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22話

「彼女――あぐりちゃんをレギュラーとして出しませんか?」

「は?」

「彼女なら私の助手として最適なんです。一日数時間は拘束されてしまいますが、学生なら時間の融通(ゆうずう)は利くのでは?」

「いや、あぐりは訳あって学校に行ってなくて」

「それならなおさら好都合です」


 ……目が『お金』になってる。明らかに建前だ。どうやら、思った以上にスパチャで稼げたことが理由だろう。


「どうでしょうか? 儲けは半分半分ということで」

「……」


 俺の沈黙は呆れたことによるものだ。だが、ハレルヤは俺が悩んでいると思ったらしい。


「それならもうちょっと色をつけます」


 ハレルヤが挑発するように体を更に寄せてしなだれかかる。早苗や吉田さんが動揺する声が聞こえてきた。

 それに対し、俺は大きく目を見開き、はっきりと言った。


「あぐりは出さない」

「え?」


 予想外の反撃に面を食らうハレルヤ。俺はため息を吐いて、ハレルヤを真っ直ぐに見つめて話を続けた。


「あなたじゃなくて、あぐりちゃんに聞いてもいいのですが?」

「その場合はあぐりを説得する。俺はあぐりの保護者だ。――家族の俺の許可なしで勝手なことはしないでくれ」


 幽霊だからというのもあるが、あぐりにはまだ子供で経験が浅い。何か一つのことを集中させるんじゃなくて、まだまだ色々なことを経験させてやりたい。

 この世界は広いということを生前出来なかったあぐりに教えてやりたい。


「話は終わりだな。これ以上はお互い関わらないほうがいい」

「ですが」


 なんとか説得しようとするハレルヤの言葉を遮って、俺はハレルヤの耳元に顔を寄せた。

 どうやら、ハレルヤを諦めさせるにはこれを言うしかないようだ。


「インチキだってばらされたくないだろ?」

「な――!?」


 驚いた表情のハレルヤを尻目(しりめ)に俺は距離を取った。事態を飲み込めていない早苗たちはひそひそと話しながら様子をうかがっていた。


「せ、先輩、さすがに手が早いのでは?」

「今日会ったばかりなのよね?」

「いや、単なる誤解だから。終わったからハレルヤはもう帰るってさ」


 不満そうに俺を睨んでくるハレルヤ。だが、弱みを握っている以上、俺の決定に異論は言わせない。


「そうだよな?」


 もう一度ハレルヤに念を押すと、不機嫌ですと言わんばかりのオーラをまき散らしながらハレルヤはしぶしぶと頷いた。

 これで解決だ。


「……」

「……」


 ……あぐりが沈黙しているのが気になるけど。

 でも、不機嫌ではないようだ。むしろ、少し機嫌が良いような雰囲気だ。

 まだそんなに長く暮らしていないが、それでも徐々にあぐりの気持ちがわかってきたような気がする。

 家族としてのレベルが上がったということだろうか。

 だとしたらちょっと嬉しい。





「面白い!」



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