29話 目的
投稿を増やすと言ったな? あれは嘘だ。
いや、すみません。増やそうとは思ったんですけどぶっちゃけ惰性で続けているので……。勿論読んでくださっている人がいれば別なのですが、さすがにもう読んでいる人もいなさそうですし。ともあれ、終わるまでは続けますのでご安心ください(?)
「妖精を……作る?」
思わず、そんな言葉が口から漏れ出す。妖精って世界を管理する機構の一つみたいなもんじゃないのか? それを作ろうとしていた?
「ええ、そうよ」
戸惑う俺に対し、ジョマノはあっけらかんとした様子でそう答えた。
妖精って作れるもんなのか? いや、そもそも妖精って大分昔から存在してた風だったが、ここはそんなに過去ってことか?
「そもそもあんたの発案なんだけど?」
「本当に何してたんだ過去の俺」
「過去? ああ、何、そういうこと。あなた、未来から来たのね。それなら記憶喪失っていうのも納得だわ」
「勝手に納得してないで説明をしておくれ」
「なんで急におじいちゃんみたいな声を……。いや、実年齢を考えればおかしくないわね」
「さいですか」
冗談のつもりだったんだが。それにしても実年齢ねぇ。生まれも育ちも日本だし、記憶にも記録にも齟齬はないはずなんだが。何? 俺転生でもしてたの?
「頭がハテナでいっぱいって感じね。いいわ、その面白い顔に免じて教えてあげる」
「ありがたい」
「皮肉が通じないのは相変わらずか」
「いや、直球で悪口では」
「なお質が悪い。ってあんたがしたいのは漫才ってことでいいの?」
「すんませんした」
「まぁいいわ。で、何から知りたい?」
「と言われましても」
そもそも何をどこまで教えてもらえるのかがわからないわけで。
「ッチ。面倒くさいわね。質問を変えてあげる。逆にあなたはどこまで知ってるの?」
「この空間のことも、妖精とかのことも何も知らん」
「反応からしてそうでしょうね。だから聞きたいのはあなたの知ってる秋原純弥についてのことよ」
俺が知ってる秋原純弥? なんだその哲学的な問いは、と言いたいところだが、どういう意図での発言かはわからなくもない。それは先程の疑問とも重なることだろうし。
「俺が知ってる、というか覚えてるのは、日本ってところで普通に生活してたらこの異世界に飛ばされて、なんやかんやあったってことだけだ」
飛ばされた過程を考えると普通の生活とは言いがたいが、魔道具を見つける前までは普通の生活だったはずだ。
「色々と省略されすぎてるけど、なんとなくはわかったわ。つまりあなたは秋原純弥について何も知らないのね」
「そのレベル?」
一ミリたりとも自分を理解できてないと?
「ええ、あなたは秋原純弥がどういう存在かというのを、まるで理解していないわ」
「えっと、つまりどういうことだ?」
「あなたは秋原純弥でありながら秋原純弥ではないということになるわ」
より訳がわからなくなったんですがそれは。
「ちゃんと説明してあげるから変顔するのはやめなさい。説明、といっても推測に過ぎないのだけれど、あなたが秋原純弥でありながら秋原純弥でないというのは、本体が別にいるということよ」
「本体が別にいる?」
「正確にはいた、なのかしらね。あなたの持つ力とエネルギーから察するに、秋原純弥の絞りかすがあなたという存在のようだから。本体が無事でいるなら、もっと強い力を持っているか、そもそもあなたは存在していないはずだもの」
「なるほど、わからん」
本体が別にいたとして、なんでそうなるのかの理屈とか説明不足すぎませんかね。というか絞りかすでこの力って本体は何者なんだよ。
「詳しいことはどうせわからないだろうから省くわ。簡単に言うと、分体であるあなたは本体が目的を持って生み出したものであるはずよ。でも、あなたには本来持つべき力が備わっていない。そもそも本体が無事であれば分体を生み出す必要もないはずだから、あなたの時間軸では本体が存在していないか、何か不自由な状況に置かれていると推測できる」
ふむふむなるほど。
「ってことは俺は何かしなきゃいけないのか?」
「多分そうなんだけど……。私は知らされてないからわからない。あいつなら多分こうなることも想定内のはずなんだけど」
時間軸を超えることまで想定内とか次元が違いすぎてよくわからん。自分の分体のことだからわかって当然なのか?
