第三節 なに、それ?
今、全世界が懸念している問題があるらしい。
どうやら海を渡った先の大陸には、
ジョシコーセーと言う恐ろしい生き物が居るという。
「女子高生?」私達は目を見合わせた。
私は教子に聞いてみる。
「その女子高生って、どんな生き物だい? もしかしてこんな?」
遥子に向けた指は、思い切り平手で弾き落とされた。
おもむろに、教子が暗い表情で話し始める。
「実は、私達も見た事が無いのです。
勇敢な者達が何人も大陸に向かいましたが、帰って来た者は誰一人としておりません」
「だが、放って置けば問題は無いんだろ?」
私の言葉に首を振る。
「いえ、そう断定できません。と言うのもジョシコーセーの勢力の中で
最も恐ろしい存在が生まれ出たと言われています。
私達に伝わる予言が正しければ、いずれ世界は闇に包まれるでしょう」
途中の一言に引っかかった。
「予言?」
私が問うと、教子は声を低くして語り始めた。
「はい、それは……1999年の夏、サスペンスの帝王が降ってくる……」
船越が降って来てどうするよ……
「そして……逃げよ逃げよオチツイテ逃げよ……と有名な言葉を残しています……」
避難訓練かよ……
「それって、当てになるのか?」
私の問いに、驚いて反論する。
「何をおっしゃいますか! これは偉大なる予言でございます!」
何だかなぁ? 言う顔をしている私達に、さらに話を続けた。
「古の時代、ノセタラダマスと言う偉大な予言者がおりました」
また、いきなりイカサマ臭いな……
「彼は国王暗殺や大惨事を記した予言書を残しました。
これまでの歴史を見る限り、全て予言通りなのです。
そして最後の章に世界の終末を記した
ハリセンボンと言う予言を残しております」
おいおい……
「他にもホームシックレコードで未来を垣間見たと言う予言者もおりまして、
コモリウタと呼ばれる予言書を残しております。
それによればナマハーゲと言う恐ろしい闇の者が、
ワルイゴイネガなる強大な魔法で世界を滅ぼしたと記されていました」
それは、ただの怖い夢だろ……
「我々に伝わる全ての偉大なる予言書が、その復活を示しているのです」
いや……聞けば聞くほどに信憑性が……
「それだけでは、ありません!」
話半分と言った私に、何だか教子がムキになっている。
まるで子供のようだ……
いや……見るからに子供なのだが……
「他の国にも予言や伝承があり、とても共通しています」
ほう……それは気になるな。
「隣の国では、ハリセンボンと同様のハルマキドンと言う予言も存在しているのです」
そう来たか……
「近年、新たにペペロンチーノと言う者が世界の終末を予言しました」
まさか、食べ物シリーズじゃないだろうな……
「ウドガー・オイシーという者も未来を見ております」
旬の味ですか……
教子はさらに続きを語ろうとしているので、さすがに私は切り出した。
「いや良く判った、予言は良く判った。もういいよ」
それに、目をキラキラと輝かせて
「やっと、判っていただけましたか?」と聞いてくるので仕方なく私は頷いた。
はい……聞いた私が、悪うございました……




