、3人は止めるでもなく送り出してくれた。
俺は、あの人がまだ近くにいる事を願いながら全力で駆けていく。
「いいなぁ、晴陽。ボクもあんなに心の底から好きだと思える相手と恋愛したいなぁ」
「僕も晴陽みたいな恋愛は羨ましいと思うけど、中々そんな相手もいないよね。……既婚者の澪さんの意見はどうです?」
「うぉい、ここでこっちに振るなよ。ま、まぁ若さゆえにできることではあるよな?そもそもうちは恋愛禁止とかにもしてないし、そこも含めて見せてるわけだから俺から言えることは幸せになってくれってことだけかな」
「……澪さんって定期的にいいこと言うよねぇ」
「これが大人の余裕ってやつですか」
「お?馬鹿にしてる?」
「そんなわけないじゃないですか?ボクと星夜は、澪さんと晴陽のおかげでこうしてStarlight'sの一員として活躍させてもらえてると思ってるので!」
「そうです。2人には感謝しかないですからね?」
「お前ら……2人とも自分達の力で今の地位を掴んでるんだからな?そう自分達を下に見るなよ?ってことで、たまには俺の奢りでメシでも行くか?晴陽が戻ってきてからになるけど」
「はいっ!」「はい!」
瑠夏達3人は、晴陽が戻るまでの間どこに食べにいくかで盛り上がるのだった。
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