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化合物(コラボ) 岡品谷津と元素な奴ら~完全燃焼~

「我ら科学部!」最終話です。


前回の続きです。

芳春&咲奈ペア……………


「よろしく!琴浦さん!」


芳春が挨拶した。


「あの…よろしくお願いします」


相変わらずのモジモジ琴浦さん。


「さて、何の実験やる?」


「ええと…」


「じゃあ、携帯電話使った実験やろうよ!赤外線がどの距離まで通じるかの実験!送るのは勿論琴浦さんのアドレスで、俺は受信する側ね!」


「あの…それって…」


「ねっ!ねっ!やろやろ!」


その時だった!


「「ちょっと待った!」」


2人に割り込んだ2人組がいた。


谷津と徹哉だ。


「げっ!谷津と…O…!」


「谷津さん…。黒鉄君…」


安心したような顔をする琴浦さん。


「いやいや!Oっておかしいから!」


年上でも普通に突っ込む徹哉。

大したやつだ。


「で?お前今何しようとした?」


「いや、その…。あの…。谷津…これは実験なんだ!赤外線の限界を知るための…」


「んじゃ、俺とやる?」


谷津が携帯を取り出した。


「いや…いいです…」


「琴浦さん!こやつがまた何かやらかしたらいつでも言って!」


「はい…。ありがとうございます…」


一件落着。

芳春は油断ならん。


「で、琴浦さん。何かやりたい実験ある?」


芳春が琴浦さんに言った。


少しは懲りた様子だ。


「あの…私…化学とかよくわからなくて…」


琴浦さんがモジモジしながら答えた。


「そう?でもな~…。俺に出来る実験というと…。あっ!水の状態変化!」


芳春が声をあげた。


「状態…変化ですか?氷と、水蒸気と…」


琴浦さんが呟いた。


「水って凄いんだ!水素結合してなきゃ-75℃くらいで沸騰しちゃうんだ。しかもモーゼ効果って言って、磁石から離れる性質があるんだ。最も身近で不思議な物質さ」


芳春が言った。

流石はテストの総合順位がクラストップなだけある。


しかし、キョトンとしてる琴浦さん。


「そ、そうなんですか?」


「そうだよ。密度が4℃の時最大で、凍らせると密度が下がる物質なんて他には無いよ!」


芳春が語った。


持っている知識を最大まで活かしているようだ。


「…み、水が…好きなんですか?」


何かを勘違いした琴浦さん。


「え?いや。別に?」


「そう…なんですか…。じゃあ…化学が…?」


「ん?俺は物理が好き!」


「……」


盛り上がらない二人の会話。


芳春に引きずられ気味の琴浦さん。


芳春としても琴浦さんのアドレスをゲットしたいところ。


しかし会話が上手くいかない。


そこで、実験しながら話題を作ることにした。


「実験やろう!フラスコとガラス管付きゴム栓とピンチコックのある?」


芳春が聞いた。


当たり前だが、他の学校の科学室ではどこに何があるのか分からない。


すると、どこからか琴浦さんが実験器具を一式持ってきた。


