第九十九節 盗賊ね~……その3
城に戻った私達は、荷車の荷物を馬車に積む為に厩舎に向かった。
いつも、ここに到着するとすぐに馬車を預かってくれるので
ここに来たのは初めてだ。
まだ厩舎までは距離があるが、どう見ても立派な建物だ。
斜めからでも、その大きな入り口から中が良く見える。
そこには何十頭もの馬が綺麗に区画整理されるように並んでいるが、
そのスペースはかなり広い。
馬車も相当の数が並んでいる。
やがて厩舎の中が見えてくると、その奥行きに驚いた。
いったい何百メートルあるのだろう?
向こうの人が小さく見える。
遠近感がある厩舎とは凄いな……
厩舎の中まで荷車を引いて行くと、馬の世話をしていた人が駆け寄って来た。
「あっ、お出かけですか?」
それに手を振りながら答えた。
「いや、この荷物を積みに来ただけです」
それをすぐに理解したようで、笑顔で会釈をして馬の方に戻って行った。
ひとまず、積むだけ積んでしまおう。
「この荷物を上げるから、誰か上に乗ってくれるか?」
「がってんでやす」
真っ先に、安が馬車の上に跳ね上がるように乗った。
私が大物の荷物から馬車に上げていると、
遥子達はお気に入りの装備を喜んで選んでいる。
「おいおい、後でゆっくり選んだ方が良いんじゃないのか?」
そんな私の言葉に、遥子は笑顔を見せる。
「え~? ちょっとくらいイイじゃない」
遥子の答えに、おもわず呆れたように眉を上げた。
大雑把に馬車に荷物を載せて終わると、荷車に困った……
とりあえず先程の人に近寄って行くと、私に気付いて声を掛けてきた。
「あれ? どうしました?」
「あの……向こうにある荷車を処分したいんですが、どこに持って行けば……」
それに目を丸くして視線を荷車の方に向けた。
「あっ……それでしたらココで使いますので、その辺りに置いて行って貰って構いませんよ」
おや、それは助かる。
「では、置いて行きますので後はお願いします」
私の言葉に笑顔で頷くと、また馬の世話を始めた。
邪魔にならない所に荷車を移動させて、私達はポリニャー伯爵の部屋へ向かった。
「只今、戻りました」
私達が部屋に入ると、伯爵は皆のいでたちに驚いている。
「おやおや? 皆さん、ずいぶんと装備が良くなってませんか~?」
私は、それに答えた。
「あぁ……山で拾って来ました」
「山で……なるほど……って、いやいやいやいや! 山に、それは落ちて無いでしょう~? だって、そんな……えぇ~?」
伯爵は、それ等を指差しながら驚いているが今は本題が先だ……
「それより、盗賊のアジトを見つけてきました。それで騎士達をお借りしますが、宜しいですね?」
「あ、それは大丈夫です! もう、話は通してあります! いつでも出発できますよ~」
私達は、伯爵の先導で部屋を出た。
討伐隊を待機させてあると言う部屋に行くと、そこには30人ほどの騎士が待っていた。
「えぇ、では皆さん! こちらの勇太さんの言う事を、よ~く聞いて下さいね~? では私は、これにて失礼致します~」
伯爵は、早々に部屋を後にした。
私は、大きな声で騎士達に言った。
「では、さっそくですが醸造所に向かって下さい。できるだけ派手にお願いします」
それに騎士達は、キョトンとした表情を浮かべた。
「え? 派手にですか?」
「えぇ、驚くほど賑やかに追い込んで頂けると助かります」
私の言葉に、理解できないと言った表情を浮かべている。
「それでは、余計に逃げられてしまいますが……」
それに、1つ頷いて答えた。
「はい、それで構いません。その代わり今回は、最後までシッカリと追いかけてください。
宜しくお願いします」
私が深く頭を下げると、何やら不思議そうにしながらも素直に頷く。
そして騎士達は、首を傾げながらも醸造所に向かう為に部屋を出て行った。
私がダッツとナーヴェに視線を向けると、
二人は小さく頷いて騎士の後ろを付いて行った。
さて……後は、ゆっくり待つとするか……




