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化合物(コラボ) 岡品谷津と記号な奴ら

「我ら科学部!」最終回を飾る五円玉様とのコラボ作品です。


「我ら科学部!」×「元素な彼女と記号な俺」


サブタイトルはそんな意味で「化合物」です。


では!

ここは私立石鉄高等学校。


この学校の科学室で今日も化学部の活動は行われていた。


「明日は土曜日だが、この化学部も休日練習を行いたいと思う!」


一人の女子生徒が、科学室の黒板の前に立ち、声を上げていた。


女子生徒の名前は杵島きしまはがね。

石鉄高校化学部の部長である。


いつも突然変なことを言い出しては部員達を困らせることに定評がある。


「しかも只の休日練習じゃないぞ!」


「じゃあ有料なんですか?」


「いいから聞けO!」


今O(酸素)と元素記号で呼ばれた男子生徒は黒鉄徹哉くろがねてつや


不本意ながら化学部に入ってしまった悲劇の人。


「今回は只の休日練習じゃないぞ!なんと!他校との交流試合だ!」


声を大にしてはがねが言った。


「それって…。うちの部活の場合は交流試合じゃなくて共同研究っていうんじゃ…」


「細かいことは気にするなOよ!」


「あの…どこの…学校と交流するんですか…?」


モジモジしながらはがねに質問したこのナイスバディーの女子生徒は琴浦ことうら 咲奈さな

化学部員の一人。


「Cよ。いい質問だな!」


C(炭素)とは琴浦さんその人のこと。


「片菜高校だ!」


「変な高校!?なんだそれすげー嫌だ!」


徹哉が言った。


「オマエヘンナコウコウニタイシテシツレイダゾ。イマスグアヤマレ。デモヘンナコウコウッテ…。プフフ」


「てめーが一番失礼なんだよ金髪野郎!」


今喋った全文字カタカナで非常に読みにくいのが中臣なかとみジョンソン。

ハーフの化学部員。


「確かに私も電話で試合を申し込んだ時には思わず笑ってしまった!」


「あんたも失礼だなこのクルパ!」


クルパ=クルクルパー=杵島はがね。


「ていうか、テツも変な高校って言ったじゃない!」


そう言ったのは施仗明子せじょうめいこ

剣道女子だが化学部員。


「アキコだって違和感感じただろ?」


「だからメイコ!」


アキコと呼ばれると怒る明子。


「因みに!相手は男子校だ!部長は野御丸仁という人間らしい!ニックネームを考えておかねば…」


「男子校でも何でも関係ないわ!私の剣にかかれば相手が男でも!」


気合いたっぷりの明子。


「いや、アキコ。だから共同研究だって…」


「メ・イ・コ!」


「相手は綿菓子製造機を持ってくるらしいぞ!」


「やー!めっちゃ良い人達!」


お菓子が大好きなアキコさん。

感情の切り替わりが極めて早い。



「というわけで明日!ここに10時集合だ!」


こうして、片菜高校との交流試合(共同研究)が行われることになった。






一方、片菜高校化学室。


「谷津ー!明日石鉄高校と共同研究やるから!」


そう言ったのは野御丸仁。


「石鉄高校…?知らないなぁ…。しかも突然過ぎる…」


岡品谷津が答えた。


「電話あったのさっきだから…。向こうは共学だからな!女子もいるぞ!」


「あ~そうかい。で、何か言われた?何の実験やるとかさ」


「何か、電話で片菜高校だって言ったら凄い笑われた…。実験内容はお互いに自由だとよ!綿菓子製造機持ってこーっと!」


「自由…。共同研究でも何でもないな…。で、集合場所は?」


「10時に石鉄高校科学室!」


「まさかの現地集合!?」


「向こうは私立だし、設備も良いだろう」


「そんなとこにうちらはお手製の綿菓子製造機持ってこうってんだからスゴいな…」


「ま、遅れずに来いよ!俺は部長だしちょっと早く行ってるから!10時に間に合う最後の電車の1本前ので!」


「じゃああんまり変わんねーじゃん!」




