27話 色々とおかしい
遅くなってすみません。もう年も変わるので流石に投稿しなくては、ということで投稿しました。
次も遅くなるとは思いますが、どうかよろしくお願いします。
気合を入れながら城を出た。出たはいい。出たはいいが、
「遺跡ってどこにあるんだ?」
場所が分からん。
「ねぇ、分からないのに何も聞かずに出てきたの? 馬鹿なの? 死ぬの?」
「うるせいやい。俺はノリと自由で生きてんだよ」
「ダメ人間め」
「ふんっ。そんなの十年前から知ってるさ」
「そこいばるところじゃない」
「俺は気楽に生きれりゃそれでいいの」
自由気ままにやらなきゃ損ってのが俺のポリシーなもんで。こらそこ、ゴミを見るような目をするな。
「で、遺跡ってどこにあるんだ?」
「あ、露骨に話題変えた。まぁいいわ。それで、遺跡の場所だっけ。千里眼で探してみたの?」
「探してみたけど結構遺跡っぽいのが多くて、どれが例の遺跡なのかがわからん」
ちなみに千里眼じゃなくて万里眼な。
「そりゃあそうでしょうね。もともとこの近くでは王国が栄えていたみたいだし、その時代の建築物には地下通路や隠し部屋が多かったらしく、外はともかく一部が残っているものは数多く発見されれているわ。単に丈夫だったというのもあるらしいけど」
「意外と詳しいな」
ネイリーの癖に。ドジ妖精の癖に。
「で、俺達が探してる遺跡は?」
「そんなの知るわけ無いじゃない」
「うわ、使えねぇ」
「あんたにだけは言われたくない!」
「俺は人に使われるのが嫌いだから使えなくていいの」
「考え方が歪んでるわね」
「ありがとう」
「褒めてないわよ! というかどこを取ったら褒め言葉に聞こえるの!?」
「さあ?」
「自分で言っといて理解してない!?」
「特に考えてないからな」
「人としてどうなのよ、それ……」
◆◇◆◇◆◇◆
ということでやってまいりました。
え、どこにかって? そりゃ決まってるでしょ。
ルッタさんの店に、である。
「お久しぶりです」
「久しい、というほど時間はたっていないと思いますよ、クロスハートさん」
「そうですか? ……いや、そうでしたね」
しばらく聖邪典の中にいたから、時間の感覚がつかめてないな。
長い時間がたっているから分からない人も居るかもしれないので、説明しておこう。ルッタさんは、困ってる所を助けた人で、そのお礼に聖邪典をくれた人だ。んで、クロスハートは俺の偽名。別に忘れてなんていないが、慣れてない所為で一瞬わからなかった。別に忘れてなんか無いが。
「ところであの本は何かお役にたちましたかな?」
「え、ええ。まぁ」
言える訳が無い。善意でくれた本の中に邪神が封印されていて、厄介事に巻き込まれたなんて。
「ところで、何の用ですかな?」
おっと、そうだった。
「少々伺いたい事がありまして。商品を買うという訳でもなくお邪魔してすみません」
「別にかまいませんよ。命の恩人ですし、部下が優秀なもので私のする事などほとんどありませんから」
結構権力の強い商人なのにいい人だな。いや、もしかしたらこの国自体そういう国なのか。
「有り難うございます。伺いたいことというのは、例の本の出土場所なんですが」
「それならすぐにお教えしますよ。なんなら地図もお付けいたしましょうか」
「いえ、場所が把握できれば必要ありません」
◇◆◇◆◇
ということでやってまいりました。
使い回しとか言うな。
「意外と近かったわね」
「そうだな。徒歩十分とは思わなかったぞ」
「それにしてもいい人だったわね。純弥とは大違い」
「その台詞は余計だ。いい人なのは否定しないが」
