第四節 どうする?
神妙な顔つきで、教子が私達に聞いてきた。
「あの、お二人はこれからどうするおつもりなのですか?」
それは、全く決まっていない。
いや、この状況で何も決めようが無い……
「どうしたもんだろうね~……考えてはいるんだけど……」
私が困った顔で言うと、続けて教子が言った。
「もし、お二人さえ宜しければ冒険者になってみてはいかがですか?」
「冒険者?」
「はい。勇敢な者達の行方も判らない上に、それを調査する事も進んでいません。そこで国は冒険者を雇っているのです」
なるほど、探偵みたいなものか……
「もし、お二人がその道を選ぶのであれば、私にも協力できる事はあります」
協力ね~……
確かに、何の後ろ盾も無かろう現状でその提案はありがたい。
しかし、どうしたものだか……
私は教子に聞いてみた。
「ちょっと遥子と二人で、これからの事を相談していいかな?」
「はい、では私はお茶を入れ替えてきますね。ごゆっくりどうぞ」
教子は、ティーポットを持って部屋を出て行った。
さて、どうしたもんだろうか?
「なぁ? どう思う?」
遥子は、私の問いの答えた。
「いや~、久々に笑ったわ。涙出て来たし」
「いや、そういう問題じゃなくてさ……」
思わず眉を顰めた私を見た遥子は、軽い溜め息をついてから言った。
「あれが本当の話かって事?」
「そうそう」
私が頷くと、遥子はどこか遠くを見つめた。
「あたしには、本当に思えないわね~」
一呼吸置いてから、私はそれに答えた。
「だよな~……」
おもわず、溜め息が漏れる。
だが1つだけ気になるのは、誰も帰ってきた者が居ないって所だ。
これだけは事実として考えて良いだろう。
「まさか、行く気?」
遥子は、ただでさえ大きい目をさらに大きくして私を見ている。
「あぁ、他にする事も思いつかないしなぁ……」
私が頬杖をついて嘆くように言うと、遥子も同じようにして言った。
「確かにそうね~、生活基盤が無いのよね、あたし達」
「そうなんだよ……そこが大問題だ……」
小さく頷きながら答えた。