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第八十節 ひとまず……

 目の前の反則的な超美少年に唖然としてしまったが、

ようやく思考が戻ってきた。

皆も何とか落ち着いてきたようで、それぞれに笑顔で声を掛け合っている。

とにかく、これでビーは完全な人間だ。

フローラの側に居ても何の問題も無いだろう。

まぁ、こうなると違う意味で目立ちそうだが……


 その時、オークス伯爵が部屋に入ってきた。

「残務処理に追われてしまいました。ようやく戻る準備が整い……なんと!?

これは、いったい……まさか君は……あの、ビ……ビっビー君なのか?」

驚きのあまり、声が裏返っている。

激しく姿が変わったビーを見て、目を丸くしていた。

完全に言葉を失って立ち尽くしているオークス伯爵に、私は言った。

「ビーは、完全に人間に戻る事が出来ました。もし宜しければ、

フローラ令嬢の側で仕えさせて頂きたいのですが……」

それに、はっ! としたように私を見た。

「あ……あぁ……この姿なら、全く問題は無いだろう。

いや……それどころか……」

そのまま、しばらく考え込んでから話を続けた。

「フローラ……お前は、どうしたいんだ?」

それに驚いたように、オークス伯爵を見た。

「ビー君は、私の大切なお友達よ? どうしろって言われても……」

「そうか……」

そのまま二人は考え込んでしまった。


「あの……」

私が問いかけると、二人は私に注目する。

「遠い親戚から、貴族としての作法を叩き込んで欲しいと言われて預かった……

とかにしてみたら、いかがです?」

それに、オークス伯爵は目を丸くした。

「おぉ! その手があったか! 確かに、そのようなホームステイは聞いた事がある。

それなら十分に通用するはずだ。だが……それを公認にするには、

ソコスベリー候の許可を頂かなければならないのだが……」

それに、私は笑みを浮かべた。

「あぁ……それなら任せておいて下さい。その位の恩なら、すでにソコスベリー候に売ってあります」

「おぉ……何と、頼もしい……」

本当に、あの爺さん……良い部下に恵まれすぎだろ……


 私は、セント・ネコデスに言った。

「それでサンタの所へは、オークス伯爵を東の城までお送りした後になってしまいますが、宜しいですか?」

その言葉に眉を顰める。

「それ……なんだが……もう少しだけ、待って頂けないか?」

ん? どう言う事だ?

私が首を傾げていると話を続けた。

「いや……この貴重な魔法書を目の前にして、私の好奇心に火が付いてしまってな……それに浄化儀式では、そちらのお嬢さん達にも手伝って貰ったからな……今度は、私が協力したいのだよ」

なるほどね……

「では、私達はオークス伯爵達をお送りしてきます。3人を、宜しくお願い致します」

私が頭を下げると、セント・ネコデスはそれに頷いた。



 先程から、遥子の機嫌が悪い。

「まったく! どうして、こんなに覚えなきゃいけないのよ! なんで魔法なんてやっちゃったのかしら!」

「まぁまぁ……セント・ネコデスさんも、手伝ってくれるからさ……もう少し頑張ってくれよ」

そんな私の言葉に、プイッと顔をそむけた。

そこに、セント・ネコデスが静かに言った。

「お嬢さん達からは、只ならぬ魔法センスを感じる。この位、訳なく覚えられるさ」

その言葉で、3人は花が咲いたような笑顔に変わった。

この人、乗せ方が上手いな……私も見習わなければ……



 私がソリの準備をしていると、ビーが来た。

「あの……」

「ん? どうした?」

何かビーは、微妙にモジモジしている……

「いや……こんなにして頂いて、僕は皆さんに何も出来ないのでしょうか?」

「何言ってるんだよ。浮遊鉱石の発見を手伝ってくれたじゃないか。あとはオークス伯爵の下で、シッカリと貴族の勉強でもしていればイイさ」

「でも……」

私は、それに笑みを浮かべた。

「お前だから言うが……ソコスベリー候の事だがな……あの爺さんは、実のところ全く信用ならん……これからは、お前がオークス伯爵とフローラを守ってくれ。いや……まずは、守れるだけの力を付ける事が先決だ。後は頼んだぞ……」

「は……はい! 本当にありがとうございます! ありがとうごだいばず~……」

「おいおい……泣いてどうするよ……」

ビーの目からは涙が全開で溢れているが、それでも必死に訴えてきた。

「ごめんなだい……もう、泣ぎまでん! もう、泣ぎまでんがら……」

私はビーを腕で思い切り包み込んで、その手の平で何度も肩を叩いていた。












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