第九十六節 微妙な視線 安の場合3
ども、皆と盗賊のアジトを目指してる安でやす。
しかし、旦那は本当に凄いでやす。
まさか、片言の言葉で奴等の注意を引くとは思っていやせんでした。
でも、その後が大変だったでやすよ。
遥子姉さんは、またメチャクチャ怒ってるし……
……
「あんた、本当にバカなんじゃないの? バカなんでしょ!」
「いや……そう言われても……まぁ、上手く行ったんだから良いではないか」
「それが、バカだって言うのよ! あんな子供みたいな作戦、誰が使うのよ!
良く考えなさいよ!」
そこに、ダッツさんが言いやした。
「いや……あの時間稼ぎは、私達にしてみればかなり助かりましたよ?」
遥子さんはダッツさんを、キッ! っと睨みやした。
「そんな風に甘やかすから、あんなバカな作戦を平気でやるのよ! ダメよ!
コイツを甘やかしちゃ!」
ダッツさんが苦笑いを浮かべていると、勇太さんが言いやした。
「まぁまぁ……これからが本番だ。皆、頼むぞ!」
皆は素直に頷きやしたが遥子さんは、プイッ! っと顔をそむけやした。
それにしても……この二人は、どうなってるんでやしょうね~?
仲が良いやら、悪いやら……
お互いに、凄く大切に想っている事は良く解るんでやすよ。
でも……まったく不思議な関係の二人でやす……
器用なのか、不器用なのか……
あっしにも、全然わからないでやすよ……
それでも、二人が凄いのは確かでやす!
やっぱり、あっしはこの二人に生涯付いて行くでやす!