17話 聖邪典と過去の勇者達 悲劇の陸
なるはやとか言っておいてこのありさま。本当にすみません。
人型をした生物を“殺す”事には抵抗があったせいで手間取ったが、魔法で簡単に直せる程度の軽い傷魔でしか負傷したものはいなかった。つまるところ大勝利だ。しかし宴などしている場合ではない。皆軽い休息を取った後、時空の部屋へ訓練に来ていた。というかもうすでにどの位たったか分からないくらい訓練をしている。
「というか、そろそろ、外に出ない?」
魔族(偽)と戦いながら話しているので言葉が続いていない九が皆に向かってそういう。
「まだまだ、といいたいところだが、王様が呼んでたから、この辺でやめにしよう」
「というか、偽魔族&魔物多くない?」
「めんどくせぇから一掃するぞ!」
野洲家が叫ぶ。
「空間支配!」
空間支配は野洲家が覚醒により目覚めた力で全ての属性の魔力を『同調』し、それをさらに自分の指定した空間に『同調』するという過程を自動的にやってくれるスキルである。
「完全操作式魔力爆発!」
やたらにスキル名が長いこの技は自分が『空間支配』により、空間に同調した魔力を爆発するスキルである。ただそれだけではなく、爆発を指定した「もの」に影響のないものに出来る。だから僕達が巻き込まれる事はない。
「それにしてもすごい爆発だな」
「そのせいで俺の魔力を結構持っていくけどな」
「あれぇ?まだ偽魔族がいるよ~?」
『偽とは失礼な』
「まさか・・・」
「こいつは・・・」
「ここから生み出されれたやつじゃなくて・・・」
「外から来た・・・」
「偽なんかじゃない・・・」
「本物~?」
『面白いしゃべり方をするやつらだな。俺達にとってお前らとここの部屋は邪魔にしかならない。だからこの王国から消えてもらうぞ』
「俺達をなめんなよ!『空間支配』『完全操作式魔力爆発』!」
野洲家が叫ぶ。しかし何も起こらない。
「超回転弾丸蹴り!」
「っとあぶないじゃないか」
「捕獲式多重結界」
「『煙幕』『影渡り』」
「奪取回復」
「マジックシールド」
「おもったより勇者ってよわいんだn
「時間停止!」
「空間圧縮!」
「くっ!君達もいるんだったね。それにしても話してる途中で、攻撃してくるなんてひどいじゃないか。さっきのマジックシールドがなきゃ正直あぶなかったよ。あってもこんなにダメージ食らってるしね」
「どこがだよ。ぴんぴんじゃねぇか」
「いやいやそう見えてるだけさ。これでも10分の1以上HPが減ったんだから。という事でやっぱり君達とこの部屋は危険だ。消えてもらうよ。最後に僕の名前を教えといてあげよう。僕の名前はジャック。狂乱王のジャックだ。さらばだ勇者。『邪なる王の強制依頼』」
あたりが闇に飲まれたかと思うと少しずつまぶたが重くなってきた。
「へぇ、耐えられるんだ。さすが空間と時間の能力の持ち主だけあるね」
空間と時間?まさか・・・。暗くてわからないけど、たぶん皆は倒れていると考えた方がいいと思う。とりあえずこのままじゃあぶない。原因はこの闇なのかな?ならとりあえず・・・
「闇払い!ライトスプラッシュ!オーラライト!」
闇払いで周囲の闇を払い、ライトスプラッシュで周囲を照らし、オーラライトで周囲の生物を照らし続ける魔法をかけた。これで暗くなっても平気だろう。周りを見渡すと立っているのはやはり僕と闇暗と魔族だけだ。
「へぇやるねぇ、まぁそのほうが楽しくていい」
そしてまた闇が部屋を覆いつくす。
「闇操作:圧縮」
しかしそれを闇暗が手元に手繰り寄せ、圧縮して魔力でボール状に固めた。
「『闇幕:粘着型』、『加重力』、光輝!皆にこのことを知らせろ!」
ここで僕がいなくなったら闇暗だけであいつを何とかしなくちゃいけない。そうすると闇暗は死んでしまうかもしれない。でもここで行かなきゃ皆危険になってしまうかもしれない。僕は一体どうすれば・・・。いや『加速』していけば間に合うかもしれない。こうなったら一か八かにかけるしかない!
