26話 手段
本日はこの前に一話投稿しているので、気をつけてください。
「ちょっと待ったぁ!」
と叫んだときにはもう遅かったようで、俺は飛び起きて手を前につき出だしている形になっていた。
「なによ、朝っぱらから大きい声出して」
ネイリーがあくびをしながらこっちをにらんできた。器用な奴め。
「別になんでもない」
「何でも無いって事は無いでしょう? 大方夢を見てたって所?」
「まぁ、そんな所だ」
「ふぅん。ところで今何かスキルとか発動してる?」
何でそんなこと聴くんだ?
「たぶんパッシブ以外は発動してないと思うが、何で急に?」
「そう。別になんでもないわ」
少し深刻そうな顔で『だったら問題があるのは私の方?』とネイリーが呟く。聞かせるつもりは無かったんだろうが、どうも聴力なども上がってるらしく聞こえてしまった。
「珍しいな、そんな深刻そうになるの。何があったんだ?」
「深刻そうだと思ってるのに、悪びれもしないで探ってくるのね。よくデリカシーないって言われない?」
「そりゃお前、そんなものは生まれる前においてったからな」
「堂々とすることじゃないと思うけど」
「生憎、デリカシーの無さで人間関係困ったことねぇからな」
「性質が悪いわね」
「よく言われた」
特に親父。
「もういいわ。まじめに考えるのが馬鹿みたい」
◇◆◇◆◇◆
ネイリーによると妖精は神気の一部を内包しているらしく、それの副作用として様々な力を持っているらしい。人の言葉からある程度思考を読み取れる力も神気によるものらしく、さっき俺の思考を読み取れなかったので、自分が妖精としての力を失ってしまったのではないか、と心配したらしい。
なんでも、妖精にとって神気を失うことは消滅事より辛いことらしい。
「ステータスもチェックしてみたけど、新しいスキルは追加されてないぞ」
「ということはやっぱり見捨てられたのかしら……」
「思ったんだが、他の力は試したのか?」
「試したわよ。神気関連の力は全部動作しなかった」
「じゃあ神気関連の力が使えなくなる状況って、他にあったりしないのか?」
「無い……とは言えないけれどあり得ないわ」
「言うだけいってみろ」
「神気の力は圧倒的なものとして成り立っているから、階位が周りより低いと発動しないことがあるわ」
階位か……確か暴食の発動条件にもあったな。ってことはもしかして
「ネイリー、それって確かめる方法あるか?」
「普段ならできると思うけど、いまは力が使えない状態だから」
「そうなるか」
と、なると俺が確かめるしかないか。
しかし階位を確認するスキルなんてあるのか?
俺がもってるスキルのなかじゃ階位関連のスキルは暴食のみ。そういえば暴食がまた会おうみたいなこといってたな。ならばこっちから呼ぶことはできないか?
物は試しだな。
(グーラ! 聞こえるか?)
(マスターか。聞こえているぞ)
よし。上手くいったみたいだな。
(ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?)
(仮にでも我がマスターなのだから、一々確認を取る必要は無いぞ。それに、我は暇なのでな)
(そういってくれると助かる)
(かまわぬよ。して、聞きたいこととは?)
(ああ、階位についてなんだが、わかるか?)
(ふむ。そちらの状況はマスター経由で大方把握した。今の我では正確に判断しかねるが、そこの妖精よりも、マスターの階位が高いということは確信できる)
やっぱりか。とうとう神の力を一部とはいえ超えるとか、もう訳わかんねぇ。
(ありがとな)
(礼には及ばぬ。では、我はしばらく眠りに着くぞ)
「ネイリー、理由がわかったぞ」
「本当!?」
「ああ。意味不明だとは思うが、落ち着いて聞いてくれ。お前の神気よりも、俺の階位のほうが上だった」
「は?」
ですよね。急に「俺神より位高いぜ」とか言われても何言ってんだこいつってなりますよね。
「ま、まぁいいわ。とりあえず、私は見放されたわけではないってことね?」
「そういうことになるな」
「よかった……」
目に見えて安心しているな。でも、あんな焦ってた割には反応が薄い気がするが。まぁ大方さっきの発言に驚いて色々吹っ飛んだって所だろう。
「そういや、いつの間にもどってたんだ?」
「深夜3時くらいかしら? 誰かさんが朝っぱらから大声出す所為で寝不足よ」
「そりゃ悪かった。でも妖精って睡眠必要なのか?」
「それは妖精と世界によるわ」
「妖精によって違うってのは分かるが、世界によっててのはどういうことだ? 妖精は妖精界から様々な世界に送られてるんだろ?」
「そうだけど、妖精も神ではないからその世界の概念に左右されるのよ。でも、力が強い妖精ならそこまで影響は受けないわ」
「へぇ、妖精ってのも複雑なんだな」
もっとふわっとした存在なのかと思ってた。
「あれ? そういや光輝たちは?」
「まだ妖精界にいるわ。何でも、魂だけの存在だから結構危険らしくてね。解決方を探しているそうよ」
「ネイリーは一緒に居なくていいのか?」
「私の任務はあくまで純弥の監視だから」
「そういやそうだったな。罪を犯してないのに監視されるってのは、正直納得いかんが」
「邪神を開放した奴が何を言ってるのかしら」
「すみませんでした」
「素直でよろしい」
でも、あんな危険なものを放置しとくのも悪いと思いまーす!
