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10話 吸血少女とすごいそーび

大変お待たせして申し訳無いです

真っ当に社畜してました……orz

月残60は生きるだけで精一杯になるんですよ……


投稿の度に似たような事ばかりで、本当にすみません

 10話 吸血少女とすごいそーび



「……むぅ、まぁこんなもんじゃろ」


「す、凄い装備です……っ!い、違和感が全然……っ!」


「うん、おやっさんの腕ならこれくらいは当然じゃない?……ご主人様、どうですか?」


「私は見ていただけなので何とも……。ただ、お二人の反応を見るに随分と良さそうな物だな、という事は伝わってきますね」



 おやっさんに連れられて工房に籠り……私たちはおやっさんが見立てた装備類を更に調整してもらいながら、感覚に狂いが無いかどうか確認をしました。

 それは武器の握り具合から始まり、重心の位置や振り抜き感、防具の着け心地や可動域と関節の合わせ……などなど多岐にわたり、冒険者ギルドを出た時にはまだまだ高かった筈の日はすっかりと傾いて数時間が経過していた程です。

 しかし、それだけの甲斐もあって、お二人の装備は完璧に仕上がっていると言っても良いでしょう。


 先ずシエラさんですが、エルビセ服飾店で購入した冒険者用のインナーの上から、あくまでも心臓を守る為の簡易的なハーフプレートを着込み、他にもグリーブと呼ばれる膝上まで保護をしてくれる膝当てや、肘当て、手首や手の甲を守るガントレットなど、局所的な金属鎧を身に纏っています。

 所謂『軽装備』と呼ばれる物です。


 防具としましては、頑強さよりも動き易さを重視している物ですが、ドブロクさん曰く、元の素材により頑強な物を使用しているそうで、心配は必要無いとの事でした。

 実際にテストと称して、ハーフプレートを床に置き、それを数十キロはありそうなハンマーで思い切り叩き付ける……なんて暴挙をされていましたが、爆音が室内に響くばかりでプレートは殆ど凹んでいませんでしたからね。

 ……あれは非常に煩かったです。


 そして、防具をそれだけ軽量化させるという事は、当然ながら武器の方も機動力を活かし易い軽い物を使用するようでして、レイピアと呼ばれる細身の直剣でした。

 シエラさんが以前に冒険者をされていた時は、価格・・の事もあって極普通の刃金で作られた物でしたが、今回は【風系魔法】とも相性が良いマジックダガー仕様の『ウィッチクラフトレイピア』と呼ばれる物になっています。

 シエラさんはハーフエルフですし、魔法も得意なので、そのようになった訳ですね。



 次にオトハさんですが、基本的にはシエラさんと余り変わりありません。

 唯一違う点は、シエラさんは金属製のガントレットなのに対し、オトハさんは布とミスリル糸銀と呼ばれる特殊加工を施した半流動状金属との混合製の手袋のようなグローブという事です。

 これは金属製の物よりも、手元の操作性をより高くする為らしいです。


 何でも、オトハさんの使用するマジックダガーは片刃なのですが、その対にあたる刃の部分がノコギリの様に凸凹とした形状になっており、刃を裏返しながら相手の剣撃を受け流したりする物だからだそうなのです。

 そんな事、ゼロコンマ何秒という世界の中で出来るものなのか?と思われる方も居るでしょう——と言いますか、私がそう思いました——が、獣人である狐人族のオトハさんの動体視力であればその程度の見極めは容易い、との事でした。

 実際、獣人でなくとも、ダガーを主武器に戦われる冒険者の方達は当然のようにされているようです。


 ……私には出来そうに無い芸当ですね。



 ちなみに、お二人とも防具を試着するにあたって他所行きの綺麗な服から、冒険者用のインナーとレギンス、ホットパンツとロングブーツの組み合わせに着替えてもらっています。

 まさか、他所行きの服の上から試着する訳にもいきませんし、当然ですよね。


 ……あ、それとこれも当然ですが、お二人が着替えている間は、ドブロクさんには工房を出てもらっていましたよ?

