第四十七節 最終防衛作戦本部の視線 真地尾守の場合
昨日は、兄ちゃん達にはウチに泊まってもらってよ。
そりゃ、色々と話を聞いたさ。
いや驚いたね~、何でも魔の大陸を目指してるって言うじゃねぇか!
魔王を倒すってか?
もう、意味が判らないね。
俺には、この町の事だけで精一杯さ。
ん? 俺か?
俺は、この最終防衛作戦の隊長。
真地尾守だ。
それにしても、昨日の騒ぎには参ったぜ。
あの兄ちゃんは、何考えてやがるんだ?
仲間になってくれたのは嬉しいが、あまりに無茶だろうよ。
だってなぁ……
……
「それでサンタにソックリな服と、同じタイプのソリが欲しいのですが
用意できますか?」
いきなり突拍子も無いこと言うから、素直に答えたさ。
「あぁ、そのくらいならお安い御用だが……いったい何に?」
「えぇ、トナカイ達を逃がして来ます」
一瞬、意味が判らなくてよ……
一呼吸置いてから言ってやったさ。
「はぁ? お前等、死にたいのか?」
そしたらヤッコさん、何て言ったと思う?
「大丈夫ですよ、危なくなったら逃げますんで」
無理だっつーの!
いったい何処に逃げるってんだよ。
奴等、飛ぶんだぞ?
判ってるのかよ……
それにしても、しゃべるトナカイにはマジで驚いたな……
あんな生き物が居るとは知らなかったぜ……ってか連れてくるか? 普通よ!
ありえね~って……
本当に、あの兄ちゃんは何考えてるんだかサッパリだ!
だがよ……あれだ……去年の有様を見りゃよ……
皆が、もう終わりだって言うのも判るのさ。
確かに、この町にゃ戦力なんて残っちゃいねぇさ。
しかしよ! 俺達が諦めてどうするってんだよ!
皆の命は、どうなっちまうってんだよ!
これは、絶対に負けられない戦いなんだ……
兄ちゃんには悪いが、俺達は最終防衛作戦が最優先事項だ。
こっちは勝手に準備を進めさせてもらうぜ。
兄ちゃん……死ななきゃ良いんだが……
お? そろそろ出発らしいぜ。
せめて見送りぐれぇは、笑顔でしなきゃな。
「よう、兄ちゃん。気ぃつけて行けよ!」
「えぇ、大丈夫ですよ。ご心配、ありがとうございます」
全く……本当に判ってるのかね?
「じゃ、行ってきます」
お、兄ちゃんが、手を上げてらぁ。
「おう! マジで気ぃつけて……おぅ?」
おいおい……
嘘だろ?
……
飛んで行っちまったよ……




