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ラブ・ユア・ライフ  作者: Tomokazu
第1話「真綾の想い」
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真綾の想い_3_2

 翌日の放課後、メールの通り、和田は校門の前で待っていた。真綾の姿を確認すると、彼は満面の笑みで大きく手を振った。

「やあ」

 と挨拶する和田を、真綾は唇を曲げて見た。つい先日まで小学生だった彼女にとって、同じ中学生とはいえ、3年の男子となれば、身体も風格も大きく見え、どうにも気後れしたような心地を覚えてしまう。

「そんなに緊張しなくていいよ」

 緊張した面持ちの真綾を諭すように和田は言う。

「今日、部活はなかったんですか?」

「あんなもの、行こうが行くまいが一緒さ。いつも適当に遊んでるだけだから」

「そうなんですか?」

「あんなもの、練習にもならないさ」

 と、和田は冷めた目をして言う。

「さあ、これからどこへ行こう」

「決めてないんですか?」

「まあね。ただ、ふたりして行けるところがいいな。カラオケとかでもいいけど、学生服で目をつけられたら鬱陶しいし――何かしたいことはある?」

「家に帰りたいです」

 真綾ははっきりと答えた。和田の顔から、すっ、と表情が消えた。

「なぜそんなことを言う。約束を忘れたわけじゃないだろ」

 やけに乾いた声だった。約束って何だろう――と真綾は思った。しかし、和田はすぐに、もとの快活な口調に戻った。

「そうだ。家がいいのなら、僕の家に行こう」

「あなたの家?」

「そうだ。そこなら変に目をつけられることも、余計な口を挟まることもない。決まりだね」

 と言って、和田は歩きだした。真綾もしぶしぶそれに続いたが、どうにも気は進まなかった。ふたりで落ち合って、はじめて行く先が相手の家だとか、ハードルが高すぎる。強引に話を進める和田に、真綾は不安を覚えずにはいられないのだった。



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