「ごめんね闇暗!すぐ戻ってくる!『時間停止』『早送り』」
出口に向かって走る。時空の部屋は時の流れが速いから『時間停止』が切れる前に!そう思いながら出口のみ時間停止を解除してドアを開けた。
「なっ!」
しかしその先にあったのは、いやそういうべきではないだろう。その先には永遠に続く暗闇の空間以外何もなかった。時間すら。光輝は時間系の能力を持っていたから分かった。分かってしまった。この中に入れば消滅してしまう事も。光輝はドアを閉じた。ドアを開けた瞬間に自分以外の時を止めたから良かったが、時間が動き出せば全て吸い込まれてしまう。時間の壁があったので光輝も助かった。しかし加速している空間を急に止めたことにより光輝の魔力残量は残りわずかになってしまった。それに加え精神状態が不安定になってしまったために時間の流れが元に戻ろうとしていた。魔法を使用するときは精神状態も関わってくるのである。
「こうなったら皆だけでも・・・『状態戻し』!」
その魔法の発動により時間の流れが正常になった。
「光輝!どうした!?」
「この部屋はもう、完全に王国から隔離されてる!」
「なに!?」
「厄介な存在を逃がすわけないでしょ?それにまだ僕も満足していない」
「っちぃ!破られたか!」
「おや?お仲間が復活してるようだね?」
「気づかれた!?」
「それになんだか空気が変だ。仕方ない。もう少し楽しみたかったんだけどね。全てを封じろ!『闇魔』!」
魔族がその言葉を発すると同時に何も見えなくなり、意識を保つことと呼吸以外出来なくなった。
「重力球!」
かろうじて耳は聞こえるようだ。
「たっていられるんだ!・・・ふーんなるほど『勇者』の『適格者』か。また楽しみが出来た。さようなら勇者達。全て落とせ!『落』!・・・
その後も何かを発していたようだったけど完全に意識が途絶えてしまった。
◇◆◇◆◇◆
起きると目の前にあったのは倒れている皆ともう見慣れた時空の部屋の床だった。
「皆大丈夫!?」
「ん・・。光輝?」
「瑞樹!悪いんだけど回復できるか?」
「魔力はあるから大丈夫。『神よ、この者達をわが魔力を代償にし、あるべき姿に戻したまえ。完全再生』」
「ありがとう」
「お礼を言うほどのことじゃないと思うよ~?私達親友でしょ~。それよりも皆大丈夫~?」
「おかげさまで」
「完全復活だ」
「いつもより体が軽いくらいよ」
「しかしここはどこなのかしら?」
「どこって時空の部屋だろ?」
「私が言ってるのはそういうことじゃないわ。この時空の部屋がどこにあるのかっていう話よ」
「たしかに。だけどまだ何もない空間に浮かんだままかもよ?」
「いや、それはない。今調べたが、周りに部屋がある」
「どうゆうことだ?」
「周りにちゃんとした空間があるってことだ」
「っていうことは王国に戻れたかもしれないのか?」
「いや甘く考えない方がいいわよ。とりあえず外に出ましょ」
「あれ?なんかおかしくない?」
「そういや違和感あるな」
「っ!?」
「どうしたの!?」
「時間の流れが速くなってる!」
やばい戻さないと!でも魔力が!
「譲渡回復」
「ありがと瑞樹!『設定変更:時間』『使用魔法:部分時間変更『遅』」
あぶなかった。設定がこっちの一秒が外の一分になっていた。あまりかわりがないように思えるけど、こっちの一時間は外の六十時間。こっちで一時間過ごすだけで外では二日と十二時間になる。いつから設定が変わっていたんだろう?なぞだ。
「とにかく外に出ましょう」
精菜がそういいながら扉を開いた。
◆◇◆◇◆
どうやらここは他の王国らしい。最初に会った人が鑑定能力もちで僕達が勇者という事を分かってくれたので、あまり騒ぎにならず色々と教えてもらった。
「ところでなぜこの王国に?」
一人の宮殿魔術師がそう聞いてきた。
「魔族に部屋ごと飛ばされたのよ」
「部屋ごと?」
「時空の部屋という内側の時間が外側の時間が違う部屋よ。その部屋と私達が邪魔らしくて、ここにとばされたのよ」
「もしかしてその王国ってスワリン王国ではないですよね?」
なぜか宮殿魔術師の顔色が少し悪くなった。
「そうだけど、どうかしたの?」
さらに顔色が悪くなった宮殿魔術師がその言葉を発した。
「その王国・・・
魔族に滅ぼされました。三週間前に」
次回こそ本当に早くだしたいです。あと急に打ち切りとかはないので気長に最終回を待っていてください。なるべく早くしますので。ではまた次回でお会いしましょう。m(- -)m