◆◇◆◇◆◇◆
「あー。暇だー」
「そう思うんだったら、ごろごろしてないで魔物とか倒しに行けばいいじゃない」
「一方的虐殺は趣味じゃないもんで」
「まぁ、そうなるわよね」
「異世界来たって言っても、魔王とか倒すべき相手もいなければ、冒険する必要も無い。異世界スローライフって夢見てたけど、実際そこまでいいもんじゃないな」
それでも変な災難にあうよかいいけどさ。
「ネイリー、なんか無いか?」
「そんなこと言われても、私は便利な猫型ロボットじゃないし……」
「なんでそれ知ってるんだ」
「一般人は気づいていないかもしれないけど、地球にだって妖精は派遣されてるのよ?」
「へー。そうなのか。じゃあ光輝たちを地球に送ってやる事はできないのか?」
「妖精じゃないから難しいわね。逆に純弥は何とかできないの?」
「俺だって万能ってわけじゃ……あぁ!」
「ど、どうかしたの?」
「その手があったか! 異世界転移ものはなんだかんだで帰れないのが常だから完全に失念してた!」
そうだよ! やる事がないなら日本に戻る手段を探ればいいんじゃないか! そんな単純な事を見落としていたなんて。
「ネイリー、有り難う! ネイリーが単純で助かった!」
「ねえ、それは褒めてるの? 貶してるの?」
「もちろん褒めてるさ」
「素直に喜べない……」
よっしゃ、いっちょやってやんぜ!
◇◆◇◆◇◆◆
「少しは落ち着いた?」
「ああ」
勢いで物を考えすぎた。およそ一時間、試行錯誤した挙句、何も実に成らなかった。物事は気合でどうにかならない、純弥おぼえた。
「ちくしょう、時空間魔法で自分の元居た座標を特定して、空間魔法から派生させた異空間魔法で別次元に転移するって考えは良かったと思うんだけどなぁ」
そこまで出来て別次元への転移が発動できないとは思わなかった。
「一時間でそこまでやるとか、正真正銘の化け物ね」
「うるせいやい」
もう化け物だって言う事は諦めたが、傷つかないわけじゃないんで。
「でも、純弥ってこの世界の魔道具で転移したのよね?」
「そうだが?」
「だったら、化け物純弥でもできない事をやってのける人がいたって事かしら?」
「そういうことになるな。光輝たちの時代は今より能力が高かったっぽいし、古代文明とかが関わってるんだろうな」
「さすがに今できる人は居なさそうね」
しかし、昔できた人がいるってことは、方法はあるはずだ。
俺が転移した魔道具は壊れたらしいから、そこから情報は得られるか分からない。しかし、似たようなものがあるかもしれないし、キラさんにでも聞いてみるか。
◇◆◇◆◇◆◆
「異世界関連の魔道具ですか?」
「はい。俺が転移して来た以外のってありますか?」
「異世界関連のものとなると、現在解析できる者も修理できる人も居ないので、まともに現存するものは無いかと」
「そうですか……」
ダメだったか。厳重に管理しても物にも寿命があるからな。それだけの月日がたったって事だろう。しかし、異世界に干渉できるくらいなら、自動修復機能くらいあってもいい気がするが。
「壊れた魔道具って見せてもらえますか?」
「お見せする事はできるのですが、魔力回路も粉々になってしまっているので参考にはならないかと」
何か手段は無いものか。
「そういえば、勇者がいますよね? あれってどうなってるんですか?」
「勇者というのは教会に神託が下った後に現れます。勇者に聞くと神にあったといっているので、私達が関与できるものではありません」
「そうなんですか。では、異世界が関わってきそうな物って心当たりありますか?」
「余り確かではない情報でもよろしいでしょうか?」
「別にかまいません」
「最近遺跡が発掘されたのはご存知ですか?」
遺跡というと聖邪典が発掘されたところかな?
「知ってるかもしれないです」
「その遺跡の地下に開かずの扉があるのですよ。簡易魔道具などは発掘されたのですが、他の遺跡にあるような物は見つかっていないため、その扉の先にもしかしたら異世界系の魔道具のがあるかもしれません」
それは期待が持てる。
「ありがとうございます」
「いえ、かまいませんよ。異世界への帰還方法はわれわれも探っている所なので」
そうか、勇者達を帰さなければならないのか。
「力になれるようにがんばります」
「頼もしいですね。こちらも色々と調査してみますので、よろしくお願いします」
よし、気合いれて遺跡探索と参りますか!
次回は遅くならないように頑張ります。出来るかどうかはわかりませんが。




