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第三百五十五節 厄介そうですね~……その2

 お互い意思を確かめ合うように騎士団長と頷きあってから、改めて聞いてみる。

「まず、同士が囚われている場所とは何処になるのですか?」

「うむ……では、まずはイチマル……いや、魔の大陸について把握しなければなるまい。ちょっと待っていてくれ」

そのまま立ち上がると、棚の書類をあさり始めた。

そして大きな紙の筒を手したまま机へと向かう。

何かペンらしき物を手にするとテーブルに戻って来た。


 それをおもむろに広げると地図のようだ。

何となく四角形だが横に丸く伸びた感じの島が紙一杯に描かれている。

私達がそれを覗き込んでいると、騎士団長が言った。

「これが魔の大陸だ」

それに頷くと、手にしたペンで地図の中にバツ印を付けていく。

「それは、何の印です?」

私が問うと、一度頷いて続けた。

「これ等の街は、すでに奴の支配下にある」

え?

「それって、滅ぼされたと言う事ですか?」

驚いた私に、少し困ったような表情で答える。

「いや、完全に滅ぼされてしまった街も確かにあるが……だが奴が一掃したのは、騎士団を初めとする軍事力だけだ。少なくとも農民や商人を惨殺するような事はしていない。しかし、生き残った人間達は奴の支配下とされているのが現状だ。なるべく近づかない方が得策だろう」

確かに……だとすると?

「となると……食の供給などは、まだ生きていると?」

「うむ……少なからず食の素材に関しては、我々と共通する所が多い。それまでの供給を潰そう物なら、己の首を絞める事になるからな。奴とて、さすがにそれはしないだろう。まぁそれでも、実際に以前の街と同様とは考えるべきで無かろう。人間には住みずらい状態ではあるだろうな」

なるほどね~……なかなか厄介そうだな。



 騎士団長は、大陸の中心より少し下辺りをおもむろに指差す。

「そして皆は、ここに捕らえられているはずだ」

はずと来たか……

「もしや、確実では無いと?」

「うむ……何しろ私がこちらに来て、早10年以上の時が経ってしまっている。すでに違う場所に移されていても不思議ではないが……洋、お前は何か聞いているか?」

いきなり話を振られた洋は少し驚いようたが、割と冷静に話し始めた。

「いえ……僕もあれから一切の関わりを断ってしまったので、向こうの情報は全く入ってきていません。ですが、あの数を移動するとなれば全てを内密に行う事など不可能です。何かしらの情報は、必ずこちらに漏れて来る事でしょう。それが無いとするなら、まだここに囚われている可能性が高いですね」

「だな……」

そのまま考え込むように腕を組んだ騎士団長に声を掛けた。

「どうしたました?」

すると難しい表情で頷いてから続けた。

「あぁ……影は、この手の異変にはかなり鼻が利く。奴に気付かれぬように行動を起こす事は、かなり難しいぞ?」

「そうですね……実際に、少し話を聞いただけでも相手にしたく無いタイプの敵です。相当に慎重に動かなければ、アッサリと気付かれてしまうでしょうね」

後は移動手段か……ここも、かなり慎重になるべきだろう。

私は聞いてみた。

「ちなみに、馬車は使えるんですか?」

「うむ、馬車か……確かに使えない事は無いと思うが、ちょっと難しいかもしれないな……」

微妙な言い回しだな……

「どう言う事でしょう?」

私が聞くと、また難しそうな表情を浮かべる。

「あぁ……ある意味、馬は戦力になるからな。特に早馬に関して、奴はかなり警戒していたのは確かだ。つまり奴の支配化では、相当の規制が掛かっている可能性は否定できないな」

「なるほど……」

私が頷いていると、騎士団長が聞いてくる。

「ところで、どうやって向こうまで? 何か私達に手伝える事はあるか?」

「あぁ……まだ言ってませんでしたね。私達は、飛空移動船を使います」

「何っ! そんな馬鹿な! まさか、アレを持っていると?!」

驚きながら凄い顔を近づけてくる騎士団長に、少し引き気味に答えた。

「えぇ……手に入ったのは幸運だと思ってます」

「いや……それは、また……何とも驚きの連続で、もう完全に私の理解を超えているよ」

そのまま騎士団長は、呆れたように首を振っていた。



















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