あの後ルッタさんは何の見返りも要求せず、なんなら保存食までくれようとした。断ったので受け取っては無いが毒は入ってなかった。いや別に疑っていたわけではない。ただなんとなくである。さすがにそこまでしてくれるのはおかしいなぁ、と少しばかり思っただけである。
「それにしても、遺跡って言う割にはしょぼいわね」
「そういうことを言ってあげるな。まあ、確かに外見はしょぼいけど」
もしかしたらすごいかもしれない。聖邪典が見つかるくらいだし。
「とりあえず中に入ってみるか」
一歩足を踏み入れると、そこには金銀財宝が、ということはない。
何人もここを訪れているはずだし、あったほうがおかしい。
「それにしても、みごとに何もないわね」
「腐っても遺跡ってことだろうな。全部歴史的なものになるだろうし、大方博物館にでも運ばれてるんじゃないか?」
博物館があるかどうかは知ったこっちゃないが。
「というか、俺たちの目的は地下だったな」
「そういえばそうだったわね」
さすがネイリー。やっぱり忘れてたか。
こらそこ、お前も忘れてただろうとか言わない。
「確かここを右に曲がると階段が……」
「ないわね」
おかしいな。ルッタさんに聞いた限りではここにあるはずなんだが。
「偽の情報を掴まされた? いや、ルッタさんに限ってそれはない」
「もしかして幻覚の類とか?」
「いや、それだったらスキルでわかる。だとしたら何か条件があるのか?」
でもそんな話聞いてないぞ。
「まあ、わからないならしょうがないか」
「え、せっかく来たのにあきらめるの?」
「別に? 『万里眼』、『転移』」
景色が一瞬にして変わる。
「その手があったわね。ちなみに、ここはさっきいた場所の地下であってるの?」
「間違いない。でも、ここにも階段はなさそうだ」
「おかしいわね。誰かが壊しちゃったのかしら?」
「それって犯罪じゃね?」
「もしくは劣化で壊れたとか?」
「そんな簡単に壊れるかねえ」
ま、たどり着けたんだったら問題はない。
「さて、例の扉は開くかな?」
開かずの扉だというそれは、転移した場所の目の前にあった。
「それにしても、ラスボスが待ち構える部屋への門みたいだな」
「たしかに何か禍々しいものを感じるわね」
それにしても開かんな。何処かに鍵みたいなものは……っておい。
「壁動いてね?」
「あ、本当ね。左右の壁がこっちに迫って……もしかして私達つぶされるんじゃない?」
「安心しろ、このままじゃもしかしなくてもつぶされる」
仕方ないな。
『グーラ、聞こえるか』
『問題なく聞こえておる。して、何用じゃ?』
『ここの壁が動いてる理由がわかるか?』
壁が動く。それには何らかのエネルギーが作用しているはずで、それを元から暴食で喰らっちまおうということだ。
『ふむ。以前よりスキルとしての繋がりが強くっている故、マスターでも察知は可能であると思うが?』
『たしかに言われてみれば何か感じるような』
『いや、それはマスターの勘か何かであろうよ。暴食スキルを発動しておらねば察知できまい』
そういやあったな『神勘』。
ちなみにグーラとは話せるが暴食が起動しているわけではないらしい。どういうこっちゃ。
っと。もう壁がすぐそこじゃねえか。ネイリーがなんか騒いでるのに気づかなかった。
「『暴食』!」
……なるほど。扉の奥にある宝玉の様なやつがコアになってるのか。ならばそのエネルギーを全て喰らう!
すると、壁が俺たちを潰す寸前で停止する。
「心臓に悪いわね」
「妖精にも心臓ってあるのか?」
「心臓そのものはないけど似たようなものがあるわ」
「そうなのか。ま、いざとなったら転移で逃げられたわけだが」
「それを忘れてた。というか、それで扉の奥に行けば良かったんじゃ?」
「あ」
何でそうしなかったんだろう?