こうして、片菜高校科学部と、石鉄高校化学部の共同研究(はがねに交流試合と思われてるのを仁や谷津はまだ知らない)が実現するのだった。





当日……。


電車に乗っている谷津にメールが届いた。


『大変だ谷津!駅から石鉄高校までの行き方を調べるの忘れた!』


フロム仁。


谷津は焦らず返信した。


『西口出たら割と目の前。お前今東口にいるんじゃね?』


返信が届いた。


『あっ!あった!流石谷津!で、科学室どこ?』


谷津は最後の返信をした。


『知らん』




谷津も駅に到着。


因みに、谷津は芳春や文雄や黒岩と一緒に石鉄高校まで来た。


そして、事務所で科学室の場所を聞き、「科学室」と書かれているのを確認して扉を開けた。



「待っていたぞ!片菜高校諸君!」


谷津たちが挨拶をする前に、はがねがそう言い放った。


呆気に取られる谷津たち。


そして谷津には他にも気になったことが…。


「あれ?あの…。うちの部長来てませんか?」


仁がいない。


「部長?ああ、Znのことか?」


「Zn?それは一体…?」


「諸君の部長は仁と言うそうじゃないか!だからZnだ!」


「ああ…。え…?」


すると、徹哉が口を挟んだ。


「ごめん。この人いつも変なこと言うから…」



そんなことをしていたら、科学室の扉が開いて仁が入ってきた。


「はぁ、はぁ…。一体どれだけ広い学校なんだ…。流石私立…。やっと科学室だぜ…」


「これで本日のキャストは揃ったな?それではお互い前に出て自己紹介といこうじゃないか!」


はがねが言った。




まずは石鉄高校化学部員から。


5人が黒板の前に並んだ。


「私からMg、O、C、Au、Liだ!」


「ちょっ!クルパ!紹介になってねぇ!しかも自己紹介だって言ったくせに何であんたが全員紹介してんだ!」


徹哉が突っ込んだ。


「おお、すまんOよ。では言うべきことを黒板に書いておくか!」


そう言うとはがねはチョークを手にして黒板に書き出した。


黒板にはこう書かれた。


言うこと

1.名前

2.学年

3.ニックネーム

4.一言



「ニックネームっている?」


「Oよ!ニックネームがあればより親しい仲になれるというものだ!だから必要だ!」


「はいはい…」



こうして、自己紹介が改めて始まった。



「私は杵島はがねだ!石鉄高校化学部の部長をしている2年だ。ニックネームはMgだ!よろしくな!」


はがねの自己紹介終了。


「Mg…?マグネシウム…?」


谷津が呟いた。


「Mgはマッドサイエンティストガールの略だ!」


谷津の呟きに対して全力で答えたはがね。




自己紹介は次の人に。


「えっと…。俺は黒鉄徹哉、1年です。ニックネームは…テツとか……Oとか…。ってかOって何だよ!?えっと…よろしくお願いします」


自己紹介で自らの発言に対して自ら突っ込んだ徹哉。


「Oは酸素だろ!」


はがねが言った。


「そういう意味じゃない!」




自己紹介は進む。


「ええと…。私は琴浦…咲奈です。1年生です…。ニックネームはCです。あの…よろしくお願いします」


モジモジしながらゆっくり話した琴浦さん。


「谷津谷津!あの子可愛くね?」


芳春が反応した。

少し興奮気味。


「え…。いや…確かにアレだけどさ…」


「今日来て良かった!」


早くも満足げな芳春。




自己紹介はまだ続く。


「オレハナカトミジョンソンダ。イチネンダ。ニックネームハエーユーダ。キョウハオマエラヲカエリウチニシテヤル!」


ジョンソンの自己紹介。

カタカナで非常に読みにくい。


「谷津、エーユーって携帯のアレか?」


仁が小声で谷津に聞いた。


「え?違くね?エーユー…英雄じゃね?自分が英雄だと思い込んでるんだよきっと!」


「それもありそうだけど…。もしかして元素記号か?Auって何?」


「あんた部長だろ…。Auは金だな。ほら!金髪だし。きっと金髪だからだよ!どうみても顔は金とか似合わないもん!なんか5年間海辺か土中にあった鉄って感じ?」


