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10/23

6話 吸血少女とショッピング

お待たせしましたm(_ _)m


元々2020年年末に投稿出来ると思っていたんですが、結局ズレにズレて年明けに……

年明けてから結構時間経ったとか言わない(小声


のんびりとした更新で申し訳ありませんが

本年もよろしくお願いしますm(_ _)m


 6話 吸血少女とショッピング



 契約が終わった私たちは、デジラさんに出口まで見送られながら奴隷商を後にしました。

 そして今後の予定をお話ししながら、通りの邪魔にならない程度にゆっくりと大通りを歩いています。


 日の傾きを見るに、今の時間はお昼になる少し前くらいでしょうかね?



「さて……これからは私たち三人で行動をしていく事になりますね。改めて、よろしくお願いします」


「よろしくお願いいたします」

「は、はいっ!お願いします!」


「差し当たっての行動方針ですが、デジラさんから色々なお店の紹介状も戴きましたからねぇ……。今日のところは生活必需品を集めて、生活の基盤を作る事にしましょう。お二人もそれでよろしいですか?」


「はい」

「はいっ!」


「では、まず最初に揃える物ですが——やはり服、ですよねぇ……」



 私はお二人の格好を見て、思わずそう呟きました。


 お二人共、汚れたただの布切れ同然の貫頭衣を身に纏った原始人スタイルよりはマシになりましたが、それでも服装は着古されて汚れまで染み付いた野暮ったいシャツと踝丈のロングスカートという、継母や姉たちに虐められていたシンデレラスタイルですからね。

 お二人の容姿に似合わなさ過ぎるこの格好の所為か、先ほどからすれ違う方々にギョッとした様子でチラチラと見られているのです。服の着替えは急務と言って良いでしょう。

 と言いますか、普通に不衛生ですしね。


 それと、私は奴隷商を出る前に再びフードを目深に被っているので、お二人の格好と相まって完全に怪しい三人組が出来上がってしまっていたりします。

 ……お二人には是非とも早く着替えて、着飾っていただかないといけませんね。

 別にお二人の着飾った姿を見てみたいからという訳ではなく、このままの格好では職務質問をされそうな雰囲気なので……。



 お二人もそうした周りの目の事は気になっていたのでしょう。

 私の言葉に二つ返事で頷いてくれましたので、私もお二人に頷き返して、先を促す様にゆっくりとしていた歩調を元に戻しました。


 そうして三人で横並びになりながら(道幅が広過ぎるので問題ありません)歩く事、五分程……直ぐに目的のお店が見えてきました。

 ——が、



「…………これは随分とオシャレ・・・・で、豪華・・で、お高そう・・・・なお店ですね。流石、大商会の紹介という事でしょうか」


「……」


「……」



 私たちは目の前に聳え立つガラス壁・・・・のお店を前に、思わずたじろぎました。


 そのお店はデジラさんの奴隷商と同じく、ツルツルとした謎の石で造られており、周りのお店よりも明らかに目立っています。

 中でも、一際目を惹く部分は何と言いましても、大通りに面している壁がショーウィンドウのように透明度の高いガラスで造られている事でしょう。

 外観からして既に『the・オシャレなお店』な雰囲気を醸し出しているのです。

 当然、ガラス越しに見える服も、絶妙に可愛かったり、格好良かったりしています。


 ……オシャレとは無縁だった私が入っても大丈夫なお店なのですかね?急に映画評論家のあの方が出て来て、ファッションチェックとかされませんよね?

 お店の雰囲気が場違い過ぎて不安ですよ……。


 ちなみにこれは後になって知った事ですが、デジラさんに紹介していただいたこの服屋さん、実はデジラ商会の支援を得て出店をしているそうなのです。

 言ってしまえば、デジラ商会傘下店の一つという事ですね。

 まぁ、ライバル商会のお店を態々紹介する必要も無いでしょうし、考えてみれば当然ですか。



 私は【アイテムボックス】の中に、渡された紹介状が入っている事をしっかりと確認してから、中へ入ろうとお二人へと振り返ります。

 そしてお二人の服装を見た瞬間、果たしてお二人はこの服装のまま入店しても大丈夫なのか?紹介状を見せる間も無く入店拒否されたりしないのか?という疑問が頭を過り、『行きましょうか』と開きかけた口を閉じました。



