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第五節 仕方が無いか……

 湯気が立つポットを持って、戻ってきた教子に尋ねてみた。

「それで私達は、まず何をすれば良いんだ?」

「やる気になりましたか?」

何故か教子は、目を輝かせている。

そんなに嬉しいのだろうか?

「まぁ、他にやる事が思いつかないしな。君が協力してくれるなら、私達としてはとてもありがたい」

目をキラキラさせて頷いている。

しかし何だ? この変な違和感は……

「それで、どうやってその大陸に行くんだ?」

私が問うと、教子は話し始めた。

「それには、まずオバ山岳地帯を越えなければいけません」

今度はオバサンかよ……

「オバ帝国は、この大陸では一番に強大な戦力を持っております。

そして入国の際は、あらかじめカカア殿下の許可をいただくことになります」

嫌だな、それ……

「そしてオバ帝国から、オバ傘下の共和国を横断いたします」

横断したくないな……

「その先に、オジ三国があります」

オジサンも居るのね……

「オジ三国とは、穏やかな民のマスオ族、頑固な事が有名なキギョウ戦士族、

そして一番社交的なチョイワル族が集まり1つの国になりました。

その先端にチョイワル族が所有するパンツェッタ港があります。そこからなら船が出せると聞いております」

何か知らんが、行く気が無くなって来た……


 ちなみに、この世界では我々のような男や女と言う概念は無いらしい。

このヨウジョ国では基本的に全員が女性で生まれて、状況次第で男性になる場合がある。

そして他には、生まれた時に性別がない種族もいくつかある。

それ等は、出逢った相手次第で男になったり女になったりするそうだ。

自然の性転換かよ……どっかの魚みたいだな……

だが少なくとも、オジ三国のカップルだけは見たくない気がする……


 さて、大陸に渡ったとして……

せめて、目指すべき者くらいは押さえておきたい。

今予言されている恐ろしい者は、フジヤ・マンバと呼ばれているそうだ。

確かに、怖そうな名前だ……

多分、それが魔王なのだろう。

だが、恐ろしいのはそれだけではない。

フジヤ・マンバにはフジヤ・マッチョと言われる側近がいて、

その直属部隊である親衛隊が強敵らしい。

きっと、筋肉の塊りなのだろうな……


 近年、勇者が魔物と戦った古い文献が、オジ三国で発見されたそうだ。

教子はその内容が知りたくて、教師の伝手を使って写本を手に入れた。

肝心の内容だが、あまりに長いので聞いているうちに疲れてきた。

まぁ、話としては意外に簡単だ。

つまり、平和な世界にダンカイ・ノセダイと言う魔王が率いる軍団が攻めて来たらしい。

それに勝利したのが、信神ルイシンジン・ルイと言う名の勇者だった。

極論ではあるのだが途中の長話は、財布を失くしただの、ナンパをしただのと……

私の言い方も悪いかもしれないが、どう聞いてもさほど重要には思えなかった。

だが何故か、割と最近の話に思えてならないのは気のせいだろうか?


 それでも、途中で少しはマトモな話もあった。

勇者一行は、コジュウ塔の試練で強力な武器と魔法を手に入れたらしい。

そして、その装備と技が勝利の決め手となったそうだ。

となると、まずはそこを目指すのが妥当な選択だろう。

だが、コジュウ塔の試練と言う言葉が激しく気になる……

私達は、すごく嫌な気分に浸りながらも、まずはコジュウ塔を目指す事にした。


 教子が、何か書いている。

「何を書いているの?」

私が訪ねると、ジャンっ! とばかりに書いた紙を見せた。

「これは冒険者になる為の、推薦状及び許可章です。これをお城に持って行って、

魔王討伐と行方不明者の捜索を誓約する書類にサインすれば500万エンの援助金が手に入るのです。さらに行方不明者を発見できれば一人当たり300万の報酬が頂けます。そして私は、これを発行する資格を持っているのです」

私達は、目を丸くして見合わせた。

なんだそれ……いきなり500万って……

何か知らんが、凄い資格じゃないか……

「そんなに貰っちゃって良いの?」

「えぇ、何しろ誰も生きて帰ってきた事が無いのです。このくらい当然ですよ」

何か笑顔で、怖い事を言わなかったか? 今……




















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