第二十八節 くじ引きね~……
「それでは、次に出場番号を抽選いたしますので、どうぞあちらへ」
案内係りの人に誘導されるままに、私達はそちらへ向かった。
すいぶん、並んでいるな……
こいつ等、全員出るのか?
薄暗い通路に、所狭しと色々な種族の人々が長い行列を成している。
どうやら、人気があるイベントらしいな……
案内してくれた係員に聞いてみると、色々と教えてくれた。
この人気は、優勝賞金が高いこともあるがそれだけでは無い。
大会はトーナメント方式で勝ち上がって行くのだが、
勝つ度に現金が手に入るそうだ。
1回勝てば10万、2回勝つと50万と金額が上がっていく。
そして例え3回戦目で勝てそうに無い相手に当たって棄権しても、
それまで勝った金額は手に入るのだ。
なので、小遣い稼ぎに出て来る者も多いそうだ。
しばらく並んでいると、
受付を終えて戻ってくる奴等のテンションに妙な落差がある。
なんだ?
私は、遥子に言った。
「ちょっと前を見てくるから、皆で待っててくれるか?」
それに頷いたので、私は列を離れて受付の方に歩いて行った。
前に進んで行くと、先の方にテーブルが置いてあるのが見える。
どうやら袋小路のようになっているようだ。
あそこで受付をしているのだろう。
すると、突然に叫び声が響いた。
「げっ! 何で、Aブロックなんだよ!」
受付を終えたメンバーが、全員で頭を抱えて座り込んでいる。
何があったんだ?
その時少し後ろで並んでいた、ハゲかかったゴッツイオッサンが呟いた。
「あちゃ~、可哀想にな……Aブロックだってよ……」
ん?
ブロックが違うと、何かあるのか?
私は、そのオッサンに聞いてみた。
「Aブロックって、何か問題でも?」
それに驚いた顔をすると、オッサンは話し始めた。
「あったりめぇよ! あんな所に入れられたら、命が幾つあっても足りね~さ!」
はい?
首を傾げていると、オッサンはさらに驚いて続けた。
「おめぇ、知らねぇのか! もう3年も連続で優勝してる、
化け物みてぇに強ぇのが居るんだよ!」
ほう……それは、確かに当たりたくない相手だ。
ようやく、私達の順番が来た。
私がクジを引くと、A-2と書いてある。
その瞬間、周りの全てが凍りついたように沈黙した。
何だ? 何か、やっちまったか?
「あの……」
受付係が呟いた。
「優勝候補である、津世伊蔵十字団との対戦が決定いたしました……」
どうやら、やっちまったようだ……
この中にある、最高のビッグカードを引いてしまったらしい……
その時、ふとビリーの言葉を思いだした。
これの、どこが神の加護だってか?