 寧ろ『かぁちゃんに叱られるけぇの』と言って、率先して出て行ったくらいですし……。



 そうして、お二人と私が各々に装備の感想を口にしていると、ドブロクさんは少し照れているような、それでいて自信を漲らせているような表情をして、声を張り上げます。



「——ったりめぇじゃろうが!だあぁれが調整したと思っとるんじゃ!」


「まぁまぁ、そんなに照れ隠しなんてしないでよ。……おやっさんが照れ隠ししても可愛く無いんだしさ」


「じゃかぁしぃわっ!…………はぁ……もぉ、良えわ。時間も大分過ぎてしもうとるし、外套を決めてしまいじゃ」



 ドブロクさんはシエラさんを怒鳴ったかと思うと、大きな溜め息を吐いてから、真っ黒な外套にも、ローブにも見える上着を二着手に取って、お二人に投げ渡しました。



「わわっ……っ!」

「おっと……!」


「お前さんらなら、それが良えじゃろ。魔蚕の糸にミスリル糸銀を編み合わせて作っとるけぇ頑丈じゃし、魔法補助もしてくれるけぇの。サイズもそんくらいが丁度良えじゃろぉが……?」


「確かに……うん、そうだね。私もオトハさんも、魔法を併用して戦闘するだろうし、この外套の馴染む感じは凄く良い」


「わっ!魔力の通りが凄く良いですっ!」


「そぉじゃろぉが。そいつに魔力を流し込みぁ、そこいらの金属防具よかよっぽどかとぉなるけぇな。防御面もばっちりじゃろ」


「ほ、本当です……」


「……まぁほら、そこはミスリル糸銀だから」



 シエラさんがポツリと呟いた言葉に、私たち全員が頷いて同意しました。


 実際、魔力を通すだけで『柔らかいというのに金属音をさせながら斬撃を鉄のように弾く』という摩訶不思議な現象が、グローブの耐久を試した時に起きましたからね……。

 あの時は一瞬、自分の目を疑いましたよ。



 ちなみにですが、外套の素材のお話で出てきた魔蚕の糸……これは名前の通り『魔蚕』と呼ばれる魔物・・が作り出した繭をつむいだ物でして、魔力の通りや手触りが非常に良く、ローブなどの魔法関係の服によく用いられる素材だったりします。

 しかし、それ単体では耐久性に難が出てしまうそうなので、お話に出たミスリル糸銀と組み合わせたり、魔物の毛皮の裏地に使ったりする事が多いとか……。

 まぁ、蚕の糸は言ってしまえば絹ですから、当然ですね。


 また、オトハさんの手袋……と言いますかグローブですね、こちらにも使用されているミスリル糸銀は、語感からも何となく分かる通り『ミスリル銀』と呼ばれる鉱石から作られた特殊金属の事です。

 マジックダガーにも使用されている鉱石の事ですね。


 この鉱石は地球には存在しない、このアイリッシュという異世界だからこそ存在している鉱石の一種でして、魔力との親和性が全ての鉱石の中で最も高いという特徴があります。

 その為、マジックダガーのような『魔法発動の補助』を目的とした装備や道具に使用される事が多く、世界全体で見てもかなりの需要を要しているとか……。

 まぁ、その分、お値段は少々張るようですけどね。少なくとも、駆け出しの新人冒険者が買えるような装備には使われません。


 それとミスリルと、これまた鉱物である銀——Agから名前を取ったように見えますが、これら二つには関係性がありません。

 強いて言うのであれば、色が似ているくらいでしょうね。


 さて、お話をミスリル糸銀に戻しますが、これは、そんな魔法補助に適した鉱石を【錬金術】スキルによって『半流動状金属』と呼ばれる特殊な状態の金属へと、物理変化に近い現象を起こした物体の事です。

 その特徴としまして、魔力を流しますとお話ししたように硬化?する性質を持っています。

 ……はい、意味が分からない単語が出てきましたね。順を追っていきましょう。



 先ずは【錬金術】というスキル。

 これは地球の世界史に於いて語られる、時代の経過と共に化学、薬学などへ変化していった錬金術とは全くの別物……いえ、厳密には変化が・・・生まれ・・・なかった・・・・錬金術、と言うべきでしょうか?

