13話 聖邪典と過去の勇者達 明け方の弐
今回はいまだダウン中なので少なめです。すみません。
ボーっとしていたけど少しずつ意識がはっきりとしてきた。何が起こった?確か教室が光って意識が飛んで・・・っ!ここはどこだ!?焦っても仕方ない冷静に冷静に。とりあえず現状把握だ。壁は見た目ただのコンクリート。床は変なクッションと皆が寝転がっている。天井には浮かんでいる数多くの光の玉。そしてその近くに・・・なにやら人影が。って夕先生!?羽もないのに浮かんでる!?いやそもそもなんで浮かんでるの!?あれもう一人いる!?あれは確か創意先生とクスーディ!?なんで浮かんでるんだ!?起きてるのはまだ俺たちしかいないようだ。夕先生たちはまだ俺に気づいていないようだ。ん?なんか聞こえてくるぞ。耳を澄ませて聞いてみよう。
『なにか発見はあったか?』
なんか自分で聞いてないような違和感を感じるけどまぁいいか。
『僕のほうで分かったのは父さんたちがこの召喚の強制力から抜け出せることができたということだけです。夕先生なら何かわかるんじゃないですか?この光に関してとか』
『う~ん。確かに光が神の力の極一部を使って構築されているのは分ったけど、ほかのことは何もわかんないわ。本来の姿に戻ればいろいろとわかると思うんだけど・・・』
『さすが光の神ということだけはありますね。力がかなり抑えられているこの姿でそこまでわかるんですね。創意さんは?』
『なぜ俺は先生がついてないのだ?まぁいいが。私が分ったことといえばここが確実に地球ではないことと、さっき発動した転移術が偶然ではなく意図的に発動されたものだということ、それともう一回ここから転移するということだな。お前はどうなんだ?』
『僕の方はこの転移術に回復型強制睡眠の式と精神的なものを回復する類のものが組み込まれていたことくらいですね。僕は癒しの神ですからそれに関するものくらいしかわかりませんよ。ところで次の転移までのタイムリミットは?』
『・・・ちょうど今みたいだな』
その声と共に部屋全体がまばゆい光に包まれた。
「——っ!」
余りのまぶしさに少し声が出てしまった。しまった聞かれたかな?ばれたら結構やばい気がする。そのことを確かめる事はできないまま再び意識は手放されてしまった。
~???~
「やはり神界にいれば召喚の強制力からは抜け出せるみたいだな」
「さすがに神の領域までにはたどりつかないか」
「まぁそりゃそうだろ。神の力を使っていたとしてもも所詮極一部。神界までたどりついたら『世界の法』が安定しなくなる」
「そうだよな。おっと。また動くみたいだぞ」
「ちゃんと仕事しなきゃな」
~光輝side~
まだ意識がもうろうとしているが起きることができた。まだ起きてる人は少ないようだ。今起きてる人はあのリストに載っていた人だけ。何か関連があるのだろうか?まぁ今は調べようがないが。とりあえずみんなと話そう。ちょうど近くにいることだし。
「光輝。もしかしてこれは・・・」
「ああ。そうかもしれないな」
「そうってなに?」
「大体予測できる~」
「まぁあれよね」
「まぁ多分あれだよな」
「もう何のことよ!?」
九が叫ぶ。まぁこいつあんまそういうの読んでなかったもんな。
「この状況であれって言ったら異世界召喚系しかないでしょ」
「あ~あれか!力がない人が見捨てられてピンチになった時強くなって復習するとか、魔王や魔族を倒せとか、奴隷化されて強制的に従わされたりするあれか!」
「復習じゃなくて復讐。というかそこまで覚えてて、なぜぱっと思い浮かばないんだ?」
「あなたみたいに厨二じゃないんです~」
「何だと~!」
「ははっ。冗談だよ」
周囲が少しざわついてくる。皆少しずつ起きはじめたみたいだ。
「そろそろまじめに話したほうがいいんじゃないか?」
「そうだな」
「光輝の言うとおり~」
「そうね」
「だな」
「テンプレな感じになった時の質問とかを考えておいたほうがいいわね」
「魔王を倒せ系のやつね」
「むこうが偉そうだったらなるべく丁寧に。むこうが良い人だったら判断に任せるわ」
「でも多分考える必要はないけどね」
「「「「「なぜに?」」」」」