「あの…他に…何か使いますか…?」


「ん~。バーナーに火ぃ点けるマッチかな?」


「はい…」



琴浦さんがマッチ持ってきた。


「あ!もう一つ実験やろう!過冷却!」


「か…過冷却…ですか?」


頭に?が浮かんでいる琴浦さん。


それを察した芳春。


「見てれば分かるよ!琴浦さんタオル持ってる?」


「は、はい。持ってます…」


そう言って芳春にタオルを差し出した。


「あ~良い匂いがする~…。じゃなかった…。えっと、タオルを水を入れたペットボトルに捲いて…。ペットボトル俺と代われ!じゃなくて…。冷凍庫ある?」


理性が崩壊寸前の芳春。


「え…とっ…。薬品冷やしてる冷蔵庫の…冷凍室が空いてますよ…?」


琴浦さんが言った。


芳春はそこにペットボトルを入れた。


「あとは待つだけ~」


上機嫌な芳春だった。


「よし!状態変化の実験やろう!琴浦さん、まずバーナーに火点けて!」


芳春が言った。


「あの…マッチ…擦れないんですけど…」


「じゃあ俺やるよ!貸して!」


マッチ1つ擦っただけで得意になる芳春。


そして、水を入れたフラスコにガラス管付きゴム栓をして、ガラス管にゴム管をくっつけた。


それをバーナーで加熱し、沸騰させる。


沸騰させる間、芳春は仕切りに琴浦さんに話し掛けた。


「琴浦さんって何で化学部入ったの?」


「それは…。ショーを…見せられたので…」


「ああ、化学ショーね。本格的なやつは凄いよね!」


「いいえ…。ヒーローショー…です…」


ちょっと考えた芳春。

ヒーローショーから化学部に…?


何があったんだ…?


「…えっと、そのショーが面白かったから化学部に入ったんだね!」


無理に納得しようとする芳春。


「いえ…。あの…ショーは面白くなかったんですが…」




「グスン…」


徹哉が泣いている。


「…?徹哉どうした?」


「…谷津。何でも、何でもないよ…」


ヒーローショー…。




「ショーは面白くなかったんですが…黒鉄君と先輩がとても楽しそうでしたので…」


部員が楽しそう。

それが入部理由。


軽音部が辛くて科学部に逃げてきた芳春には、琴浦さんの気持ちがわかった。



「ってうわー!沸いてる沸いてる!」


慌てる芳春。


「え?え?どうすれば…?」


琴浦さんも動揺している。


「えっと。まずは火を止めて、そのあとゴム管をピンチコックで止める!」


はいと返事をして琴浦さんが芳春が言った通りにした。


「やりましたよ…」


「そしたら、フラスコに水をかける!」


琴浦さんが水道水をフラスコにかけた。


「今、沸騰してたのわかった?」


「え?あ、はい…」


「水を沸騰させると、フラスコの中は空気じゃなくて水蒸気で満たされる。そこを冷やすと水蒸気は水になる。よって中は真空になり、気圧が無に等しくなるからちょっとした温度で簡単に水が沸騰するのさ。山の上だとご飯が上手く炊けないのはこのせい」


「そう…なんですか…」


「よし、次!あっ!いけね!咲奈ちゃん、水槽ある?」


今何気に名前で呼んだ?