 御伽話に出てくるような『賢者の石』の探究を突き詰めた技術スキルが、この【錬金術】と呼ばれるスキルなのです。

 地球にいた時には考えられない、夢のありそうなスキルですよね。

 イメージ的には超人気大作漫画の『真綿の錬金術師』ですかね。両手でパンッ!と、合わせる格好良いやつです。


 またこれは余談ですが、地球では一説として、知識が共有されていなかったが故の勘違いで、実は錬金術師は医師や薬師の間違いだったのではないか?という考えもあったりしました。

 それは例えば、医化学の祖であり錬金術師であったともされるテオフラストゥス・フォン・ホーエンハイムの存在や、治療薬として使用されていた水銀を錬金術師たちが常備、研究目的に常用していた事などが大きな理由でしょう。


 医師にしても薬師にしても、専門的な知識が必ず必要な職でありますし、時代を考えるに専門家以外にはその知識が欠片も無いとなりますと、摩訶不思議な現象で治った!と考えても無理は無いと思います。

 そもそも医学史に於いても、現在の様な医化学の発達は極々最近の出来事でしかありませんからね。そう考えた方が多少なりとも現実的というものでしょう。


 ……まぁ、私は本当に摩訶不思議な現象を起こしていた、という説を推していますがね。

 その方が夢がありますし。


 と、本当に余談になってしまいましたが、ここアイリッシュの世界では【錬金術】スキルを所持する方達が本当に錬金術師と呼ばれ、摩訶不思議な現象を起こす事を職業として生活されている訳です。



 そして次に『半流動状金属』と呼ばれる特殊な状態の金属についてです。

 先程少しお話ししましたように、この『半流動状金属』は物理変化に近しい現象を起こして形成されまして、その物理変化の中でも三態の変化が最も近い現象と言えます。

 金属そのものが化学変化を起こして、変質してしまった訳では無いという事ですね。

 そして、三態になぞらえてお話しするのであれば、最も近い状態は超臨界流体ではなく、気体でも固体でもなく、液体・・になります。


 ……はい、液体・・なのです。それもただの液体ではなく、糸状に形成された・・・・・・・・液体なのです。

 ……意味が分かりませんよね?

 しかし、この半流動状金属は粘性を持ちませんし、高温などころか外熱を通さない低温(大凡20度程)ですし、一応は流体ですし、体積を持っており、消去法で最も近い状態が液体になるのですよ。

 パッと思い付きましたイメージをお話ししますと、水が細い糸になっているような感じでしょうかね?

 流石はファンタジーな世界とも言うべきか、物理法則なんて概念そのものが薄いようです。


 と言いますかそもそものお話、どのような原理で半流動状金属の状態を維持しているのか、半流動状金属とは厳密にどのような状態なのか……という事自体が、実は何も判明していません。

 所謂、世界の謎というものです。

 あれこれと近しい状態は何か考えましたが、私が知り得ている訳が無いという事なのですよ。


 それもこれも、この世界では『魔法』や『スキル』といった中途半端・・・・に便利な技術が進展している為、科学技術が発展しておらず、物質を構成する元となる分子やら原子といった考え方そのものが無いからでしょう。

 半流動状金属が元の金属と同じであるという根拠も、【鑑定】スキルでの解析結果が同じだから、というものですからね。

 地球であろうと、異世界アイリッシュであろうと、発達した技術が思考の根底になってしまうのは同じのようです。


 ……と、若干お話が逸れましたが、それでも何が原因でこのような不思議物体が生成されるのか、という事は判明していたりします。


 それは【錬金術】スキルを用いる事で発生する『錬金反応』という現象です。

 この現象を端的に説明するのであれば、【錬金術】スキルを介する事で個人の持つ魔力という最もメジャーなエネルギーを様々な物質に作用させる、というものですね。

 例えば、物質の物理変化を促したり、物質そのものを変質させたり(化学変化のようなもの)、或いは新たな物質を創造したり……です。

 そして、この現象に於いて、魔力エネルギーは他エネルギーに変換される事無く、魔力・・エネルギー・・・・・のまま・・・作用させられます。


 いえ、言い間違いではありません。

 言葉の通り、錬金反応に於いて魔力・・エネルギー・・・・・はあら・・・ゆる・・作用を・・・引き起こす・・・・・万能・・エネルギー・・・・・なのです。

 また例え話になりますが、地球で言うところの『電気』を流すだけで、お湯が沸いたり、二酸化炭素(CO2)の排出を促したり、金(Au)を生成させたりしているようなものなのですよ。

 ……何と恐ろしいエネルギー革命なのでしょうかね?最早、言葉が見つかりません。


 更に、もう少しだけ魔力のエネルギー運用についてお話を深掘りしますと、魔力というエネルギーの多様性は【錬金術】スキルによる介入が理由では無く、魔力が元々持っている性質だったりします。