「………………お二人共、少し失礼しますね」



 私は数秒の逡巡の後、お二人に一つの魔法を使用しました。

 すると、お二人の身体を淡い光が包み込み、一、二秒程して解けるように消えて無くなります。



「——っ!これは…………」

「えっ!?」


「すみません。失礼だとは思いましたが、お二人をそのままの格好で入店させる訳にもいかないと思いまして……魔法で綺麗にさせてもらいました」



 私はそう言って、お二人に使った魔法がキチンと作用している事を確認する為に、再度お二人の服や髪を注視します。


 私がお二人に使用した魔法……それは【光系魔法】をスキルレベル6まで上昇させる事で使える【リーベ】という魔法でして、端的に言えば『身体や服の汚れを落としてくれる』効果があります。

 厳密に言えば『穢れの完全浄化』なのですが、まぁ似たようなものですね。

 ちょっと汚れを落とすのに便利な魔法ですよ。


 しかしそれだけ聞きますと、スキルレベルを6まで上げないと使えないにも関わらずパッとしない魔法のように感じますが、実はこの魔法はこんな風に通り道で気軽に使うような魔法では無かったりします。

 と言いますのも、この魔法はみそぎ——神聖な儀式や神事を行う為に身を清める魔法でして、魔力消費の非常に大きな大魔法・・・に分類される魔法なのです。


 具体的には魔法の発動に、一般的な魔法使い(魔法のスキルレベルが平均3くらい)3人分ほどの魔力量が必要になります。

 その為扱える人が少なく、神殿ではこの魔法が使えるというだけでも、非常に重用されるそうなのです。

 ちょっと汚れを落とすのに便利、なんて発想はあり得ません。

 そんな事を考える方は頭のネジが二、三本外れてしまっているのでしょう。


 …………自分のボケに、自分でツッコミを入れても、虚しいだけですね。

 止めましょう。



 またまたちなみに、この【リーベ】に似たような魔法に【生活系魔法】のスキルレベル1から使うことの出来る【クリーン】という魔法があるので、汚れを落とす時には普通はそちらを使います。

 何せ、その方が消費される魔力量が極々少量で済みますからね。ザックリと1/1000ほどです。


 ……まぁ、私の場合は【クリーン】だろうと【リーベ】だろうと、消費される魔力量が誤差にしか感じ取れないほどの魔力量が何故かあるので、関係の無いお話ではありますが。

 それに【リーベ】の方がより綺麗になりますしね。



 そうして私が魔法を使った事で、お二人の格好は見違える程に良くなりました。


 先ず、汚れの染み付いていた古着は、何度も洗い直されてヨレヨレになったものの綺麗に使われてきたのだろうな……と想像出来る程には綺麗になりました。

 先程の継母と姉たちに虐められていたシンデレラスタイルとは、比べようもありません。


 それに、数日お風呂に入れていなかったのか頭皮脂でベタっとしていた髪も、ダメージケアまで完璧に終わったサラサラヘアーに変貌し、所々見えていた身体の汚れも綺麗に無くなりましたね。