しかし、当の本人は気付いていない様子。


「水槽ですね…?持ってきます…」

琴浦さんは水槽を取りに席を離れた。




「谷津!見たか!これが俺の実力だい!」


自慢気に話す芳春。


「そうかい。まあこの際ナンパするなとは言わないから。頑張って」


谷津は自分の実験の手を止めずに答えた。


「ナンパするなよ…。止めろよ…」


徹哉が言った。


「多分、芳春は何言っても無理!ほら、うち男子校だから」


「男子校ってそうなの…?」


どこか納得できない徹哉だった。




水槽を戻って戻ってきた琴浦さん。


「お待たせしました…」


そう言って机に水槽を置いた。


「ありがとう!ってあれ?どこから持ってきたの?」


「あの…生物室から…。金魚入りです…」


本当に化学を知らないらしい。


琴浦さんはいわゆる「水槽」を持ってきた。

わざわざ生物室から…。

金魚が2匹泳いでいる。


芳春は回りを見た。


すると、普通に後ろの棚に水槽がおいてあった。


「咲奈ちゃん…。あれでいいんだよ」


芳春が水槽を指差した。


「あっ…あの…。すいません…」


「いやいや。別にいいよ!金魚も和むし」


適当な理由を付けた。



気を取り直して実験再開。


水を入れた水槽の中に、フラスコを逆さにしてゴム管を入れた。


そして、ピンチコックを開く。


すると…。


「うわー!す、凄いです!」


モジモジ忘れて驚く琴浦さん。


水槽の水が、フラスコの中にどんどん入っていく。

フラスコの中は、ガラス管から水が吹き出ていて、噴水のようである。


「これは中が真空のために、水がフラスコに入り込む現象」


琴浦さんはずっとフラスコを眺めていた。



その後、暫くしてから2人は冷凍庫の水を見に行った。


「できてるかな…?」


芳春が呟いた。


「どう…なるんですか?」


琴浦さんが聞いた。


芳春は水を取り出して琴浦さんに手渡した。


「ちょっと振ってみて」


芳春に言われて琴浦さんはペットボトルを振った。


すると…。


「うわ!え?な、何ですか?」


ペットボトルの上の方からどんどん水が凍っていく。


「これが過冷却。0℃以下でも凍らない水」


「どういう…ことですか?」


芳春が説明し始めた。


「本来、水は0℃で凍る。というか、水が凍るのが0℃と決めた。でも、凍るにはきっかけが必要なんだ。衝撃だったり、急激な温度変化だったり…。きっかけが無いままだと、0℃以下でも凍らない」


「じゃあ…今振ってきっかけを…?」


「そーゆーこと!さて、後はどうするかな…?」


考える芳春。


そこに琴浦さんが口を開いた。


「あの……アドレス…交換…してください…」


芳春は笑顔になった。






仁&ジョンソン……………


「何で俺がこいつと…?」


仁が小声で言った。

自分で提案したくじ引きを恨んだ。


「オイオマエ、オレトジッケンデキルンダ。アリガタクオモエ」


ジョンソンが言った。


「そうだな。こき使える奴と組めたことをありがたく思うね!」


「ナンダトコノヤロウ!」


開始5秒で早くも険悪なムードに。


仁が人を嫌うのは極めて稀。


ジョンソンはよっぽどの人間なんだろう。


「オイオマエ、ハヤクジッケンヤレヨ」


「あ~?じゃあスライムやるか…」


やる気が全く無い仁。

スライムはただ混ぜるだけのお得な実験。


早く終わらせたい感がたっぷり。


「ナンデモイイ。ハヤクヤレ」


「黙れ金髪!さっさとホウシャと洗濯のり出せ!」


「ソレガタノムタイドカ?」


「お前には丁寧過ぎたか?」


ジョンソンキレた。


「○△※□……!」


意味不明なことを叫びながら仁に飛びかかった。


「谷津!」


仁が叫んだ。


「そらっ!」


谷津が液体窒素をジョンソンにぶっかけた。


「ナニスンダ!フザケンナ!」


叫ぶジョンソン。


「ごめん徹哉!液体窒素がちょっと無駄になった!」


「いや。構わないよ。ナイス判断!」



ジョンソンは黙って洗濯のりとホウシャを持ってきた。


「やればできんじゃん」


「フザケンナ!オイクロガネ!ナニガナイスハンダンダ!」


ジョンソンの叫びを徹哉は無視した。



「俺はホウシャ水溶液作るからお前は地面でも舐めとけ」


仁が言った。


「おい仁。そりゃ言い過ぎだぜ…」


谷津が言った。


「オマエ…。ジツハイイヤツダナ…」


「そりゃ俺だってあんなうるさくて気持ち悪い金髪野郎は御免だし組まされたお前の気持ちもよくわかる。だがな、相手は初対面なんだぞ。床じゃなくて責めて机にしといてやれよ」


