無味無臭
吐き出すことのできない
皆様方の本音たちを
かき集めてまとめてみると
数ページ分の本になりました
その中から数枚引き千切って
ビリビリに破き
玉ねぎを加え
こねくり回してパン粉を入れて
焼きました
いざ口の中に運んでみると
何の味もしないのです
あちらこちらに散らばった
皆様方の嘘の方が分厚い本になるでしょう
そこから数枚引きちぎり
適度なサイズに破った後に
粉につけ
高温の油に放り込みました
出来たものを口の中に運んでみると
赤くて青い味がした
そんな気がするのです
真偽の海なんてものがあるとしたら
きっと真紫の大波が私たちを飲み込んで
私たちを攫います
そしていつの日か骨だけになった身体に
かつて吐いた言葉が突き刺さり
身体と心を2つに分かちます
そして魂はこう呟くのです
「ああ、無味無臭」
小難しく考えず、軽く読んでください