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喧嘩爆発

夜の闇が深まり、祭りの喧騒が遠ざかる。


奏汰と悠人は、千尋と咲良とはぐれたまま、神社の裏手にある坂道を並んで歩いていた。


「……連絡、入れとくか」


奏汰がスマホを取り出そうとしたとき、悠人がふと足を止めた。


「なあ、奏汰」


夜風に紛れるような低い声だった。


「……なんだよ」


「お前さ……千尋のこと、どう思ってる?」


奏汰は、その問いに眉をひそめる。


「どうって……別に普通に友達だろ」


悠人は短く笑った。


「そっか」


その言い方に、どこか引っかかるものを感じた。


「お前こそ、なんでそんなこと聞くんだよ」


悠人は答えず、視線を落としたまま唇を噛む。


(……なんか、変だな)


奏汰はじっと悠人の横顔を見つめる。


「悠人、お前――」


「……もういい」


悠人が遮るように言った。


「いや、よくねえだろ。お前、何か隠して――」


「やめろ」


悠人が低く呟いた。


「何をだよ」


「それ以上、俺に聞くな」


その目は、普段の悠人とは違う、張り詰めたものだった。


「……お前、やっぱり何か隠してるよな」


奏汰が探るように言うと、悠人はギリッと奥歯を噛んだ。


「……違う」


「違わねえだろ」


奏汰の追及に、悠人の拳が震えた。


「やめろって言ってんだろ!」


次の瞬間――


バシッ!


悠人の拳が奏汰の頬を直撃した。


「っ……!」


予想外の一撃に、奏汰は思わず後ずさる。


「お前……!」


悠人は一瞬ハッとした表情を作るが、それを誤魔化すように奏汰を睨みつけた。


奏汰の中に、じわじわと熱がこみ上げる。


「……コレ、喧嘩売ってるんだよな」


「……ああ」


「じゃあ殴り返されても文句ねえよ、なぁ!」


奏汰の拳が、悠人の肩を強く打ち抜いた。


悠人も負けじと拳を握りしめ、奏汰に殴りかかる。


バキッ!


拳と拳がぶつかり合い、鈍い音が響く。


「ちっ……」


奏汰は口元を拭いながら、悠人を睨む。


「お前、マジで何考えてんだ?」


悠人は荒い息のまま、言葉を吐き出す。


「……お前が、気に入らねえんだよ」


奏汰は、一瞬言葉を失う。


「……は?」


「お前は、いつも無自覚に周りを巻き込んで……無意識に人を惹きつける」


悠人の声がかすかに震えていた。


「お前は……何も知らないくせに……!」


「んなの知らねえよ!」


奏汰が叫ぶと、悠人はまた拳を振り上げた。


奏汰も負けじと構え、二人は再びぶつかり合う。


何度も殴り、殴られ――


やがて、二人とも息を切らせてその場に立ち尽くした。


「……もういい」


悠人がぼそりと呟いた。


奏汰は拳を握りしめたまま、悠人を見つめる。


「……なんだよ、それ」


悠人は目を伏せ、唇を噛んだ。


「……俺は、お前とは違う」


悠人の声は、どこか遠いものだった。


「……っ!」


奏汰は、悠人の言葉を受け止めながら、息をのむ。

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