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マイペース異世界災難記(仮)  作者: 紺(空想野郎)
ギルドと本と古き記憶
23/40

17話 聖邪典と過去の勇者達 明かされる漆

遅くなってすみません。本日は3話投稿します。

「王国が、滅んだ・・・ですって!?」

「はい、そうです。もう3週間前のことですから、ご存知かと思っていたのですが…」

「そういえば言ってなかったわよね」

宮殿魔術師が首をかしげる。

「何をですか?」

「私たちが時空の部屋という部屋とともにこの王国に流されてきたということはいったわよね?」

「はい」

「その時空の部屋というのはその名のとおり、時と空間がこの空間と違うのよ」

「どういうことですか?」

「つまり魔族がその機能を利用して、時空の部屋の時の流れを遅くしてしまったのよ」

「なるほど。まとめると時空の部屋とともにここに流されてきて、外に出たらかなりの時が経っていたということですね?」

「理解が早くて助かります。なので私たちは今の状況を把握できてないの」

「そういうことでしたか」

「それならどうします?」

さっきまで口を一切開いていなかった女性がなぜか今になって口を開いた。

「どうする、とは?」

「例に挙げるとすれば魔族に復讐する、とか?」

「・・・」

復讐。その言葉に雰囲気が重くなったのがわかる。

「やーねぇ。そんな顔しちゃって。例えよ例え」

「復讐はともかく、魔族を滅ぼさない限りこの世界の平和は保たれないのでしょう?」

少し強めに精菜が女性に問う。

「そんなことないわ。例えば人間が滅びればいいのよ」

『!?』

がたっ!という音と共に精菜がすばやく立ち上がり、その所為で椅子が倒れた。

「あなた何言ってるかわかってるの!?」

「さっきも言ったでしょう?例えよ。言うくらいで何も減る物はないんだし、思ったことを口に出すことはいいことだと思うケド?」

女性がその言葉を発したとたんに寒気が走った。階段のほうからだ。

「すごい殺気だねぇ?どうしたのそんな怖い顔しちゃって」

その殺気にも驚いたけど、その後の言葉のほうがもっと驚いた。

「ねぇ、四代目勇者さん?」

「レイア。君を裁きに着たんだよ」

どうやら女性の名前はレイアというらしい。

「裁く?何を言っているんだい?」

「分からないのかい?」

「分かるも何もわたしゃぁなにもしてないよ」

「ギルディ」

四代目勇者が指をパチンと鳴らす。するとレイアが結界みたいなものに包まれた。

「なるほど。これがうわさの『多重結界:終式』かい?」

「いや、『封式結界参拾掛け』だよ。こんな所で全力出してる暇ないからね」

「私もなめられたもんだね?」

「君にはこれで十分だと思うけど?魔族の第五隊魔族隊長のレヴィアさん」

「さすがに『第三の眼』の前じゃかなわないか」

「うん。だいぶ前から分かってたんだけど不安要素があったから、捕らえる事が出来なかったんだ」

「で、私をどうするつもりだい?」

「さっき思いついたんだけどね。ちょっと実験台になってもらうよ」

「詳しく言うと何するんだい?場合によってはあんた達は終わりだよ」

「ははっ。面白い冗談だね。僕が君に負けるとでも?」

「やるか?」

「その状況で戦えるならね」

「あたしをなめんなって言ってんだろうが!」

レイラ改めレヴィアの周りを闇が包んだ。と、思いきや闇がすぐに消えた。

「なっ!?」

「少しは頭を使ったらどうだい?名前に封式って入ってるの気づいてなかったの?気づいていながら破れるとでも思っていたのかい?魔族隊長ごときが?この勇者に?人類の希望で、鍛え上げれば魔王にも勝てる勇者に?君は馬鹿なのかい?良くここまで生きて来れたね?この世界そんな楽じゃないと思ってたんだけどなぁ~」

「うるさい!だまれ!人間の分際で!魔族には魔力で、獣人には筋力で、エルフには魔法技術で負ける人間の癖に!」

「まぁまぁ。そこくらいで落ち着いてくれ。確かに僕は人間だ。だけど勇者だ。筋力だって獣王には負けるかもしれないけどそこそこ強いほうだし、魔法技術だってエルフに負けないくらいはあると思ってる。魔力については君を遥かに凌駕してると思うよ?」

「そんな事認めない!どうせ口先だけだ!」

「いい加減静かにしないと

『!?』

ひどい目にあうよ?」

口調は穏やか。だけどものすごい魔力が乗せられたその言葉に、意識を保つのが精一杯だった。

「気絶しちゃったか。所詮このくらいだね。この世界に来たばかりのひよこちゃんたちも平気なのに。みっともない」

世界という言葉がさっきも出てきたから、この人も異世界から召喚された人なんだろうか?だとしたら何年前からいるんだろう?僕達をひよこちゃんと呼ぶくらいだから一年以上は過ごしているのだろう。それにしてもさっきの魔力の量。正直化け物だ。そしてそれを完全に隠す魔力技術も相当なものだ。

「まぁ感謝はしてるよ。人間族の戦力が上がるんだからね」

人間族って言うんだ。なんか違和感がある。

「ということでそこの二人。僕についてきて」

第四勇者が持ち上げた指を僕と闇暗に向けた。

「僕たち、ですか?」

「うんそうだよ」

「なぜ俺たちなんだ」

「それはね、君たちが『封印使い』になれる可能性があるからだよ」

「『封印使い』、ですか?」

「どういう意味だ?」

「『封印使い』はその名のとおり封印術を使える者を指す。封印っていうのは魔法と少し違ってね。使える人が少ないし、才能がなきゃいけないから最近減っていた存在なんだ。人間族にいるのは指で数えられるくらいだと思う。だから人間族の戦力を増やすためにも、君たちの力が必要なんだ」

