表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
230/359

第二百三十節 海賊の視線 野志亜牙朗の場合

 いやいや! それにしても驚いたな。

なんかすぐに戻ってきたと思ったら、

「これから作戦を開始する」ってんだからよ!

ん? お前は誰だってか?

俺は、野志亜牙朗ノシ・アガロウさ。この海賊のカシラをやってる。

そんな事よりアレだ!

いきなり作戦ってんだから、こっちも色々と意気込みってもんがあるだろ?

俺は勢い良く立ち上がって言ったさ。

「野郎ども! 出撃だ~!」ってな!

そしたらよ! なんて言ったと思う?

「いや、少し時間を置いて後から付いて来てくれるだけで構わない」って、

そりゃねぇだろうよ!

「亜牙朗は、海軍を包囲してくれればそれでイイ。後は何とかするよ」とか言ってるしよ!

いくらなんでも無理だっつ~の!

あんな小さい船で、何をどうしようってんだよ!

確かに速そうだし良く造り込まれたイイ船だが、相手の船は圧倒的にデカイんだ。

一発体当たりでも食らっちまったら、それで終わりだろ!

質量の差で、受けるダメージも変わるんだ。

どう考えても、当たり負けちまうってもんさ!


 まったく、旦那は何考えてんだか……あっ、安の口癖が移っちまったじゃねぇか!

えっと? 勇太さんだったっけか?

あ~っ、メンドクセイ! もう旦那でイイや!



 ようやく島が見えてきたぜ。

俺達も、出せる船は全部出してきた。

これだけの戦力なら、いくら海軍だっつったってそうそう負ける気はしねぇぜ。


 おっ! 言ってた通り、沖合いに止まってらぁな。

だが、しばらくすると進み始めちまった。

おや? 俺達を待ってたんじゃないのか?

おいおい……なんで速度上げてるんだ?

「おう! こっちも少し速度を上げるぞ!」

それを合図に、少し帆を張りなおす。


 さて、さすがにココからはマズイだろう。

これ以上行けば、奴等は必ず出てくるはずだ。

まぁ、俺達に気付いた時点で出て来ちまうか。

だがよ……

ちょっと、前に出過ぎじゃねぇか?

「海軍が動き始めました!」

上の方で見張りが騒いでいる。

さっそく、出て来やがったか。


 だいぶ海軍との距離も近づいてきた。

そろそろ船を止めねぇと……って、何で更に速くなってるんだよ!

おい! それ以上は自殺行為だぞ!

俺は、仲間に振り返って怒鳴った。

「おい! 誰か止めるように指示しろ! あのままじゃヤバすぎる!」

その時、激しくデカイ音が響いた。

「何だ?」

慌てて海軍の方に向いて驚いた。

何だ? ありゃ……

旦那の船から、赤と黄色の丸い光の玉が海軍に向かってドンドン飛び出している。

あ……ありえねぇ……

「なぁ? 俺は、夢でも見ているのか?」

横に居たのは、最初に旦那達を連れて来た俺の相棒だ。

「いや……多分、現実かと……いや、自信ないっす」

「だよな……」

しばらく呆然と見ていると、仲間達が唸るように呟き始めた。

「うわ……ヒデェ……」

「マジかよ……ありゃ~たまらねぇぜ……」

「あぁ~、マストが折れちまった」

仲間の言う通り、マジでヒデェ……

無数の光の玉が海軍の船に当たる度、船が木片となって散らばるように弾け飛んでいる。

どうなってるんだよ。

あのデカイ船が、こうもバラバラになって行くなんて光景なんて見たことねぇ……

その船自体が激しく傾いちまってる所を見ると、もう中まで破壊されているだろう。

救いようが無いくらいにビッチリ浸水してるはずだ。

ありゃ、もう船じゃねぇ。巨大な残骸だ。

しかし、あれだけの戦力がなす術も無く一瞬で壊滅だなんて……

あいつ等……化け物か?


 その時、相棒が真っ青な顔で震えながら呟いた。

「た……戦わなくて、良かった……」

確かに、ちげぇねぇ。あんなのを敵に回したら、命が幾つあっても足りねぇよ。

本気でおっかねぇ……これが本当の恐怖って奴なのかも知れねぇな。

俺の足が、さっきから勝手に震えて止まりゃしねぇぜ。

安……お前の見る目はマジで狂いがねぇ。本当にスゲェ奴等を見つけたもんだな……












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