「オマエハサイテイダ…」



「徹哉、あの金髪友達いるの?」


谷津が徹哉にきいた。


「さあ…。少なくともこの部活にはいない」


「ああ…。プッカプカに浮いてんのか」


「そうだ!」


もう言われたい放題のジョンソンだった。


「おい!溶液できた。後は混ぜろ」


仁が言った。


「ヤットデキタカ。オセーヨ」


「ちょっと黙ろうか」


仁もスライムを作ることにした。


「ホウシャ溶液に洗濯のりを入れて混ぜる。あとは勝手に……ん?」


固まらない。


「オイオマエ!ホントニスライムデキンノカ?カタマラネーヨ?」


「あれ?そんな筈じゃ…」


焦る仁。


「オマエノセイデシッパイダ!ブザケンナ!」


ジョンソンが優位に立った。


その時、仁が気付いた。


「あ!お前が持ってきたのホウ酸じゃねーか!お前の所為だよバカ!ホウシャじゃなきゃ無理に決まってんだろ!」


ジョンソンは無言になった。


以後、この2人に会話は無かった。




文雄&はがね……………


「時にWよ!やりたい実験などはあるか?無いのならニトログリセリンで遊ぼうと思うのだが…」


はがねが言った。

ニトログリセリンで遊ぶことに恐怖など覚えないらしい。


「何か危なそう…」


心配する文雄をよそに、はがねは準備を開始した。


「濃い硝酸と濃い硫酸とグリセリンだ!Wよ!危ないから白衣と安全メガネを付けとけ!」


そういうと、はがねは文雄に白衣と安全メガネを手渡した。


文雄はそれらを装着。

かなり本格的な格好になった。


「よし!Wよ!まずはこの濃硫酸に水を入れてみよう!」


はがねのテンションは高い。


文雄はなんとなく不安げ。


「入れるぞ!離れろ!」


はがねが叫んだ。


文雄も急いで離れた。


「見てみろ!」


はがねが言った。


文雄は机の上にポツンと置かれた硫酸入りのビーカーを見た。


中身が飛び散っている。


離れているため、何が起きているかは確認できない。


「な…何あれ?」


文雄が聞いた。


「あれは、濃硫酸に水を入れると水が沸騰する現象だ!Wよ、この現象が起こるため濃硫酸に水を入れてはいけないんだ」


じゃあやるなよ危ないな!


文雄はそう突っ込みたくなった。


「今のはただの実験だ!私たちはこれから遊ぶのだ!」


「…ニトロでね…」


まるでテンションが正反対の2人。



「ではこれからニトログリセリンを作る!一気に混ぜろ!Wよ!」


「え?何を?薄めた硫酸?」


戸惑う文雄。


「違う!濃くないと意味が無いだろ!原液を混ぜろ!」


「じゃあ何でさっき硫酸薄めたんだよ!?」


「いいから混ぜろ!」


「話聞けよクルパ!」


徹哉的な突っ込みをした文雄。


「いいか?ニトロというものはニトロ基NO2がくっ付いた物質のことであって爆発するものを言う訳ではない!」


はがねが何か説明しているが文雄は無視。

というか、目の前に爆発物があるのにペラペラ話されても聞いてらんない。


「…でだな、Wよ!」


「あんたうるさいよ!?」


「ん?混ぜ終えたか?」


誰もそんなこと言っていない。

今の会話からどう混ぜ終えたと判断したんだろう…。


「混ぜたよ。次は?」


文雄が言った。


「そのままでは衝撃感度が高くて小さな衝撃でもすぐ爆発するからな!水を入れろ!Wよ!」


文雄は水を入れた。


小さな衝撃ですぐ爆発するから慎重に…。


ってか…。


「あんた少しはこれ扱えよ!さっきから指示だけ出して何もしてないだろ!」


「私はあまり危険なことはしたくない!」


「このクルパ!」




ニトログリセリン完成。


全ての作業は文雄がやりました。




「よし!遊ぶぞ!爆発させてやる!」


張り切るはがね。


「まあ、それしか無いしね…。使い方…」



はがねは、ビンにニトログリセリンを詰め替えた。


そして、科学室の窓から校庭の隅の人がいないところ目掛けてぶん投げた。


「見ていろWよ!これが、化学だ!」


ドゴーン!


