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第五十五節 さて……

 気味が悪いくらいに静かだ……

城から少しはなれた所に降りてもらったが、まだ魔物の気配は感じられない。

だが、奴等はすでに私達を察知しているはずだ。

油断は出来ない……

「念の為に、ネコミミカチューシャを付けて置けよ」

それに、皆が頷く。

「さて……行くか……」

城下町を抜けて、城に入っていくと

かなり激戦の跡が見て取れる。

元は立派だったであろう城の内部は、

騎士の遺体と共に激しく焼けただれていた。

きっと火を放ったのだろう。


「助けてください……」

一人の少女が、フラフラと私の元に歩いてくる。

それに笑みを浮かべながら、一気に両断する。

「貴様等! 汚ない真似してねぇで、とっとと出てきやがれ!」

私の言葉が辺りに響き渡ると、また静寂が訪れた。


 来た……

城のあらゆる影から、魔物がウヨウヨと出てきやがった。

もはや数えるとか言うレベルではない。

私達は魔物の大群に囲まれた。

奴等がこちらに歩みを進めてくる。

「ねぇ……」

不安になる、遥子の声を静止するように私は言った。

「まだだ……限界まで待ってくれ……」

先頭の魔物が少し離れた位置まで来ると、奴等は歩みを止めた。

僅かな沈黙を確認すると、奴等が一斉に唸り声を上げた。

まるで、城を崩壊させんばかりの振動が響き渡る。

そして、こちらに向かって一斉に走り出した。

その時、おもむろに鏡を取り出す。

「聖猫マッシグラ召還!」

鏡から光の玉が飛び出すと、それは宙に留まった。

金属音にも似た高周波が、まるでジェットエンジンの回転を上げるかの如く辺りに響き始める。

それは、もはや耳を切り裂かんばかりに激しく響き渡った。

その時、光の玉からとてつもない閃光が一気に溢れた。

私は、それに思わず顔をそむける。

城全体が眩しい光に包まれると共に、魔物の唸り声が一斉に響いた。

翳した腕の隙間から様子を伺うと、魔物達からは炎が上がり見る見るうちに焼き尽くされて行く。

それは、まさに断末魔の叫びだった。


 やがて眩い光が消えていくと、

そこには真っ黒に焼け爛れた魔物の死骸が一面に転がっていた。

「これは、凄いな……瞬殺じゃん……」

私が声を上げると、鏡からマッシグラが語りかけてくる。

「気をつけろ、まだ強い力が残っている……」

その時、奥から唸り声が聞こえた……

「おのれ……」

何者かが、こちらに向かって歩いてくる。

やがて窓から差し込む光に晒されると、その姿を確認できた。

それは全身が激しく焼け爛れて、部分的に骨まで露出している。

うわキモっ! あれじゃゾンビ状態じゃないか……

あれで生きてるって、ちょっとシブトイにも程があるだろ……

だが、奴をやらなければ終わらない。

私は覚悟を決めた。


「皆、行くぞ!」

おもむろに剣を引き抜くと一気にダッシュする。

そして、一足先に安の連撃が始まった。

ん? 何だ?

「皆! いったん引け!」

安の剣が、奴に当たっていない……

そして放射状に、何かが赤く弾けるのが見えた。

これは、もしや……


「ガード魔法?」

先に、伊代がその言葉を口にした。

「さて……どうする?」

私の問いに、少し間を空けて言った。

「あのガードは、そうそう破壊できそうにありませんね……」

だよな……

「ですが、その剣なら……もしや……」

「ん? 何か手があるのか?」

伊代は、それに頷いた。

「私も聞いた事しかありませんが、魔力を宿した剣と言う物があるそうです」

ほう……

「そして勇太さんの剣は、それにとても良く似ています。

振り抜いた時に発する白い光などは、まさにその特徴と一致します」

なるほど……

「その剣ならば、あのガード魔法を破れるかもしれません」

「では、やってみるか……」

私は、間髪入れずに奴に向かって一気に走った。

剣を真横に振り抜くと、先程とは明らかに違う甲高い音が響く。

先程は火花のように散っていた放射状の赤い光も、

破片が飛び散るように大きく溢れている。

しかし確かな手応えは感じるが、まだ破壊出来てはいない。

「ならば、これでどうだ!」

剣の反動に任せ回転しながらもう一度踏み込むと、

確実な手応えと共にまるでガラスが割れたような音が辺りに響き渡った。

「な…なんだと……」

焦る奴に向かって笑みを浮かべると、

その回転を利用してさらに踏み込んだ……


「これで、終わりだ……」

奴の首が滑り落ちるように落下すると、固い床で鈍い音を立てる。

そして僅かの間を空けて、奴は血飛沫を舞き上げながら崩れるように横たわった。












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