「まぁわからないことは仕方ないな。言わなかったのにも理由があるのかも知れないし」
「そうね。それが知らせなくていいことだからなのか、知らせないべきだからなのかはわからないけど」
たいした目的じゃなければいいんだが……うん?
「とりあえず、本体云々の話はわかった。で、これはなんだ?」
薄く体が発光してるんですが。
「それは私が聞きたいんだけど……」
「え」
あなたの仕業ではないと。
「……あぁそういうこと。全く、面倒な役を押しつけやがって」
「えっと、どゆこと?」
「いい、よく聞いて。これからあなたは未来、あなたからすると過去に送られることになるわ。そこで何をすべきかまではわからないけど、多分邪神が関係している。あなた、邪神を吸収したでしょ? それがあなたがすべきことの鍵になるはずよ。ただ、気をつけて。あまり大きな過去改変を行うと時空の流れから放り出されるから。じゃ、頑張りなさい」
「ちょ、まっ」
俺が何を言う暇もなく、全身を包む光は増し、気がつけば知らない森の中に立っていた。
「えぇ……」
あまりにも唐突すぎる。というかジョマノの忠告も情報量が多かったし、脳の整理が追いついていない。時空の流れから放り出されるってどういうことさ。
「過去改変、ねぇ」
そもそもこの時代本来の歴史を知らないんだから気をつけようもない気がするが。ジョマノめ、あえて情報を絞ったんじゃあるまいな。あまり情報量が多くてもパンクするけど。
「あぁ! こんなところにいた!」
「なんだよ、うるさいぞネイリー。こっちは状況を整理して……?」
ちょい待ち。
「ネイリー!? なんでお前ここに?」
「それはこっちの台詞よ! 何? こんどは時間移動まで出来るようになったわけ?」
「いや、そんなことは……あるのか?」
少し不安になってステータスを確認するが、それらしきスキルはなかった。一安心。
っておい。全然安心じゃない。スキルがなかったら俺はどうやって未来に戻ればいいんだ?
「ネイリーがここにいるってことは妖精は時間超越が出来るってことだよな? それって他人にも作用させられるか?」
「無理よ。そもそも今回は例外みたいな物だし、一回きり。って純弥は結局できないの?」
「うん、無理っぽい」
「無理っぽいって、じゃあどうするのよ!? あんたが使えると思ってここまで飛んできたのに!」
そんなこと言われましても……。
「いくら何でも考えなさすぎじゃないですかね」
「いや、まぁ最悪私は妖精界で冬眠すればいいだけだし」
「何それ。妖精って冬眠するの?」
「ちょっとニュアンスは違うけどね。ってそんなこと言ってる場合じゃないでしょ。時間移動ができないならなんでこんな時代にいるのよ」
「かくかくしかじか」
「そう言われてももうわからないんだけど」
そういえば神気が俺に作用しなくなったんだったか。
「えっとだな――」
「なるほど。なんとなくは理解したわ。あなた以上の化け物がいて、そいつが私たちのことを作ったなんて信じたくないけど」
「そういわれてもなぁ。あそこで嘘をつく理由がないし」
逆に嘘をつかれていたら確かめようがないわけで。いや、なんか個人的な恨みがありそうだったし嘘をつかれてる可能性はあるのか? 最初に殺そうとしてくるくらいだし。
「まぁ嘘だとしても今は関係ない。まずこれからどうするかを考えないと」
「そうねぇ。大きな過去改変は危険だし、ちゃんと計画的に行動しなきゃね」
「といってもなぁ。ネイリーはこの時代のこと知ってるのか?」
「まぁ妖精の力である程度はわかるけど。あなたの方がよく知ってるものだと思ってたわ」
「ん? どうして?」
「だって――」
「待て、誰か来る」
スキル空気化発動。うん、スキルがまた進化してるのは置いとくとして、一体何者だろうか。こんな森の中に偶然で人は来ないと思うが。
「っと、ここまで来れば大丈夫かね」
「ええ、そうですね。本居様」
あれ、本居って確か……。
「ネイリー。この時代ってもしかして?」
「ええ。邪神が封印される前。聖邪典が生み出されるより少し前の時代よ」
なるほど、なんとなくわかってきたぞ。俺のすべきことが。
本当にこんな小説を読んでくださりありがとうございます。もうちょっとマシに出来ればいいんですがここまで来ると修正不可能なんですよね……。次回はなるべく早く投稿します。ええ。そうでなくとも、生きていれば来年の大晦日までには投稿いたしますので、よろしくお願いします。




