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第九節 塔の攻略ねぇ……その3

 もう、何階分を登ってきただろうか?

すでに数え切れないほど謎を解いてが、

この塔は本当に長い……

息を切らせながら階段を上がり、次のフロアに来ると奴は居た。

「よくぞ来たな、私の名はシュウ・トウ。察しの通り、二人目の守護神だ」

何だか先ほどと、ずいぶん雰囲気が違うな……

同じような白っぽい鎧を着ているが、切れ長の目でシッカリした顔付きだ。

先程の奴と違い、スッとしたいでたちはいかにも強そうだ……

ん? アレは何だ?

隣に置いてある、立派そうな鎧が気になって見ていると奴が言った。

「これが気になるか? もし私に勝てたなら、この鎧をやろう」

おや、ずいぶんと気前が良いな。

きっと、よほどの自信があるのだろう。

しかし、何だか真面目そうな奴だな……

さて、どうしたもんだか……


 私は、奴に言った。

「それで、どうやって戦うんだ?」

奴は笑みを浮かべて、それに答える。

「お前は、見たところ戦士に向いているようだ。その剣で戦うが良い」

やはり真面目だな……

これは、前の奴みたいなハッタリは通用しそうに無い。



 そこに、後方へと思い切り弾き飛ばされる私が居た。

「そんな打ち込みでは、私には届かないぞ! もっと腰を入れろ!」

一体、コイツは何だ?

「踏み込みが甘い!」

また私は、剣を弾かれ後へと倒れこむ。

最初から、ずっとこうだ。

どう考えても、稽古を付けられているようにしか思えない。

何を考えているのだ?

だが、奴に勝たなければ先には進めないだろう。

仕方が無い……今は、これに付き合うしか手は無い。

私は気合を入れ直して、奴に打ち込んで行った。


 くそ……ダメか……

「何だ? もう終わりか? 貴様の力はその程度か?」

私は、すでに息が上がって体力も尽き掛けている。

人を見下した視線に腹が立つが、どうにも勝てる気がしない。

どうすりゃいいのだ?

「まだ判らぬか? 貴様には、それほどまでに疲れる故を考える頭は無いのか?」

なんかムカつくが、奴の言う通りだ。

力任せに斬り掛かっても、あっさりと受け流されてしまう。

今までで判った事は、効率の悪さだ。

これを改善しなければ、絶対に勝てないだろう。

私は、さらに斬りかかる。

しっかりと……

素早く……

体の回転とバネ……

腰の入った踏み込み。

それ等を意識しながら、ひたすらに斬り込んで行った。

ん? この感覚か?

剣の、風を切る音が変わった。

疲れて果てているはずの身体が、不思議なくらいに動き始めている。

何とか、奴と打ち合えている……いいぞ……

私にも信じられないほど、流れるような連打が奴に襲い掛かる。

その時、奴の剣が弾き上がった。

今だ……

私は一気に踏み込み、その胴に向かって真横へと剣を振り抜いた。


 どのくらいの時間だろう?

一瞬の沈黙は、私にはとても長く感じられた。

「見事だ……」

奴は僅かな笑みを浮かべると、床へと崩れ落ちた。


 まさか、勝ったのか?

とても信じられない……

奴を確認すると、すでに息耐えているようだ。

私は大きく溜め息をつくと、崩れるように座りこんだ。

そして、両手を天に向かって勢い良く掲げた。

「勝ったぞ~!」




















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