爆発。


そして、はがねは言った。


「最近は、このように爆発するのはトリニトロトルエンの仕事で、ニトログリセリンは狭心症の薬として使われるのだ!」


「じゃあ今の実験時代遅れ!?」


「まあ…そうだな!」


何のために危ない目にあったか分からない文雄だった。






陽一&明子……………


陽一と明子が使う机には、既に実験器具が置かれていた。


器具と言っても、穴が開いた空き缶にモーターがくっ付いていて回るようになっているもの。


片菜高校科学部製作の綿菓子製造機である。


「宜しくね!陽一君!」


「え?あ、うん」


女子とのコミュニケーションにまるで慣れていない黒岩。


それには定評があり、「二次元以外女子じゃねぇ!」とか言い出す程である。



「早く作りましょ!綿菓子!」


待ちきれない様子のアキコさん。


「じゃあまずエタノールある?それとマッチも」


黒岩が聞いた。


「はいは~い!」


上機嫌で返事をして、エタノールとマッチを持ってきたアキコさん。


「あとは乳鉢とガーゼかな」


「乳鉢と……ガーゼあるかな?」


ガーゼを探すアキコさん。



どこからか持ってくるから不思議である。


「持ってきたわよ!綿菓子綿菓子!」


「じゃあ作るか!」


気合いが入る黒岩。


「まず、エタノールをガーゼに含ませて乳鉢の上に置く」


「うんうん」


黒岩が話すのとほぼ同時に明子が動く。


「そしたら、綿菓子製造機の缶の中にザラメ入れて…」


「ほいほい!」


結構な量のザラメが明子によって投入された。


「後はさっきのガーゼに火を点けて缶の下に置く。そしたらモーターのスイッチオン」


「オン!」


明子がスイッチを入れた。


すると、缶が勢いよい回りだした。


「きゃー!綿菓子!綿菓子!陽一君最高!」


テンションが高い明子。


「で、綿菓子集める割り箸は…?」


「…へ?」


「割り箸!無いと食べれないじゃない!」


「えっと…。これで…」


黒岩が手にしているのはガラス棒。


様々な薬品をかき混ぜてきた化学の必須アイテム。


明子は黒岩の手からガラス棒を奪い取った。


そして…。


「施仗桜花流三ノ型“夜桜”ッ!!」


バギーン!!


ガラスの飛び散る音と共に、ぶっ倒れた黒岩。


「全く…。乙女にこんなもので綿菓子食べさせようなんてどうかしてるわ!まあいいわ!いただきます!」


指で綿菓子を作ったアキコさんだった。





谷津&徹哉……………


「何するよ?酸素!」


「いや、酸素っておかしいから!Oだから!Oも訳わかんねーけど…。というかナマリン、ボケも行けるの?」


「ん~…。ちょっとなら…。ナマリン…?」


「Pbだからナマリン!」



突っ込み担当と突っ込み担当のペアになってしまった谷津と徹哉。


お互いどうしていいか分からず取りあえずボケてみた。


「さて、何やるよ?」


谷津が聞いた。


「手軽に出来るのなら、液体窒素があるけど」


「それだ!」


決定した。



「何を凍らせる?」


二人で考える。


「ん~…。凍らせたいものか…。定番のバナナとかゴムとか…クルパとかジョンソンとか…」


「よし!あのパツキンな!」


谷津はそういうと…。


「そらっ!」


仁と喧嘩中のジョンソンに液体窒素をぶっかけた。


「ナニスンダ!フザケンナ!」


キレるジョンソン。


「ごめん徹哉!液体窒素がちょっと無駄になった!」


「いや。構わないよ。ナイス判断!」


これが真実である。



「というか速攻…。谷津もジョンソンを嫌ってんの?」


徹哉が聞いた。


「あいつ何なの?バカなの?死ぬの?滅びるの?朽ちるの?」


逆に谷津が聞いた。


「なんだか分からんが嫌っていることだけはよく分かった」



やっとこさ液体窒素の実験へ。


「ん~…。まずはゴム!うちではピペットの頭使うんだけど…。何かありそう?」


「そうだな…。おっ!スーパーボール発見!」


徹哉が叫んだ。


「随分とまぁタイムリーに…。まあいい。入れるぜ!」


スーパーボール投入。


暫くしてから割り箸で取り出す。


「せーの!」


叩き付けた。


ゴガンッ!