 臭っていた体臭?も花のような爽やかな香りへと変わり、まるでお風呂上がりのようですよ。


 何処からどう見ても、美女と美少女が野暮ったい服を着ているだけ……という見た目に早変わりしましたね。

 すれ違う方たちの視線の意味が変わった気がします。



「……問題無さそうですね」


「す、凄い……綺麗になってる……」


「ご主人様、今のは魔法……ですよね?効果的に【クリーン】でしょうか?」


「いえ、今のは【光系魔法】の【リーベ】という魔法ですね。【クリーン】と似たような魔法ですが、こちらの方がより綺麗になるのですよ」


「【光系魔法】の、ですか…………」


「き、聞いた事無い魔法です」


「確かに良く見かけるような魔法ではないでしょうね……。まぁ、それよりも早くお店に入りましょう。いつまでもお店の前でお話する訳にもいかないので」


「は、はいっ!」

「は、はぁ……?…………使われた魔力の感覚はかなり高位の魔法だった気がするんだけど……全然平気そう……?私の気の所為って事……?」



 私は目深に被ったフードを取り、緊張で身を固くするオトハさんと、不思議そうに何かを呟くシエラさんという、対照的なお二人の背中を押しながら、お店の中へと入りました。

 そうして私たちが入店しますと、如何いかにもオシャレなアパレル店員さんです!という、ヒラヒラした服を着こなした女性に声を掛けられます。



「いらっしゃいませ。この度は、エルビセ服飾店、アヴァンテル支店へようこそおいで下さいました。私はお客様方の担当をさせていただきます、ナーデルと申します」


「あ……ご丁寧にありがとうございます。私はトレーネと言います。こちらのお二人はシエラさんと、オトハさんです」



 私はお二人の背中から前に出て、店員さん……ナーデルさんに答えます。


 と言いますのも、こういった商談などは奴隷の方たち本人が行うのではなく、主人である契約者が行う事が一般的だとされているのです。

 私個人としましては、お二人は生活を共にする友人ですが、対外的には私がお二人の主人という事になっていますからね。

 お二人に迷惑を掛ける訳にもいきませんし、ここは私がしっかりとしてお話をしなければいけない訳です。


 私は【アイテムボックス】から、デジラさんから頂いた紹介状を取り出して、簡潔に用件を説明します。



「今日はお二人の服や下着、靴などを一式揃えに来ました。……こちらが、デジラ商会長からの紹介状です」


「かしこまりました、紹介状をお預かりいたします。——はい、確かにデジラ商会からの紹介でございますね」



 ナーデルさんは紹介状を流し読みする様に確認すると、ニコリと笑みを浮かべて私へと向き直りました。



「本日はこちらお二方の服などを一式……との事ですが、何かご要望はございますか?」


「そうですね……取り敢えず、其々普段着として着る楽な服装の物を5着と、オシャレ着として使える物を3着。冒険者として活動する予定ですので、動き易い服装の物を10着お願いします。下着類は……まぁ沢山あって困る物ではないですし、こちらは20着分お願いします。それと、予算の上限は特に決めていないので、とにかくお二人に似合う物をお願いします」


「そんなに沢山っ——!?」

「……」


「かしこまりました」


「あ、後、申し訳ないのですが、私はこういった事には疎いものでして、そちらで見立てていただきたいのですが——」


「勿論でございます。腕によりを掛けてコーディネートさせていただきますので、ご安心下さい」


「お願いします」


「お待ちの間、宜しければトレーネ様のお召し物もお見立てさせていただきますが、如何いたしましょう?」


「いえ、私の物は大丈夫です」


「——えっ!?!?」

「…………」


「かしこまりました。それでは三十分程お時間をいただきますので、どうぞご自由に店内をご覧になって下さい。何かご要望がございましたら、スタッフを一人お付けいたしますので、その者にお申し付け下さい」


