8話 冒険者ギルド
今回少なめです。
「さぁギルドへ行きましょう!と言いたいところですがすみません。私は行けないんです」
「そうなんですか。まぁ理由はわかるけど」
崇との決闘を終えた俺は、崇が起きるまで次の行動について話していた。今日はギルドへ登録へ行くらしい。大会登録期限が明日までのためだ。そのために冒険者ギルドについて説明してもらった。
冒険者ギルドとは。
そのまま冒険者のギルドという意味だ。この冒険者ギルドは買い取りカウンター、質問カウンター、クエストカウンターがあるらしい。買い取りカウンターは薬草や魔物などの買い取りをしている。そして質問カウンターはギルドの質問から、魔物の生息地などの色々な質問を受け付けている。クエストカウンターはそのままクエストを受けることができるカウンターだ。雑用から討伐系まで色々ある。壁に貼り付けている紙を持ってきてクエストを受ける方式ではなく、カウンターで直接受けるタイプのようだ。どうやって受けるのかは自分で確認した方がわかりやすいということだそうだ。このクエストを受け続けるとギルドランクというものが上がるそうだ。ギルドランクはI(もとが奴隷ならJ)からSSSまであるらしい。ランクの設定は
SSS 測定不能。いままでで5人のみ
SS 測定不能。現在3人のみ
S 人外級
A 特超人級
B 超人級
C 超達人級
D 達人級
E 弱・達人級
F 緑帯級
G 一人前
H 見習い
I 雑用
J (奴隷)
となっている。大会出場権利をもらえるのはGランクからで、Fまで行くのも困難らしい。その点Dから始める俺は卑怯だと思うがキラさんいわく皆のためらしい。現在ギルドに行くというところまで話した。ちなみにキラさんがギルドに来れないのはそう簡単に宮殿魔術師が外に出てはたまらないからだろう。
「?なぜ固まってるんですか?」
あれキラさん読心術持ってなかったけ?
「うっ!」
崇の手がぴくりと動いた。
「話してる場合じゃないようですね」
「ああ。そうだな。ちょっとやりたいことあるから、襲ってきたら俺に任せてくれ」
幸い崇は決闘場にいるから、万が一のために決闘場の(HP減少→MP減少)スイッチを入れておこう。
「ん?ここは?」
崇が起き上がる。
「よう崇。ここは決闘場。お前は負けたんだよ」
「うそだ!いんちきだ!何かの間違いだ!」
「うそじゃない。いんちきじゃない。何かの間違いでもない」
「俺が負けるはず無いんだ!召喚!『騎士剣』!『狂乱剣嵐』!!」
「狂乱か。今のお前にぴったりだ。だがそんなんじゃ俺に勝てん!」
手の平に火属性の魔力を集める。そしてそれを
「『圧縮』!」
手の平に赤い石ができる。
「『点火』!」
赤い石が燃え出す。手の平を崇に向け
「『発射』ぁぁぁ!」
赤い石が崇に向かって勢い良く飛び出す。実験成功だ。
「うがあ゛ぁぁぁぁ!」
赤い石が当たった崇は燃え始める。ちなみに赤い石は、崇に当たった瞬間に、霧化したため体を貫いていない。
「あ゛ぁぁ」
という声とともに火は消え、崇は倒れる。
「『気絶回復』」
崇の体が光り、崇が起き上がる。
「くっ!俺は負けたのか・・・」
気絶回復の影響もあるだろうがさっきより冷静になっている。
「ほう。もう襲ってこないのか?」
挑発してみる。
「誰がお前みたいな化け物と三回も勝負したがるんだよ」
「普通二回もやらないぞ」
「うるせー」
「って事で和也をもういじめんなよ?」
「おう。わっかてらー。和也だけじゃなく、もう誰もいじめねーよ。・・・いじめられるほうの気持ちもわかったし」
「これにて一件落着」
「そういやお前大会出るんだろ?」
「そうだが何か?」
「その大会に俺も出るんだよ。お前とは駆け引きなしの真剣勝負をしたくなってな。訓練とかめんどくさくてサボったことも何回かあったけど、これからはまじめに取り組んで、大会の優勝は俺がもらう!」
さっきと違って良い目してるじゃないかこいつ。これからもっと成長しそうだ。まぁ
「優勝は渡さない」
けどな。さてとそろそろギルド行かないと。
「キラさん。キラさんがギルドまで来ないとしても、俺がギルドまでの行き方を知らないので誰かしら来るんでしょう?」
「はい。ニードを付けようかと。世間的にはあまり知られてませんし」
ニード、つまり優か。
「なるほど。で、そろそろ行かないとやばいと思うんだけど優とはどこで待ち合わせ?」
「もういますよ?」
「何だいたのか」
「はい。純弥さんが隆さんと話してる時に来ました」
「そんなときからいたんだ。気づかなかったよ」
