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第三百二十九節 飛空移動船ですね~……その4

 親方から基本操作の説明を安と二人で受けていると、

姿勢制御方法は何となくヘリコプターに近い感じに思える。

私はフライトシミュレートゲームで遊んだ事くらいしか無いが、

少しは参考になるだろうか?



 ひとしきり説明を聞き終えて、まずは私が動かしてみる事になった。

最初に覚えなければならないのは、やはり姿勢維持だそうだ。

やり方としては少しだけ浮き上がらせた状態で機体を維持するだけだが、

とても難しいであろう事は簡単に予想出来る。

そして、これが一番重要な操作だと言っても過言ではないだろう。


 丁度素直に両手を前へ出した辺りに下から伸びて来ている長いレバーが二本あるが、

一番肝心なのは左手で操るレバーのようだ。

これを微調整しながら機体の姿勢を安定させる。

きっとこのレバーだけは、運転中握りっぱなしになるのだろう。

右手のレバーは左右旋回と高度の上下を司っているそうだ。

そして機体を傾ける為には、両足を使って自由自在に動くペダルで操る。

前後の傾き調整も、このフットペダルで行うようだ。

そして運転席を前方から横まで胴を囲むように、

操作盤みたいに金属のパネルが張り巡らされている。

その右側から生えている、妙に目立つ大きなレバーで前進と後進をするそうだ。


 基本で使うレバーはそんな所だが、その金属のパネルからは

謎のレバーがまだ沢山生えている。

何に使うのか非常に気になるが、今は基本を覚えるだけでも一杯のはずだ。

いきなり、こんなに沢山の操作レバーを操りきる自信も無い。

ひとまず、それ等の事は放置した。



 とりあえず運転席に座ってみると、前のガラスが旅客機のフロントウインドウのように

斜めに張ってあって意外と良く見渡せる。

左右を見てみると、やはり旅客機のような角の無い窓が並んでいて

極度に視界が遮られる事は無い。

斜め上方を見てみると、そこには鏡が設置してあってバックミラーの変わりになっている。

半分ほど機体に隠れて居るようだが、無いよりマシだ。

本当に上手く作ってある物だ。


 試しに右手で浮上レバーを少し引いてみると

機体が大きく揺れながら浮き上がった。

かなり左右に揺れて、それまで固定されていた台に

機体がぶつかる音がゴンゴンと響く……

その動きに逆らうように操作レバーを動かしてみると、不安定な動きが安定して来た。

なるほど……やはり基本はヘリのような操作性だ。

だが、何か不思議な感じだ。

揺れてはいるものの、まるでジャイロが付いているように機体はその場に停滞している。

ヘリは機体を傾けるとそちらへ勝手に流れて行ってしまうものだが、

それが無いだけこちらの方が操作は楽かもしれない。


 私は更に機体を浮上させて、空中で安定は図る。

ぶつかる物もなくなったので、少し調整が楽になった。

そのまま完全に安定させると、親方が後ろで唸り声を上げた。

「兄ちゃん、なかなかやるな~……初めてで、ここまで出来る奴はそう居ないぜ?」

褒めてくれるのはありがたいのだが、私にはそれに答えるほどの余裕は無い。

ひたすらに前方を見つめて機体の安定を試みていると、親方は続けた。

「それじゃ、ちょっと向きを変えてみてくれ」

「え? いきなりですか?」

おもわず答える私に、親方は笑う。

「このままジッとしてても仕方が無いだろうよ!」

まぁ、確かにそうだが……


 試しに右手のレバーを更に右へ動かしてみると、軽い動きで旋回を始めた。

そこで親方が前を指差す。

「あそこに着陸してみてくれや」

それって、これが停まっていたような台の事か?

あそこに着陸って……いきなりレベル上がり過ぎじゃねぇ?

だが、仕方が無い。

私は機体を前進させる為に、パネルのレバーを動かした。

すると思ったより良い勢いで、スッと加速して行く。

「やば……速い!」

おもわずレバーを元に位置に戻すと、ブレーキが掛かったようにその場で停止した。

ほう……止まれるんだ。

ある意味凄いな……

だが、これで進む感覚は掴んだ。

私は前に見えている台に向かって、機体を前進させた。












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