『万里眼』。あ、だめだ。
「あの扉の奥が見えない。封印でもされてるのかね?」
宝玉みたいなやつは見えたのに。
「神の封印関係なしに見えるのに?」
「だよな」
「扉はあるけど部屋はないとか?」
「いや、暴食で向こうにエネルギーがあるのは察知したから、部屋はあるんだろう」
扉を押しても、魔力を流してみても反応はない。
「それにしてもあかねぇな」
「そうね。秘密の合言葉とかあるのかしら」
「かもしれないな」
ならひとつ試してみるか。皆さんご一緒に
「開け、ゴマ」
「そんなんであくわけないでしょ。ないわよね?」
「俺としては開いた方が嬉しいんだけどね」
『ゴゴゴ』
重苦しい音をならし門が開く。
「開いたな」
「開いたわね」
「いやあ、まさか開くとは」
「自作自演何てことはないわよね?」
「それは俺がこの遺跡を作ったって言いたいのか? そんなことあるわけないだろ」
「そうよね。純弥みたいな変人が昔にもいたってことかしら?」
「だれが変人だ。それにしても、開けゴマってこっちの世界にもあったのか」
「大方勇者が伝えたんじゃない?」
それもそうか。
勇者が作った可能性もあるし。
「まあ、だれが作ったかなんてどうでもいいさ。お宝お宝」
「あんたはどこかの盗賊か。目的は魔道具でしょ」
「気分の問題だ」
「そういうものかしら?」
「そういうものだ」
さて、魔道具はありますかね?
「……」
「魔道具はなさそうね」
扉の先にあったのは、中央にある台座とそれに乗っかった本のようなもの、それに先程エネルギーを吸い取ったと思われる宝玉が壁にはめ込まれているだけだった。
「まあ、そんなうまくいかないわよね」
「まだわからんぞ」
聖邪典だって一見ただの古めかしい本だ。この本にも何かあるかもしれない。
手を伸ばして本を取ろうとした。しかし本は台座から離れない。
「張り付いてるのか?」
「なんとなく、そうじゃない気がするわ」
「と、いいますと?」
「なんていうのかしら。本が台座に張り付いているんじゃなくて、本と台座で一つの物みたいな感じ?」
なるほど。本と台座で別々の物じゃないのか。
「なんでそう思ったんだ?」
「直感としか言いようがないわね」
ネイリーが直感でわかるものを『神勘』を持つ俺がわからないというのは納得がいかない。
だとすれば、妖精という種族が何か関わっているのだろうか? それとも神気か? 少し警戒したほうがよさそうだな。
「ネイリー、ちょっとこのことについて聞いてきてくれないか?」
「妖精界に戻っても、今はあの二人についてで忙しいと思うわよ」
「あー、確かに。それじゃあどうしよう」
「逆に純弥のスキルでどうにかなんないの?」
なんかあったっけ? スキル増えたりするから覚えてないんだよな。
「ステータスっと」
うげぇ、またスキル増えてる。それは見ないふりしといて、超鑑定眼があったな。名称が全能眼に変わってたけど。なんでも、全ての目に関するスキルを統合したらしい。いつの間にそんなことになってたのかよ。マジでわけわかんねぇ。万里眼も統合されてやがるし。
俺の化け物っぷりは置いておくとして、『全能眼』発動!
なるほど、ステータス画面みたく表示するんじゃないのか。ステータス表示も出来るようではあるが。
「それで、何かわかった?」
「ちょい待ち。今過去覗いてるから」
「はぁ!? いつの間にそんな事できるようになったの!?」
「耳元で急に叫ぶんじゃありません」
「あ、ごめんなさい……ってそうじゃなくて! 何でそんな事ができるのよ!?」
「だから耳元で叫ぶなって。何でっていわれても出来るようになったもんは仕方ない、というか俺が聞きたい」
「化け物にもほどがあるでしょ……あのねぇ、時間軸への干渉っていうのはそう簡単に出来るものじゃないのよ?」
「干渉って言っても見てるだけだぞ?」
「情報として見るだけならともかく、過去そのものを見るっていうのは十分干渉の範囲内なのよ」
「へぇ、そうなのか。だからどうだっていうはなっ!!」
「どうしたの!?」
何だこれ、目にノイズみたいのがかかって……おいちょっと待てよ。
今、俺がいなかったか?
有難うございました。