「でも、僕たちにそんなことできるんですか?」

「適正がなきゃならんのだろう?」

「君たちは今まで見て来た中で一番才能がある。一日あれば習得できると思う。だけど・・・」

「何か問題でもあるんですか?」

「何かが足りないみたいなんだ。それさえそろえば僕をも超える封印術が使えるかもしれないのに。心当たりはないかい?」

「僕は何も思い当たりません」

「俺もだぞ」

「二人とも心当たりなしか。だとしたら・・・。考えていても仕方ない。その何かを解明するために時空の部屋を使ってみてもいいかい?」

「僕たちが作ったとはいえ人類・・・じゃなくて人間族のための部屋ですから。遠慮いりません」

「わかった。ちなみに人類だと魔人とか獣人とかも入るから気をつけてね。『われは人類の代表だ!』とかいったら笑われるからね。まぁこの世界に来たばかりだから仕方ないけど」

「以後気をつけます。ところで時空の部屋で何をするんですか?」

「時空の部屋の詳細を聞いたけど、たぶん創ったのは勇者だけじゃないんじゃないかな?」

「これはあまりいいたくないのだが、伝えておいたほうがいいだろう。お前の言うとおり俺たちだけではなく、神が関わっている」

「神、ね。それって地球のほうの?」

「そうだな」

「なるほど。しかし神が関わってるとはね。やっぱり異世界何が起こるかわかったもんじゃないな。まぁ神が関わっているのなら僕の予想は当たっていると思うよ。とりあえずついてきて」


~時空の部屋~


「で、何をするんだ?」

「君たちは何もしないで立っていてくれ。少し時間がかかるけど」

「何もしないでいいんですか?」

「むしろじっとしてくれないと困るんだよね。僕の『眼』で君たちを見るから。それじゃはじめるよ」

そういうと四代目勇者は座禅をくんで集中し始めた。


~およそ十分後~


「終わったからもう動いていいよ」

「で、原因はわかったのか?」

「一応ね。かなりめんどくさい事になってたよ」

「どういうこと?」

「うんとね、君達は『使命』?を受けているという結果が出た」

「『使命』?」

「う~ん、いまいちわからないんだけど、どちらかというと生まれつきの特殊体質に近いみたいだよ」

「生まれつき?地球にいたころからっていうことか?」

「そこらへんは僕のアビリティじゃわからなかったよ」

「そういえばお前は何をしていたんだ?」

「言ってなかったね。僕の特殊能力アビリティ『神の視点』で君たちのウィンドウでも表示されない部分をみていたんだ」

「ウィンドウに表示されない部分?」

「そんなのあるのか?」

「あるんだよ。例えば蹴りやダッシュは筋力すなわちATKに含まれると思うだろ?」

「違うのか?」

「違うんだよ」

「じゃあ何に含まれるんだ?」

「それがウィンドウに表示されない部分さ。ATKも確かに含まれるけど、それは攻撃時のみ。同じATK値の人がそれぞれ敵に放ったけど与えるダメージは全く変わったものになる時もある。その理由が『脚力』というウィンドウに見えない部分なのさ。腕の筋力もそうだよ。腕立てなどで鍛えた時はウィンドウのATKに表示されないんだよ」

「そうだったんだ」

「今まで耳に入ることも無かったな」

「まぁ誰かがこのことを知っていたとしても君たちはこの世界に来たばかりだしね。むしろ知っていたら驚きだよ」

「ところで結局のところ俺達はどうすりゃいいんだ?」

「能力を開放する方法は別々みたいだね。光輝くんは一定のプラスの感情を人々に与えること。闇暗は一定人数闇魔法などの力を持った者のHPをゼロにすればいいらしい」

「それって殺すってことか!?俺と同じ人間を!?そしてなんで俺だけ呼び捨て!?」

「HPをゼロにしても死なないことはあるらしいよ。それと呼び捨てなのは君は君付けされるようなタイプじゃないと思ったから」

「呼び捨ての件はどうでも良いとして、死なないかもしれないというだけで死ぬ確率もあるんだろう!?もしそれで人間が死んだらどうするんだ!?」

「少し考えたら分かるんじゃないかな。別に対象は人間じゃなくても良いんだよ。それに闇魔法は魔族の得意技だよ」

「・・・魔族がいたか。つまり俺は魔族を倒しまくれば良いってことだな」

「そういうことだね」

「それじゃぁ僕はどうすればいいんですか?」

「君はいわゆる宗教の教祖みたいな存在か英雄になれば良いんだよ。つまり君たちの能力開放方法は別でも結局は魔族を倒せば解決だよ。問題も解決したことだしそろそろここから出るか」

四代目勇者がガチャリとドアを開けて外へ出る。それに続いて僕達も外に出た。するとそこに騎士が走ってきた。

「勇者様がた!大変です!魔族が大人数で攻めてきました!」

「そうか。すぐに行くと伝えてくれ」

「はっ!」

すると騎士は走っていった。

「はやくも君たちの出番が来たみたいだよ。他の皆も準備は良いね?スワリンでの活躍は聞いている。期待してるよ!」

僕達は城の外へ飛び出した。

有り難うございました。誤字脱字が多いかもです。

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