「かなり話に夢中になってましたからね。そろそろ行きましょう」
「そうだな」
俺と優は城から出て冒険者ギルドに向かうのだった。
~15分後~
俺達は冒険者ギルドについていた。着いたのはいいが中に入るのに少し戸惑いがある。なんか後ろからマッチョなおじさんがじっとこちらを見つめているのだ。まるで『入るんじゃねぇ』と言いたそうな視線で。しかし問題ないはずだ。キラさん曰く俺はDランク以上の実力があるらしい。なのでそこらへんの筋肉マッチョごときどうにでもなる。すこし不安はあるが先に進まなければ始まらないので勇気を振り絞り、扉を開けた。扉の先にあったのは左に酒場と階段、右にカウンターが6つだった。カウンターは買い取りカウンターが2つ、クエストカウンターが4つで質問カウンターは2階にあるらしい。俺達が向かうのは質問カウンターだ。階段へ向かおうとすると声をかけられた。
「おい。ここはお前達みたいなちびが来る場所じゃねぇ。さっさと帰るんだな」
ギルドで絡まれるとかテンプレかよ。
「お前らには関係ねぇだろ?その脂っこい手をどかしてくれない?」
「何だと!?ちびの分際で!」
俺はパッシブスキルの魔力感知拒否を切る(訓練していて出来るようになった)。そして莫大な魔力を放出し、あいてをにらみつける。
「あ゛?やんのか?」
通常一般人は魔力を感じないが、ここまでの魔力となると別である。その莫大な魔力を浴びた者は『これ以上こいつに手を出してはいけない』と自然に頭で理解できてしまうのだ。それはこの筋肉マッチョとて例外じゃない。
「すいませんでした!」
筋肉マッチョは逃げるように帰っていく。俺は魔力を引っ込め、魔力感知拒否をONにした。
「よし行こうかニード」
外では優と呼ばないほうが良いと言われたのでニードと呼んでいる。
「は、はい。そうですね」
そして俺達は2階へと向かった。質問カウンターでのやり取りは優がやるらしい。
「質問カウンターへようこそ。用件は何でしょう?」
「この方のギルド登録をしたいんですが、ギルドマスターに合わせてくれませんか?」
といいながら優は懐から手紙を出し、渡した。その手紙を見たとたんに、質問カウンターの人は顔を真っ青にし、こちらに一礼してから奥に引っ込んだ。そしてまた戻ってきて
「こちらへどうぞ」
と奥の部屋へ案内された。その部屋にいたのは
筋肉ムキムキの派手派手のおっさん。
ではなく、普通の男性より少し体格が良いくらいのおっさんだった。
「よう。お前が純弥か。思ってたより普通で悪いな」
読まれてたようだ。
「いえ。こちらこそ」
なぜこのようなことを言うのかというと、手紙の内容が
『ようグッロズ。突然だがそっちに怪物みたいな奴が来る。少し外見で驚くかもしれないが、悪いやつじゃないので良くしてやってくれ。少し事情があってそいつをDランクから登録して欲しいんだ。よろしく頼む。
サムトル王国 国王より』
怪物、外見で驚く。こういう書き方をされたらほとんどの人は俺の正反対のような奴を想像するだろうからだ。俺がギルマスを筋肉ムキムキな人を想像していたように。ちなみにグッロズとはギルマスの名前である。
「まさかキラより年下だとはな」
「キラさんって何歳ですか?」
「32歳だ。そして素で話せ」
へー。そうなんだ。そうそう。
「俺は何歳に見える?」
「うーん。髪と目は黒で、肌は橙色。そして名前からして東あたりからきたっぽいな・・・14歳か?」
「ビンゴ!良くわかったな」
「今までいろんな民族を見たからな。特徴でわかる」
ほう。『え!もっと下かと思った!』的なテンプレはないのか。
「さてと本題に移ろうか」
「なんだっけ?」
「登録だろ?」
「そうだったそうだった」
「さてなぜDからなのかは問わない。ただし金は出してもらう」
「まぁわかってた。しかし俺は金を持ってないぞ」
「知っている。クエストの賞金から取らせてもらう」
「了解」
「登録はここで良いか?」
「ああ。下でやるとめんどくさそうだしな」
「よしこのカードに血をたらしてくれ」
「これで良いか?」
俺は魔法で血をたらした。
「おう。これをこーして。よし。これで完成だ。ほい!」
ギルマスがカードを投げ渡した。
「おっと。予想以上に短かったな」
「ギルマスだから直接アクセスできるんだ」
「なにに?」
「企業秘密」
「で、大会はどうやって出場するんだ?」
「もう登録した」
「仕事が速いな」
「そうだろ?これからよろしくな!」
「おう!」
俺とギルマスは手を取り合った。
有り難うございました。