「分かりました」


「それではお二方はこちらにお願いします」


「………………」

「………………」


「ふふふ……これは腕が鳴りますねぇ…………ふふふふふ」


「……………………」

「……………………」



 トントン拍子でお話が進み過ぎて、理解が追い付いていないのでしょう。

 お二人とも唖然とした様子で、ナーデルさんに連れて行かれました。


 特に、オトハさんは緊張しているのか、キョロキョロと挙動不審に店内を見回したり、何やら驚愕とした表情で私を見たりと、全く落ち着きがありません。

 ……その小動物的な仕草は非常に可愛らしいのですが、少々心配にもなりますね。

 このようなオシャレ過ぎるお店に緊張する気持ちは、私も良く分かりますし……。


 ちなみに、シエラさんは考える事を放棄しているのか、終始ボーッと呆けた様子でお話を聞いて?いました。

 何と言いますか、こちらは別の意味で心配になりますよね……。


 ……まぁ、とは言いましても——



「…………すみませんが、待合室と言いますか、座って待てるような場所はありますか?」


「勿論ございます。ご案内させていただきます……こちらです」



 私に出来る事はありませんし、大人しく待つ事にしましょう。




ーーーーーーーーー

 少女達着替え中

ーーーーーーーーー




 そうして、テーブルと椅子が用意された店内の一区画に案内されて、もてなしで出していただいた紅茶を飲んで待つ事、数十分……。

 再び、ナーデルさんに連れられるようにして、お二人が戻って来ました。



「お待たせいたしました。お二方のコーディネートが完了いたしました」


「はい……あ、お二人とも、良く似合ってますね」


「ありがとうございます」

「あ、あ、あ、ありがとうございますっ!」


「お二方へのご説明は完了しておりますが、トレーネ様にも、服の機能、コーディネートの基準等をご説明させていただきたく存じます。如何いたしましょう?」


「そうですね……お願いします」


「かしこまりました」



 ナーデルさんはそう頷いて、一人ずつ服の選定基準からお話ししてくれます。



 先ずシエラさんからですが、彼女は高い身長と抜群のスタイルを活かす為に、胸元がハッキリとしているVネック状の長袖のラップワンピースと呼ばれる物を着ています。

 腰の上辺りで蝶々結びされた太いリボン?っぽい生地が特徴的です。


 ワンピースと聞きますと、私は清楚と言いますか、落ち着いたイメージを思い浮かべるのですが、シエラさんが着ている物は真逆でした。

 と言いますのも、色こそベージュを基調にしていて、シエラさんの髪と目の色(若草の髪色とレモン色の目)が相まって落ち着いた雰囲気を漂わせていますが、着ている人のスタイルがスタイルですので、実に扇情的で視線の置き場に困る格好にしか見えないのです。

 ナーデルさん曰く、寧ろごちゃごちゃとした装飾すらを無くしてシンプルにし、そのスタイルの良さを全面に押し出すコーディネートだとか……。


 ……これが普段着ではなく、オシャレ着としての服で良かったと、心の底から思います。


 ちなみに、普段着は鎖骨が見える程度のVネックTシャツに、デニムっぽいサブリナパンツのセットが主でした。

 それと靴は踝が見えるようなスッキリとしたデザインの物でして、どちらの服にも合いそうなパンプスですね。

 脚のラインがとても綺麗に見えます。



 次はオトハさんの番ですが、彼女の場合は誰がどう見てもチャームポイントだと思うであろう、金色の狐耳ともふもふの尻尾をメインにコーディネートされているそうです。

 上にはフリルが沢山付いた真っ白な長袖ブラウスを着用し、スカートには黄色と赤のチェック柄をした生地が段々に切り替えられた、膝丈のティアードスカート?と呼ばれる物を着ています。

 狙い通り、ゆらゆらと揺れ動く尻尾が非常に愛らしく映えますね。


 全体的にふわふわとした装飾が多めに施されており、シエラさんの身体のラインを強調させるような物とは真逆の方向性と言って良いでしょう。

 何でも、オトハさんは胸こそ大きいですが、全体的に華奢な身体付きなので、こういったフリルなどの装飾との相性が非常に良いらしいのです。

 事実、アイドルマスコット的な可愛さがより際立って見えており、一家に一人は欲しいと思わせてくれます。


 ……尻尾をもふもふしたい欲求を随分と擽ってくれますね。


 また、普段着はオーバーサイズのゆったりしたプルパーカーのような上着に、チノっぽい?素材のショートパンツという組み合わせでした。

 と言いますのも、オトハさんの場合は上の服は大きめの緩いタイプの服も似合うらしく、普通のTシャツもゆったりサイズで揃えられているのです。

 何と言いますか、人によってはあざといと感じる可愛いさですが、オトハさんからはそれが一切無いという事が凄いですよね。

 靴はオシャレ着も、普段着もローヒールのショートブーツです。



 後は、サイズ違いなだけでお二人とも共通の冒険者活動用の服ですが……これはまぁ細かく紹介しなくても良いでしょう。

 伸縮性の高いTシャツのようなインナーとレギンスに、ホットパンツと膝下まで伸びるロングブーツという標準的な格好でしたので……。

 色も黒色と、目立たないようにされた物したしね。実戦優先以外の言葉がありません。


 ちなみに、靴下なども含む下着類も完璧に用意していただきました。

 流石に私が今使っている、ゼウス様特製?の謎素材仕様のものには敵いませんが、日本で私が使用していた物よりも、手触りも機能も遥かに良い物が揃っています。

 流石は高級店です。


 そしてこれは完全に余談になりますが、オトハさんが着る服には追加で尻尾用の穴空けサービスまでしてくれるそうです。

 至れり尽くせりとはこの事ですね。



「——と、コーディネートの基準は大凡このようにさせていただきました」


「なるほど……」


「続きましては、機能面についてご説明させていただきます」



 そうして、ナーデルさんは清々しい表情でコーディネートの説明を終えると、一呼吸を置いてから、機能面の説明を始めました。


 …………正直なお話、ナーデルさんのコーディネートにかけた熱意が余りにも強過ぎて、お話の半分も理解出来たか怪しいくらいです。

 途中から物凄く早口でしたし……。

 まぁ、お二人とも方向性の違う素晴らしい容姿をしていますから、ナーデルさんの気合が入る気持ちも分からなくはありませんけどね。

 きっと、このお仕事がとても好きなのでしょう。



「この度、お選びさせていただきました商品は全て、防汚効果と微修繕効果が付与されております。その為、非常に汚れ難く、少し解れた程度であれば、服に魔力を流していただきますと、付与された魔法により自動修復が可能です」