 その理由は簡単に説明出来まして……それは『魔法』です。


 この世界には『魔法』という摩訶不思議な技術がある事は散々言ってきた訳ですが、先ず前提としまして、この魔法を使用する際には使用者の魔力をエネルギーとして消費します。

 まぁ、道のと書いて魔力と呼ぶくらいですし、を扱う方のエネルギーであるのも当然ですよね。


 そして、この『魔法』は全ての現象を一括りにする事は出来ず、それぞれ『系列属性』と呼ばれる現象に区分されます。

 具体的に言いますと、【炎系魔法】によって巻き起こる炎柱ですとか、【水系魔法】によって生み出される水球などですね。

 その、異なる事象を引き起こすにも関わらず、元となるエネルギーは同じ『魔力』である事が、エネルギーとしての多様性は魔力の持つ性質であるという事の証明の一部になっている訳ですが、当然その考えに対する————失礼。


 私はそもそも、一体何のお話をしていたのでしょうか?

 お話を脱線させ過ぎて元が何だったのかを完全に忘れてしまいましたよ……私の悪癖です。

 ……まぁ、治す気は余りありませんが。




 ——とまぁ、長々と無駄話ばかり語ってしまいましたが、要はあの外套も『とてもすごいそーび』という事です。


 しかし……この外套も含めて、間に合わせの装備にしては中々に剛性であり、豪勢な物になったのでは無いでしょうか?

 価格が高ければ良い物だ、という訳では無い事は重々承知ですが、価格は素材の質に直結しますからね。安ければ良いという物でも無いでしょう。

 それに言うまでもなく、私の素人目にもドブロクさんの腕前は確かに感じましたからね。作りそのものにも、かなりの工夫が織り込まれている事は間違いありません。

 本当に、シエラさんの助言通りにお店を選んで良かったですよ。



 お二人がローブの丈の長さが問題無い事を確認しているのを横目に、私は改めてドブロクさんに向き直りました。



「……お二人共、装備は問題無さそうですから、お会計を済ませてしまいましょうか。熱中し過ぎて、すっかりと日が暮れてしまいましたし」


「んぉ……?お、おぉ、もうこんな時間になっとったか。そりゃぁ悪かったの」


「いえいえ、それだけ真剣に考えて下さったという事ですからね。謝らないで下さい」


「そりゃぁ、これが俺の仕事じゃけぇの、真剣なんは当たり前じゃろうが。……ほんで、金の話じゃったか」


「ごくり……!」

「…………ごくっ!」



 ドブロクさんはそう呟く様に頷くと、顎に手を当てながら視線を宙に彷徨わせて、総額を思案し始めました。

 そして、いつの間にか確認を終えていたらしいシエラさんとオトハさんのお二人が、生唾を飲み込んでその様子を見守ります。


 何と言いましょう……?ここだけを切り取って見ますと、随分と可笑しな空間ですね。

 ……と言いますか、何故お二人が緊張されているのでしょうかね?

 生唾の音が私にまで聞こえてきましたよ。


 そうした数秒の思案の後に、ドブロクさんは私に視線を再び合わせて口を開きました。



「まぁ……そうじゃのぉ…………ザックリと100万アリスでええか?」


「…………」

「………………あー」


「おや……?そのくらい・・・・・でよろしいのですか?」


「…………ぇっ!?」

「………………100万がそのくらい・・・・・?」


「いや、こんなもんじゃろ。内訳はオトハのマジックダガーが35、シエラのウィッチクラフトレイピアが50、外套が2着で12、オトハのグローブが3、んで残りが全部オマケ。……ぉん、まぁこんなもんじゃろぉな」


「そう……ですか…………。いえ、失礼。先程エルビセ服飾店でを購入した際の金額が割り引きをいただく前で大凡400万アリスはありましたので、装備品・・・の金額はもっと高価になるとばかり……」



 何せ、装備品は冒険者たちの命に直接関わる重要な物ですからね。

 服が重要では無い、などと口にする事はありませんが、


 そうして金額の安さに驚いた理由を口にしたのですが、ドブロクさんは呆れたように息を吐いて私を見やります。



「そりゃぁ、超一流の職人が、最高級の素材を使ぉて、最先端のデザインを設計に、手間暇掛けて作るんじゃけぇ、出来合いのもんでもエルビセんとこの服が高ぉなるんは当たり前じゃろうが。逆に、俺がお前さんらに見繕った装備なんぞ、ミスリル銀以外は大した素材じゃありゃぁせんけぇな。中堅の冒険者ぐれぇなら誰だって揃えとるわ」


