表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
330/359

第三百三十節 飛空移動船ですね~……その5

 操作レバーを駆使しながら、親方に指示された台へ向かっていく。

そこで問題が起きた。

この運転台からは、下が何も見えないのだ。

おもわず聞いてみた。

「あの……下が全く見えませんが、どうすれば?」

「んなもん、勢いに決まってるだろうがよ!」

そう来たか……

感覚で降ろせってか!


 しかし、そう言われたからにはやるしかない。

全身の感覚を研ぎ澄ませて、慎重に機体を下ろして行く。

やがて重い金属音を響き渡らせて、無事に機体は台の上に降りた。

「イイじゃねぇか~! やるね~!」

やたらと嬉しそうに親方は続ける。

「そんじゃ、交代だ! お前さんもやってみな!」

それに安は驚いた表情を浮かべた。

「今のを、やるんでやすか?」

「あぁ、そうらしいぞ?」

そう答えながら運転席を立つと、安は目を丸くしている。

だが、しばらくすると割と素直に席に座った。

「えっと……こうでやしたっけ……」

ブツブツ言いながらも少し上昇させると、機体はやたらと不安定に揺れ動いた。

「わっ! わっ! 困ったでやす!」

パニックになりかけた安の肩に手を当てながら私は言った。

「まぁ落ち着け。まずは板の上に丸い球が乗っているような想像をしてみろ」

「え? 球でやすか?」

不思議そうに聞いてくる安に続けた。

「あぁ、板の真ん中に良く転がる球が置いてある。油断するとコロコロと転がって行くからな。それを安定させるように左手を動かしてみるんだ」

「がってんでやす」

すると不思議なくらいに機体が安定してきた。

「そうだ、イイ感じだぞ」

「なんか、解ってきたでやす」

徐々に自信を取り戻した安は、深く頷いて続けた。

「では、行くでやす」

私もそれに素直に頷いた。


 ゆっくりと元止まっていた位置に戻してくると、安は真剣な表情で

機体を下ろす事を試みる。

やがて金属音を響かせて着陸した。

それと同時に、安は大きな溜め息を付いて席に項垂れた。

それを、ずっと見ていた親方が言う。

「兄ちゃん、スゲェな。そんな教え方今まで見た事ねぇが、一発で出来ちまうとは大したもんだ! 二人とも上出来だぜ!」


 ひとまず親方に合格点も貰った所で、安に言った。

「安は本当に、こう言うの得意そうだよな」

「馬とか生き物はダメなんでやすが、道具の類なら得意なんでやす」

なるほど。


 その時、親方が大きな声を上げた。

「それでよ! 二人のどっちかが船長にならねぇとな」

話によると、操船の全ては船長が判断して指示するらしい。

まぁ、客船みたいな物か。

この状況だと、私か安のどちらかになるのは確実だしな。

とりあえず皆に聞いてみた。

「船長が必要らしいんだが、誰が……」

私が言い終わるのを待つ事も無く、全員が揃って私を指差している。

「それでイイのか?」

一応念を押すと、皆は納得したように頷いた。


 私は呆れながらも安に視線を向ける。

「そうなると、操船は安の担当になるが宜しくな」

「がってんでやす」












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