「それは凄いですね」


「ありがとうございます。……また、冒険者活動用にご用意させていただきましたインナー等は、耐衝撃性能に秀でている製品ですので、ご安心して鎧下などの装備の一部としてご利用いただける仕様でございます。高ランク冒険者の方々にもご愛用いただいており、その効果の程は折り紙付です」


「ふむ……」


「そして下着ですが、こちらには長時間着用する事による汗蒸れなどを軽減出来るよう、風通しが良くなる素材を利用し、更には身体が冷えてしまわない程度の冷却用の魔法効果が付与されております。その為、長時間の依頼であってもストレス無く過ごす事が出来ます。こちらも女性冒険者の方々には大変ご好評を戴いております」


「なるほど……」



 ……流石、冒険者の街と呼ばれるこの街で大きなお店を構えているだけあって、素晴らしく実戦的な効果を持たせた服が揃っていますね。

 まさか、防具としてもある程度期待出来る完成度とは思いませんでした。

 紹介して下さったデジラさんには感謝です。



「……どちらの品も、当店一押しの逸品ばかりをご用意させていただきましたが、如何でしたでしょう?」


「素晴らしい以外の言葉がありませんね。……ナーデルさんにお任せして良かったです」


「ありがとうございます。お二方とも、コーディネートのし甲斐がある方でしたので、つい張り切り過ぎてしまいました」


「お二人はどうですか……?他に気になった物とかはありましたか?今ならまだ変更も可能かと思いますが……」


「そうですね……着心地は良いですし、デザインも素晴らしいと思います。ご主人様が宜しければ、これらの物をお願いしたいです」


「わ、私もっ!凄く良い服だと思います!私なんかが着ても良いのでしょうかっ?」


「いえ、それはオトハさん用に見立てていただいたので、着てもらえないと逆に困ってしまうのですが……まぁお二人共、気に入っていただけたようで幸いですね」



 私は苦笑いを吹き飛ばす様に、笑みを浮かべてナーデルさんに向き直ります。



「何も問題は無さそうなので、用意していただいた物でお会計をお願いします」


「ありがとうございます。——では、お二方が試着されている服は、そのままでお帰りになられるという事で宜しかったでしょうか?」


「そう…………ですね。はい、このまま着て帰る事にします」


「かしこまりました」



 ……一瞬、シエラさんはこの扇情的な格好のままで良いのかどうか悩みましたが、古着に着替えてしまってはこのお店に来た意味が無くなってしまいますので、グッと言葉を飲み込んで同意しました。

 何より、シエラさんが満更でも無さそうに、今の服が気に入っているようですしね。



「それでは残りのお召し物は其々を袋詰めにさせていただきますので、少々お時間を頂戴します。また、オトハ様は尻尾用の穴空けを行いますので、ご足労願います」


「分かりました」


「わ、分かりましたっ」


「こちらです」



 そう言ってナーデルさんは一礼すると、オトハさんを連れて再びお店の奥へと戻っていきました。



「……では私たちは、ここでのんびりと待ちましょうか」


「分かりました」



 そうして、私たちは椅子に座ってこの後に何処へ行くかなどを話しながら、言葉通りにのんびりとオトハさんを待ちました。


 私用に何かを購入した訳ではありませんが、ショッピングはやはり心が躍りますね。


服の描写が無駄に長い気がしますが、今話のメインなので仕方がありません(洗脳済み


そして服の描写を書いている時は、当然シエラとオトハのイメージ像を想像しながら書いている訳ですが……

ニヤニヤしながら書いている気持ち悪い私が居ましたが、それも仕方がありません(やはり洗脳済み



変更点1※異世界の国の名前

今更ですが適当すぎんか?と思ったので……

ユーラシア王国→メレフナホン王国


変更点2※異世界の街の名前

同じく適当すぎんか?案件です……

エイジア→アヴァンテル

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