「そういうものですかね……?」


「そういうもんじゃ。オーダーメイドでもありゃぁせんもんで、そがぁに金は取れんわ。どうしても言うんなら、ええ素材集めてオーダーメイドに来ぃ」


「……まぁ、おやっさんがそう言うのであれば、これ以上は野暮ですか。分かりました、ではこれでお願いします」


「おう、丁度じゃのぉ。毎度ありぃ」


「………………」

「………………」


「それでは時間も時間ですし、そろそろお暇しましょう。お二人共行きましy——あの、どうされたのですか?」


「……イエ、ナンデモアリマセン」


「わ、私もっ、大丈夫ですっ!」


「……?そうですか?」



 お二人が何処か呆然と遠い目?をしていたので、思わず尋ねましたが……シエラさんには棒読みに、オトハさんには少し慌てたように言葉を濁されてしまいました。

 私はその様子に首を傾げながらも、ドブロクさんにお礼を重ねて、店を後にしました。


 ……本当にお二人の挙動は何だったのでしょうかね?







おまけ

ドブロクの店を出た後の一幕


 ドブロクの店を後にした三人は宿屋へ向かうべく、トレーネが冒険者ギルドにて貰った地図手に先導して大通りを歩いている。

 そして……そんなトレーネの後ろでは、オトハとシエラの二人がコソコソと内緒話をしていた。

 トレーネは地図の向きをクルクルと回しながら真剣な睨めっこをしている所為か、二人の様子に気が付いた様子は全く無い。



「あの……シエラさん」


「…………」


「シエラさんっ」


「んっ……?どうかした?」


「どうかっていうか……その、ご主人様って一体何者なのかなって思いまして……」


「何者っていうと……?」


「え、えっと……なんて言うか、ご主人様が凄い方だっていうのは分かったんですけど、余りにも凄くて意味分かんなくなったって言うか、落ち着かなくて……ご主人様とシエラさんは同郷だったんですよね?だから何か知ってるかなって思って……」


「あぁ〜〜うん、その気持ちはすっごい分かるよ。うんうん……めっちゃ分かる」


「シエラさんもですか……?」


「そりゃぁね……?だって、控えめに言ってもご主人様って化け物みたいな何かだったじゃん。超大金持ちで、全魔法使いが裸足で逃げ出す様な魔力もあって、男も女も関係なく魅了しちゃう美人なんだよ……?で、そんな人が私たちに心を砕いて、気を遣ってくれてる……って事が既にヤバ過ぎでしょ。幾ら奴隷契約をしてるって言ってもさ……?」


「……そうやって一つ一つ説明されちゃうと、余計に意味が分かんなくなっちゃいます」


「言ってる私も意味分かんないから仲間だね」


「じゃあ……シエラさんもご主人様の事は分かんないんですか……」


「ごめんね」


「いえ、私が勝手に知ってるかなって思っただけなので……」


「まぁ、後で全部説明してくれるってご主人様が言ってたし、それを待つしか無いかなぁ」


「やっぱりそうですよね…………」


「…………ふぅ」

「…………ふぅ」


トレーネが興味を唆られるような設定を考えるのは楽しいのですが、それ以上に私の頭がパンクしますw

まぁ、魔法という意味不明現象に屁理屈をくっ付けてるだけなんですけどね……


作中の登場人物は作者以上の頭脳にはなれない、と言いますが、私の知能指数が低過ぎて酷い有様に……

……考えなかった事にしましょう


それと、最後のオマケについて簡単な補足?です

急に現れた傾国級美人が、貴方の為にお金を湯水の様にポンポン使ってくれて、クソみたいな性格の悪漢共を秒殺してくれて、更には貴方の身柄も彼女の気分次第な状況なら、どう感じますか?

私はビビり上げてちびりますw



変更点1※異世界の国の名前

今更ですが適当すぎんか?と思ったので……

ユーラシア王国→メレフナホン王国


変更点2※異世界の街の名前

同じく適当すぎんか?案件です……

エイジア→アヴァンテル

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