僕は夕先生達のことを話した。
「それってまさか・・・」
「夕ちゃんたちが神ってこと!?」
「しー。驚くのは分かるけどなるべく静かに」
「もし神なんだとしたら夕先生はアマテラス、創意先生はイザナギだな」
「何でそ~思うの~?」
「大体光の神といったらアマテラスっしょ。だけど何で創意先生がイザナギなの?」
「野洲家。考えてみろ。闇暗は単純な頭をしている。どうせ創意の創で創造神だとか思ったんだろ」
「誰が単純だと!」
「しっ!誰か来るみたい」
『ギギギギ』
という重い音と共に門が開いた。その先にいた何十人の怪しい男たちが何かを唱え始めた。それが終わったとたんに僕らの体が浮き上がり、門の外へと飛ばされた。飛ばされたといっても着地の際はかなりゆっくりであったが。
「このたびは私たちの召喚に応じてくださり、まことにありがとうございます」
僕らの真正面にいる国王らしき人がそういった。その言葉で動揺が広がる。この中で一番最初に口を開いたのは創意先生だった。
「『応じてくださり』とはどういう意味だ?応じるも何も我々は強制的に運ばれてきたのだが」
「なんと!?それは真の話ですか!?」
「ああ。そうだが・・・どうかしたのか?」
国王(仮)は隣の大臣(仮)と何かを話した後、再び口を開いた。
「このたびは真に申し訳ございませんでした。いまだ混乱が解けてないでしょうが、私の話を聞いてはくださいませんか?」
「・・・いいだろう」
「ありがとうございます。まずあなた方に起こったことを説明いたしましょう。実は今この世界は魔族によって滅ぼされてしまいそうなのです。それを阻止するために勇者召喚を使いあなた方をここに召喚したのです。私が『応じてくださり』と申したのはシステム的にそうなっているはずだからです。数年前私たちの世界とあなた方の世界が何らかの力によりつながったことがあったのです。そのときにあなた方の世界の住人に魔道具を渡す代わりに契約をしたのです。その契約の内容は『もし我等が危険になったとき、われらの世界の召喚に数人選び応じること』というものでした。しかしそれをご存じないということは、契約に何らかの異常が起こったのでしょう。その異常については私たちもわかりかねます・・・申し訳ございません」
嘘はついてなさそうだな。さて創意先生はどう動くかな?
「なるほどそういうことでしたか。それならすべて納得がいきます。その契約のことについても、ね」
「どういうことですか!?」
「どうせいつか言わなければならないことなので今言います」
創意先生がそういうと創意先生、夕先生、クスーディたちが光り始めた。
「私たち三人はあなたたちの言うところの神です。本名はイザナギ」
「私はアマテラス」
「僕はグアリジオネ」
「最近日本で起こってることを調査しに来ました」
「それで契約に何の異常が起こったんですか!?」
「おそらくそれはわれわれと異なる類の神によるものでしょう。たとえば邪神とかね。その神が時空のゆがみを発見し、自分のたくらんでいたことが勇者によって阻止されてしまう、と考えて契約ごと時空のゆがみを壊したのでしょう。これなら召喚のが強制的なことも考えられます」
「なるほど・・・そういうことでしたか。でもしかしそれに気づかなかったわれの落ち度ゆえあなた方に迷惑をかけてしまった。まことにすみませんでした!」
「謝罪はもういい。変えるにはどうすればよい?」
「それはおそらく魔族を倒すほかないかと・・・」
その言葉にまた動揺が広がる。
「冷静に。今あせっても仕方がないわ。とりあえずこれからどうするかを考えなくっちゃ。私の調べた結果だとあなたたちには特別な力が与えられたようだしね♪」
夕先生もといアマテラス様の言葉に今度は動揺ではなく喜びの声が広がった。
「力の確認は後にしますので心配なさらないでください。今ちょうどお詫びの夕食を用意いたしましたので私についてきてください」
そういいながら歩き始めた国王におなかが減った生徒一同はせかすようについていったのだった。
生徒たちが空腹だったのはかなりの時間寝ていた所為です。
読んでいただきありがとうございました。




