ダンジョン潜ります
ダンジョンはこれで行こうかな?
「《神器創造》:ガーンディーヴァ」
目の前の何もない空間に炎が現れ弓の形に変わってゆく。
完全に弓の形に変わると弓の周りの空間が弾け飛びその全容を現した。
そしてその弓は青年と少年の狭間のような姿をした男の手に収まる。
「目標ゴブリン及びその他の魔物。数推定500」
自身の手の平に魔力を込め弓を引くように構えると魔力が弓に吸い込まれ炎の矢が形成された。
「全く何で休みの日に魔物暴走なんて起こるんだよ。折角の休日が台無しだわ」
照準を定める。
目線の先には醜い化物が我先にと走りながら迫って来ている。
「穿て!」
その手につがえていた矢を放つ
矢の纏っている炎が塊に近づいていく事に段々と強さを増していった。
矢が塊の中に着弾し一瞬の静寂の後
耳をつんざくような爆音が辺り一体に響いた。
着弾点から半径200mの広さに炎の爆発が広がり一瞬にして魔物暴走の塊が無くなった。
爆発の中心地はマグマのようにドロドロになっていて近くだけで汗が流れ出てくる。
普通に生きていたらマグマなんて物は見るはずないがこの武器を使うと大体こうなってしまう。
ガーンディーヴァを持ったままその場から矢の着弾点付近まで移動した。
「ふぅ、『回収』」
腰に付けているバッグから2つアイテムを取り出した。片方に魔力を込めて『回収』と呟くと光の糸見たいなものがウニョウニョと出てきて半径200mに散乱したゴブリンやらの魔石と呼ばれる物を一瞬にして回収していった。
【レベルアップ】
魔石を回収すると俺自身が既に200回は聞いている無機質な声が聞こえた。
「おっラッキー!一体一体の強さは低くても流石にあの数仕留めればレベルも上がるか!」
【ステータス】
名前:原神賢心 レベル:202
HP:40082
NP:3612
筋力:289 体力:195
速度:403 知能:125
感覚:131
【スキル】
神速、魔力操作、魔力吸収
空間魔法、鷹の目、直感
アイテムボックス
耐寒耐性、耐熱耐性
【ユニークスキル】
神器創造、戦神憑依
【装備】
武器 ガーンディーヴァ:神話級(一時)
上半身 黒死狼の上着:超高級
上半身 不死狼のTシャツ:超高級
下半身 黒死狼のパンツ:超高級
下半身 黒死狼のズボン:超高級
装飾 聖樹の指輪:伝説級
「あいも変わらずこのスキルは自分でも反則だと自覚出来るよ。でも助けられてるから文句は言えないな」
手に持っていたもう一つのアイテムに魔力を少々込めて「帰還」と呟くと体が光に包まれ出した。
「あ、神器片付けねーと」
一言「神器収納」と言うと弓自体が炎に包まれた後そのまま消えた。
炎が消えると同時に俺は帰還した。
この世界は一部の者達が狂おしいほどに憧れた魔法やスキルが溢れている世界だ。
この世界が決定的に変わったのは80年前の1945年第二次世界大戦が終わってからだった。
突如世界中の国で同時に大規模が地震が襲ったのだ。
大国から小国まで全ての国が等しく災害に見舞われ多くの人が亡くなり、経済面にも大打撃を与えた。
そんな時ある国が異変に気付いた。
地震の被害が特に酷かった都市のど真ん中に見慣れぬ建物がいつの間にか立っていたからだった。
国の政府は戦争に特化した特殊部隊を建物内部の偵察の為に派遣した。
しかし派遣された特殊部隊はひとりとして帰ってくる事は無かった。
危機を感じたのか2回目の派遣では1回目以上に装備を整え突入した。
中に入って部隊の男が目にしたのは神話で伝えられているような禍々しい猪や後々ゴブリンと名付けられるようなモンスターが隊員達を待ち構えている姿だった。
襲い来るモンスターらに銃火器で応戦したが効果は低かった。
決して倒せないわけではなかったが子供の背丈ほどしか無いゴブリンと名付けられるようなモンスターでさえ銃弾をライフルで頭を3発も撃たなければ行けなかった。
建物に突入してから2時間が経ち部隊は建物からやっと出て来た。
しかし部隊員の数は半分以下にまで減ってしまっていた。
無駄死にかと思われたが生き残った隊員の過半数からある2つの報告を受けて状況は一変した。
それは魔石と呼ばれる今までの人類が使っていたエネルギー資源石油や電気等に成り代わる物がモンスターを倒すと絶対では無いがほぼと言っていい確率でドロップする事だった。
この魔石のおかげで復興がかなり早くなり経済の回復も多少は見込めた。
他にも魔石を加工して銃弾に組み込むと倒すのに苦労していたゴブリンでさえ頭を撃ち抜けば1発で倒せるようになった。しかも弾頭と火薬の役割をこなすが使う量はかなり少なく済むらしく従来の弾丸1発を作るよりコストが抑えられた。
近年では弾自体を魔石だけで加工した魔弾も作られており、より高威力となっている。
2つ目の報告が問題だった。
帰還した部隊員の中でモンスターを殺した者達か目の前に変な文字が見えると言い出したのだ。
更には【レベルアップ】という言葉が聞こえた後全身の傷が全て治りなおかつ身体能力も傷を負う前よりも明らかにおかしいと感じるくらいに上がっていたのだ。
身体能力が上がったなどは政府からしたら正直どうでも良かった。しかし【レベルアップ】という事象の付属かの様に付いている体全体の傷が全て癒えた事の方が遥かに大事だった。
傷が治った者の中には部位の欠損をしている物もいたからだ。
ただ持病などの元々持っている病などは治せなかったらしい。
この2つの事を世界中の国に共有し、突如出現した謎の建物を通称、《ダンジョン》に潜る人達を《探索者》と名付けてライセンスを取得していない者の侵入を原則禁止する様になった。
そしてダンジョンが出来て80年。
ダンジョンが日常となった2025年でまた歴史が動き出した。
1話目読んで下さりありがとうございます!