表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
319/359

第三百十九節 魔法学校ね~……その5

 騎士が指差したほうへ歩いて行くと、建物の横には長い花壇が作られていて

色々な花が咲いていた。

その先の方で、カンパチ先生がジョウロのような物で花に水をあげているのが見えた。

「おはようございます」

挨拶しながら近づいて行くと、カンパチ先生は無邪気で優しい笑みを浮かべる。

「あっ、これはどうも。そろそろ、いらっしゃる頃だと思っておりました~」

私は、おもわず聞いてみる。

「授業は、これからですか?」

すると、ジョウロを花壇の横に置きながら答えた。

「えぇ。始業まで一時間ほどありますので、職員室の方へどうぞ」


 職員室に入ると、カンパチ先生は椅子に座りながら言った。

「それにしても驚きました。今回の事は、騎士団の方から話を切り出されましてね。その方は、危険の伴う改装が行われるので警備を強化するように要請されたそうです。いきなり聞かれたもので驚きましたが、ひとまず化学実験室の整備変更と言う理由にしておきました。それならば万が一何かあった場合でも、薬品を言い訳に出来ますからね。他の先生や生徒達にも、すでに知らせを回してあります」

「それは助かります、ありがとうございます」

私が頭を下げると、カンパチ先生は神妙な表情を浮かべる。

「もう三日後に迫っておりますが、大丈夫ですか?」

「えぇ、後は奴等が来るのを待つだけです。当日は早くから待機させて頂きますので、宜しくお願いします」

「いえいえ、こちらこそ」

お互いに深く頭を下げて挨拶を終えると、私達は職員室を後にした。



 学校の入り口へ歩いて行くと、ふと遥子が聞いてきた。

「次は、どこ行く訳?」

「そうだな~。ノア婆さんの所にも、顔を出しておかないとな~」

「そうね、心配してくれてたもんね」

私が頷いて前方に視線を戻すと、何やら入り口の方が騒がしい。

何だ?

指示を出している騎士の所へ、足早に歩み寄って聞いてみた。

「何かありました?」

「はい、向こうで人が襲われたらしいんです。今、状況を確認しています」

人が? 何か嫌な予感がするな。

私は遥子に視線を移すと、やはり気になったようで素直に頷いた。



 騎士達が走って行く方へ付いて行くと、向こうから数人の人が物凄い形相で走ってくる。

その時、私達の目の前で一人の年配男性が思い切りスッ転んだ。

おもわず、そこに皆の視線が集まる。

「いたたたた……」

本人は立ち上がろうとしているが、なかなか身体が思うように動かないようだ。

私は、その人に手を差し出しながら聞いてみる。

「何かあったんですか?」

すると男性は、やや興奮気味に声を上げた。

「はい! 化け物です! 貴方達も逃げた方が良いですよっ!」

また急いで走って行く男性を見送りながら、私は呟く。

「化け物ね~……何故だ?」

「ん? 何?」

不思議そうに聞いてくる遥子に、私は答えた。

「いや、化け物って多分魔物の事だろ? 何で、この時期に騒ぎを起こすんだろうと思ってね」

「あぁ、そうね……確かに、向こうにしてみれば目立ちたくない時期よね」

それに頷きながら続けた。

「そうなんだよ。まぁ、とにかく状況を確認しに行ってみるか」

「そうね」

私達は、逃げ惑う人々とは反対の方向へと足早に歩みを進めて行った。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