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第百七十八節 解決して良かった……

「これで成仏したはずです」

健三さんを見ると、かなり放心した様子で幽霊が消えて行った方を見ていた。

「健三さん?」

その声で、ハッ! としたように私を見た。

「あぁ……すまん。あれで、もう大丈夫なのか?」

その問いに、すこし考えてから答えた。

「専門家じゃないので何とも言えない部分はありますが、少なくとも幽霊がウソをついているようには見えませんでした。それに、わざわざあんな芝居をする必要も無いでしょう。通常でしたら、あれで成仏しているはずです」

「そうか、もう出ないんなら助かるぜ。それにしてもよ、相手は幽霊だぜ? お前等、良く平気だったな~……」

それに笑みを浮かべながら答える。

「実際の所、実害のある魔物を相手にする方がよっぽど怖いですよ。下手したら即死ですからね」

「なるほどな……確かに死と隣合わせの暮らししてりゃ~、どうって事ねぇか」

そう言いながら、健三さんは納得したように頷いていた。


 軽い雑談をしながら、健三さんが落ち着いたのを確認してから言った。

「では、私達は部屋に戻ります」

その言葉に反応するように、ビッ! と親指を立てた。

「あぁ、本当に助かったぜ。ありがとうよ」

このイカシタ笑顔が出れば、もう大丈夫だろう。

私達は、安心して部屋に戻って行った。



 そして次の日……



 私が馬車の準備をしていると、神戸さんが来た。

「この度は、色々とご尽力頂きまして本当にありがとう御座います」

「いえいえ、解決できて良かったです」

「魔の大陸を目指しているそうですが、港は使えないと聞いております。何か、当てはあるのですか?」

「えぇ、何とか行けるとは思います」

「そうですか……」

神戸さんが真剣な表情浮かべているので、聞いてみた。

「どうされました?」

それに頷いてから、私に視線を向けて話し始めた。

「いえ……直接関係あるかは判りませんが、南の島に秘宝が眠っている言う伝説がありまして……役に立つかどうかも疑問なんですが……」

「秘宝……ですか?」

「はい。何でも聞いた所によれば、目指すべき場所を示してくれる不思議な道具だそうです」

ほう……方位磁石みたいな物か? だが、それは面白いな。

「その島は、どこなんです?」

「遥か南に位置する、バカナ諸島のナウイ島になります」

バカでナウいって、どんなだよ……


 馬車の準備を済ませて神戸さんに誘導されるように私達が屋敷の入り口まで来ると、

そこには健三さんが居た。

「色々お世話になりました」

私が頭を下げると、健三さんはフッと笑みを浮かべて言った。

「何言ってやがる! 俺の方が世話になっちまったぜ! 本当にありがとよ!」


 そして、晴々とした表情の健三さんと一安心した様子の神戸さんに送られて

私達はパンツェッタに向けて馬車を走らせた。












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