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第六十一節 さてと……

 さて……娘さんの救出が一段落した所で、次の行動が問題だ。

ひとまずオークス伯爵の状況は気になるが、百合の側近として入り込んでいるなら

下手に手が出せない。

それなりの根回しが必要になりそうだ。

何しろ、セント・ネコデスの救出とセットで進めなければいけない。

焦りは禁物である。

少なくとも、今は派手な先手を打つべきではない。

私達の到着を、手ぐすね引いて待ち構えているかもしれないのだ。

ならば、奴等の出方次第で対応を変えた方が、よほど安全だ。

もし奴等が私達の動きに感づいたとすれば、必ず何かしらの対策を打ってくるはず。

後手に回っても、十分に付け入る隙はある。

いや……ここは、すらっとぼけて奴等の焦りを生むくらいのが策を立てやすい。

オークス伯爵には悪いが、ここはまず浮遊鉱石の入手を優先するべきだ。



 そんな事を考えていると、ようやく魔物が落ち着きを取り戻してきた。

私は、ふと尋ねてみた。

「お前、名前は?」

魔物は私を見て答えた。

「僕は、世話係Bと申します」

「ん? なんだ、それ……」

おもわず首を傾げると、魔物は続けた。

「僕達は、役割がそのまま名前になっています。世話係は二人居たので、僕はBです」

おいおい……なんてラフな世界なんだ……

私は大きく溜め息をついた。

「それじゃ、名前とは言えないだろう……」

おもわず腕を組んでいると、オークス令嬢が言った。

「私ビー君って呼んでましたよ?」

ほう……それなら、少しは名前らしいか……

「それじゃ、ひとまずビーで良いか……ところでお嬢さんの名前は?」

「私は、フローラ・オークスです」

おいおい……競馬繋がりかよ……



 私はフローラに言った。

「君のお父さんを救い出すには、かなりの時間が掛かりそうだ。その前に、こちらの用事を済ませたいんだが良いかな?」

その言葉に続くように答えた。

「やはり、お父さんは魔物に加担していたんですね……以前から、変だとは思っていたんです……」

フローラは、暗い表情で俯いている。

そして、何かを思い立ったように顔を上げた。

「解りました。確かにお父さんの事は心配ですが、皆様は私を助けてくれた恩人です。きっと、助けて頂けると信じております」

私は、その熱い眼差しに頷くしか出来なかった。

参ったな……

こりゃ、責任重大だぞ……




 まずは、メンバーの選出だ。

私は、少し声を大きくした。

「今回は、3班に分かれようと思う」

その言葉で皆が注目する。

「まずはビーだが、ブットビ山には詳しいよな?」

驚いたような顔で、私を見ている。

「浮遊鉱石の採取に協力して欲しいんだがイイか?」

「はい! 僕に出来ることでしたら!」

私は、それに頷いた。

「ではブットビ山に採取に行くのは、私と安とビー。フローラの護衛に、遥子と蓮と翔子と伊代。そしてソコスベリー候の監視を、ダッツとナーヴェに頼みたい」

それに遥子が、不思議そうに聞いてきた。

「何で監視?」

「あぁ、あの爺さんはどうにも信用ならん……下手すると魔物と連絡を取るかもしれないからな。それ次第では、こちらの動きも変えていかなければならない」

僅かな沈黙の後に、遥子が言った。

「確かに……やりそうだわ……」

それに皆も、呆れたように眉を上げた。















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