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第九十七節 盗賊ね~……その2

 奴等を、通りから少し外れた木に縛り付けてから山道を進んで行った。

しばらく歩いて行くと、先の方にアジトらしき建物が見えてきた。

まるでログハウスのような雰囲気の、丸太で組まれた家だ。

作りがシッカリしているらしく、二階建てになっている。

だが、どうも人の気配が無い……

まさか、全員が酒造所に行ってるのか?

いや……さすがに、無人と言う事は無いはずだ……

だが、もし無人であるなら相当な罠があるかもしれない。

ここは、慎重に行くべきだろう……


 木の影に隠れながらアジトに接近していくと、

二階の窓に何かが見えた。

ん? 人か?

これは、見つかれば厄介な事になるな……

手振りで皆に合図しながら、建物の裏手に回って行った。


「ナーヴェ……頼む……」

小さく頷くと、裏口の前に移動した。

そして次の瞬間には、その扉は開いていた。

これだけ早いと、鍵と言う物が無意味に思えてくる……



 さて……ひとまず、見張りを何とかしなければなるまい……

一階が異様に静かな所を見ると、全員二階に居るはずだ。

何人か確認できていないが、大した人数では無いだろう。

ダッツとナーヴェに合図を出す。

三人で、静かに階段を上がって行った。


 居た……

やはり三方向に一人ずつ……

奴等は窓の外を、ひたすらに眺めている。

二人には両サイドを頼んで、私は正面を担当した。

奴に一気に駆け寄って首を締め上げる。

しばらく暴れていたが、更に力を込めるとそのまま意識を失った。

ふと後ろを見ると、すでにダッツとナーヴェは奴等を縛り始めている。

君達……どんだけ、仕事が早いんですか……



 奴等をクローゼットのような戸棚に放り込んでから階段を下りて行くと、

遥子に呼ばれた。

「安が、ここが怪しいって言ってるわよ……」

遥子は、何の変哲も無い床を指差していた。

安はそこに伏せるように耳を当てながら、しきりに床を叩いている。

しばらく間を置いて、呟くように言った。

「間違い無いでやす……いいですか? 行きやすよ……」

皆に手の平を向けて離れるように指示しているので私達は数歩後ろに下がった。

安が思い切り踏み込むと勢い良く床が跳ね上がった。

中を覗き込むと、そこには地下へ続く階段がある。

「安は、本当に凄いな……」

目を丸くして感心していると、安はこちらをチラッと見て照れ笑いを浮かべていた。



 蓮が、素早くハッカマンを取り出して火を付ける。

「どうぞ……」

私に渡してくれたので、

「あ……ありがとう」

素直に、それを受け取った。


 さて……この中に、何があるやら……

慎重に降りて行くと、立派な鉄の扉があった。

「さすがに厳重だな……」

私の横をダッツがすり抜ける。

そして扉の前に立ったと思ったら、重い金属音が響いた。

「開きました……」

本当に、鍵の意味ねぇよ……


 おもむろに扉を開けて中を覗き込む。

ハッカマンを差し出すと、皆の歓声が上がった。

そこは、まるで武具の博物館のようだ。

剣や鎧はもちろんの事、盾に道具と所狭しと並べられていた。

「こりゃ、凄いな……それじゃ、さっさと頂くとするか……」

それに皆は、素直に頷いた。


 皆は喜んで装備を選んでいるが、私だけは見て回りながら唸っていた。

ひとまず何かの時の為に一本の剣を手にしていたが、

どうも今の装備以上に良い物が見当たらない。

これは困ったな……

その時、木の箱がある事に気が付いた。

これは、何だ?

おもむろに開けると、思わず声が出た。

「おぉ、良い物があるじゃないか!」

その時、安が覗き込んできた。

「それは、何でやす?」

それを1つ取り出して、安に見せる。

「これはマキビシと言ってな、道にバラ撒いておくと足に突き刺さる罠だな……」

「うわっ! 痛そうでやすね……」

安は眉を顰めて、とても嫌そうな表情を浮かべている。

それも、そのはずである。

私が手にしている物は、テレビで良く見るような小さな物ではない。

一本5センチはあろうかと言う鋭い針が三角錐状に飛び出している。

こんな物を踏んだら足など軽く突き抜けてしまうだろう。

それこそ鉄製の靴でも履いていなければ防ぎようが無い。

それが、二つの木箱の中にビッシリと入っていた。

「これを頂いていこう……」

私は、おもわずニヤケテしまった……



「さて、行くとするか」

ふと後ろを見て唖然とした……

全員が、あり得ない程の大荷物を手にしていたのだ。

「どうやって、持って行くんだよ……それ……」

それに、翔子が答えた。

「あっ、それなら外に荷車がありましたので大丈夫ですよ」

「あっ……そう……」

ならば、この際だから遠慮する事は無いか……

「それじゃ、軒並み頂いて行くとするか!」

それに皆は、不敵な笑みを浮かべながら頷いた。


 私は、武具で満載になった荷車を引きながら山を降りていた。

「あのさ……誰か手伝わない?」

「何言ってるのよ! そう言うのは、男性の仕事でしょ?」

また、あっさり言いやがる……

まぁ、下りだし……仕方ないか……


 山道の分かれ道で、荷車を止めた。

「これを曲がって行くと、醸造所だよな?」

遥子は、おもむろに地図を広げた。

「そうね……川があるけど、一応は一本道になってるわね……」

なるほど……

「そしたら、ちょっとここで待っててくれないか?」

「ん? 別に良いけど……何するの?」

不思議そうにしている遥子に、私は笑みを浮かべた。

「まぁ、ちょっと野暮用さ……」

私は木の箱を肩に担ぐと、

ダッツとナーヴェを連れて醸造所の方角へと向かった。












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