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第七十二節 救出ね~……

 私達は地下に向かっている。

今回は5人。

私と安と伊代、そしてダッツとナーヴェだ。

かなり力押しになるが、何とかなるだろうか?

まぁ、最悪の場合はマッシグラ召還と言う奥の手もあるので

精神的には余裕がある。


 階段を下りていくと明かりが見えてきた。

あの曲がり角の向こうに奴等が居るはずだ。

私は静かに覗き込んだ。

通路の幅は3メートル弱と言った所か……

決して広くは無い。

そして、その奥には相当の人数が確認できた。


(行くぞ……)

私が小声で言うと、皆が頷いた。

まずは全員で行ける所まで走る。

奴等が私達に気付くと、前衛がこちらに向かってきた。

「よし、ここだ!」

私を中心にダッツとナーヴェが左右に並ぶ。

一斉に剣を引き抜くとフェンシングのように構えた。

剣を振りかぶってくる奴等に飛び跳ねながら突きを放つと、その喉元を一気に貫いた。

それを引き抜き、更に後ろから来た奴へと突き刺す。

勢いに任せて突っ込んでくる奴等は、仲間に邪魔されて思うように剣を振る事が出来ない。

それを利用し、ひたすらに敵を倒していった。


 その時、私達の足元を安と伊代がすり抜けた。

その低さを利用して、奴等の足を縦横無尽に切り刻んで行く。

満員電車のようになった通路では、足元を駆け巡る二人に攻撃など出来ない。

奴等は、そのままパニック状態に陥って行った。


「終わったか……」

辺りに鎧がゴロゴロしているが、それは人の姿をとどめて居ない。

中からはみ出した、魔物の死骸がグロテスクだ……

ん?

今の気配は何だ?

「あっちでやすね」

先へ歩いて行こうとする、安の肩を掴んだ。

その振り向き様に、口元へ人差し指を当てる。

静かに鎧の兜を拾うと、それを安に渡して身振り手振りで合図をする。

それを理解したようで、安は笑みを浮かべながら頷いた。


 私は忍び足で前の方に歩いて行って、安に指で指示を出す。

それに合わせて、安は思いっきり兜を投げた。

兜が勢い良く私の横を通り過ぎると、すぐ前の影から勢い良くそれに飛び掛ってきた。

「はい、残念……」

その言葉に目を点にして振り返るが、時すでに遅し……

私が剣を振り抜くと、ソイツの首は身体と分離した。


「今度こそ、終わったようだな……」

ふと見下ろすと最後の奴の腰に鍵が付いている。それを、おもむろに取り上げた。

前方を見ると、なかなか頑丈そうな扉がある。

なるほど……鉄格子じゃ無いのか……

「どうやら、あの扉のようだな」

その鍵を入れて回すと、重い金属音が辺りに響いた。



 扉を静かに開けると、一人の老人が机に向かっている。

そして、書き物をしたまま声をあげた。

「誰だ?」

「私は今野勇太と申します。セント・ネコデスさんですね?」

こちらに視線を向ける気は無いようだ。

「あぁ、そうだが……いったい何の用だ?」

「貴方を助けにやって参りました」

ようやくこちらに視線を向けると、不敵な笑みを見せた。

「私を助けるだと? 何かの夢でも見ているのか? 悪いが信じられんな……」

また机に向かってしまった。


 私は大きく溜め息をついた。

「サンタ達は、貴方の弔い合戦と称して人間を惨殺していましたよ?」

その言葉で、セント・ネコデスの筆が止まった。

そして私をゆっくりと見た。

「それで、サンタ達は……」

「えぇ、戦いは和平交渉と言う形で辞めさせてきました。そして真実を突き止める為に全力を尽くすとサンタ達に約束したのです。申し訳ないが、貴方が信じようと信じまいと関係ない。一緒に来て頂きますよ?」

それに眉を顰めた。

「まさか……本当なのか……」

私が頷くと、セント・ネコデスは静かに立ち上がった。

「頼む、サンタ達に会わせてくれ……」













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