固いものがぶつかった時の音を出しながらも、砕けた。


「おーっ!」


感動の声を上げた徹哉。


「次はバナナ!」


そう言って、バナナを液体窒素に入れて凍らせた。


「うわ~、ガッチガチ」


徹哉が言った。


「堅いねー。これで釘も打てるぜ!」


谷津が得意げに話した。


すると…。


「アキコー!ちょっと来いよ!」


アキコを呼ぶ徹哉。


(あれ?黒岩倒れてる…。まあいいか。どうせ大丈夫だろ…)


黒岩をほうっておくことにした谷津。



アキコさんがやって来た。


「メ・イ・コ!で、何?今私綿菓子食べてたんだけど!」


若干不機嫌そうなアキコさん。


「バナナで釘打ってみ!凍らせたから」


徹哉が言った。


「釘?どこにあるのよ?」


「ここ」


そう言った谷津の手には、厚さ2センチ程の木の板が。


中央には、落ちない程度に打ち込んである釘が刺さっている。


「ああ、このバナナであの釘を打つのね!任せといて!」


そう言うと、アキコさんはバナナを握った。


「しっかり持ってなさいよ!施仗桜花流剣技十ノ型“百桜繚乱”」


バギッ!


鈍い音がした。


「…ちょっ!嘘だろ?板割れてる!」


驚く谷津。


「バナナもえぐれてる…」


徹哉も驚く。


「じゃ、アタシ綿菓子食べるから!あ、バナナ貰ってくね!」


自分の席に戻ったアキコさん。


「…なんじゃありゃ…」


暫く呆気に取られた谷津だった。






これで、共同研究終了。


片菜高校の仲間たちは、帰りに語り合っていた。


「どうよ谷津!はがねさんのアドレスゲット!いいだろ~!」


自慢げに語る文雄。


実験中はクルパとか呼んでたくせに…。


「俺だって咲奈ちゃんのゲットしたぜ!」


嬉しそうな芳春。


「あ、結局教えてもらえたんだ。良かったな~」


谷津が言った。


「…お前らいいよな…。何だあのパツキン野郎は!」


楽しめなかった仁。


「あまり記憶が…」


黒岩は記憶が飛んでいる。


「ま、良かったんじゃない?」


「だな…」





片菜高校の皆さんが帰宅している頃、石鉄高校科学室。


「疲れた…」


机にダレる徹哉。


「でも楽しかった!綿菓子製造機貰えたし!」


嬉しそうなアキコさん。


「あれ貰ったのか…」



「オイ!ナンダアノヤロウハ!アンナノブチョウジャネーヨ!」


怒るジョンソン。


「Wはなかなか面白いやつだったぞ!」


はがねが言った。


「私も…楽しかった…です…」


琴浦さんも楽しめたらしい。



「あ、先輩!片菜高校ってどこにあるんですか?」


徹哉が聞いた。


「よくわからないが、電車で1時間半らしい!」


「地味に遠い!なんでそんなとこ選んだんだ…?」


「ネットで調べて一番変な名前だったからだ!」


「やっぱそこかよ!」


何がともあれ、片菜高校と石鉄高校の共同研究は無事に閉幕した。



尚、文雄は毎朝はがねから、琴浦さんは毎晩芳春からメールが来て迷惑しているのは言うまでもない。


はあ~…。


終わっちゃいましたねぇ~…。


以上、五円玉様の「元素な彼女と記号な俺」×「我ら科学部!」でした。


これにて「我ら科学部!」は終了します。


長い間、ありがとうございました。


では、また別の作品でお会いしましょう!


では!

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