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第五十節 さて、どうなる?

 私達は、サンタの群れを連れて本部まで来た。

数え切れない程のサンタを前にして、皆は緊張している。

「隊長、一つ聞いていいですか?」

「あぁ、なんだ?」

「まずは、セント・ネコデスを処刑した人物を知りたい」

隊長は、何か考え込むように切り出した。

「それに関してだが……」

少し間を置いてから話し始めた。

「公式には、デヴォンニャー公爵が指示を出したとされているが……

多分、事実は違うはずだ……

刻少佐百合の策略だと言う説が有力なんだが、裏は取れていない」

やはりな……

「隊長。正直に言ってくれて、ありがとうございます」

私の言葉に、隊長は頷いた。

続けて、サンタに向けて言った。

「私達は、ただの冒険者だ。

そして、この世界の住人でさえ無い。

この国家では、私はあまりに無力だ。

どこまで事実を暴けるか判らないが、私は全力を尽くそうと思っている。

それで理解してくれるか?」

サンタ達は、難しい顔で頷いた。

「そしてもう一つ。どう頑張った所で、この町の人々を惨殺した事実は消えない。

今は、お互いに行き来する事は辞めた方が良いと思う」

それにも、サンタ達は頷いた。

「では、隊長。承認して頂けますか?」

「あぁ、解った。セント・ネコデスが連れて行かれる時に、

黙って見ていたのは町の皆だ。その責任は常々感じている。

この和平交渉は、俺達が責任を持って遂行する」

その熱い眼差しに、私は安心した。

「それでは、私の役目はこれで終わりですね。では、次にトナカイからどうぞ」

トナカイは、サンタ達に鋭い視線を向けた。

「私達は、夢を与える為に協力してきた。

二度と、こんな事に駆り出さないで頂きたい」

トナカイの言葉にも、サンタ達は頷いた。



 防衛隊とサンタ達は、固い握手を交わした。

確かに、お互い心の底では納得などしていないだろう。

完全な和解には、程遠いかもしれない。

だが、こうして形にするだけでも無益な殺し合いだけは無くなるはずだ。

今は、これで理解してもらうしかない。

長い沈黙の後、サンタとトナカイは山へと帰って行った。


「終わったな……」

ん?

トナカイが、まだ3頭残っている。

「どうした? 帰らないのか?」

私が問うと、トナカイが言った。

「確か、北の神殿を目指すと聞いたが君達はどうやって行くつもりだ?」

「馬車で行くつもりだが……」

普通に答えると、トナカイは不敵な笑みを浮かべた。

「不可能だな……北の地を甘く見てはいけない。馬車などでは遭難すること請け合いだ。

例え徒歩でも、帰っては来られないだろうな」

「え? マジッすか……」

さすがに、そこまでとは予想していなかった。

困り果てた私に、トナカイは言った。

「さて、今度は私の出番らしいな」



 隊長に馬車は預けたまま、大きなソリを借りた。

これならば、8人が余裕で乗れる。

そして、トナカイが3頭居れば十分に飛べるだろう。

私はトナカイに言った。

「本当に、助かるよ。ありがとう」

それにトナカイは笑みを浮かべた。

「今更、何を言っている。ここまでの事をやってのけてくれたのだ。

このくらいは当然であろう?」

私達は、お互い笑顔を浮かべた。



 ソリが舞い上がると、皆が声を上げた。

「わ~! すご~い!」

それに、私は思わず微笑む。

以前ジープに乗せて貰った事があるが、

あの開放感のまま空に浮き上がったような不思議な感覚。

きっと、どんな乗り物でもこの爽快感は再現できないだろう。

「これは、そうそうお目にかかれない光景だよな」

皆、それに頷いた。


 大きな山を二つほど越えて、ふと下を見れば崖やクレパスに阻まれて

どう考えても苦戦しそうな雪山だ。

これは、確かに馬車じゃ不可能だな……

登山装備をしていても、全く超えられそうな気がしない……

これはトナカイに命を救われたようなもんだな……













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