「なるほど!金髪だからAuか!単純だな!しかもその例え凄いよく分かる!」


谷津と仁のひそひそ話。


「オイオマエラ!キコエテンゾ!フザケルナ!カエリウチニシテヤルカラナ!」


怒ったジョンソン。


「返り討ちだとよ。あいつは何と戦うんだ?」


「分からん。金髪野郎の言うことは分からんな。外国語じゃねーの?」


谷津と仁はジョンソンの怒りを気に止めなかった。




石鉄高校最後の自己紹介。


「アタシは施仗明子。1年生です!ニックネームは…Liとか呼ばれてます。綿菓子楽しみにしてます!」


明子の自己紹介。


「ニックネームはアキコだろ!」


徹哉が明子に言った。


「だからメイコ!」


明子が徹哉に飛びかかった。



「仲いいんだね~」


「「良くない!!」」


二人から同時に言われてちょっとたじろいだ谷津だった。





続いて片菜高校科学部員の自己紹介。


仁を先頭に黒板の前に並んだ。


「部長の野御丸仁です!2年です。ニックネームは…特に無いので仁とでも呼んでください。今日はよろしくお願いします」


仁が早口で言った。


「お前は今日からZnだ!」


はがねが言い放った。


仁も納得しないうちに、ニックネームがZn(亜鉛)になってしまった。


ふと見ると、徹哉が申し訳無さそうな顔をしていた。




次は谷津の自己紹介。


「2年の岡品谷津です。ニックネームは谷津ですかね?特に年齢が上だからって敬語とか使わないでいいんで…。よろしくお願いします!」


谷津の自己紹介終了。


「オカシナヤツダッテ…。プフフ…ヘンナナマエ…」


「おい金髪表出ろ!」


初対面を感じさせない谷津だった。


「諸君の学校はニックネームが無いのか…。よし!今日からお前はPb(鉛)だ!Znの補佐役といった感じだからな!」


また勝手にニックネームを付けたはがね。


「補佐役…」


何とも微妙な役回り。

またしても申し訳無さそうな顔をする徹哉だった。



次は芳春。


「2年!菅原芳春です!芳春って呼んで下さい!(特に琴浦さん!)よろしくお願いします!(特に琴浦さん!)」


顔がニヤついていた芳春。


谷津にはすぐに理由が分かった。


「ん~やはり名前をそのまま呼ぶのは面白くないな…。よし!お前は今日からウランだ!どこか危なそうな顔をしている…。そこがUそっくりだ!」


はがねにも芳春の本音が分かったのだろうか?


「少しあのクルパ遠慮しないかな…」


徹哉の呟きははがねには届かなかった。



次の自己紹介は文雄。


「えっと!佐島文雄です!2年です!ニックネームは文雄!よろしく!」


女子がいると張り切る文雄。


まあ、男子校では珍しいことではない。


「お前もつまらないニックネームだな…。今日からお前はタングステンだ!記号と元素名があまりにもかけ離れているようにお前も見た目と中身が違いそうだからな!」


意外過ぎる元素に驚く文雄。


「タングステン…?何それ?知らな…」


「タングステンは白熱電球などのフィラメントなどに使…」


「クルパうるさい!自己紹介進めて!」


徹哉が止めた。



片菜高校最後の自己紹介。


「黒岩陽一2年です。基本名字で呼ばれます。よろしくお願いします」


自己紹介終了。


「ん~。お前はリンだ!物によって猛毒だったり便利なものだったりするリンにそっくり!な、気がする!さらにリンの名前の由来『光を運ぶもの』もしっくり来る!」


多分、はがねが「光を運ぶもの」がしっくり来るのは黒岩の髪型が坊主だからだろう。



「ん?Znよ!1年生はいないのか?」


さっそくニックネームを使うはがね。


呼ばれた仁は一瞬戸惑う。


「え?あ、俺か…。部活自体にはいるけど今日は映画見に行くとかで予定が合わなくて…」


「仕方ない1年生だな!」


谷津と徹哉は心の中で叫んでいた。


「「あんたが共同研究やろうって言い出したの昨日じゃん!」」







「自己紹介も終わりましたし、そろそろ共同研究やりましょうよ!」


明子が言った。


恐らく狙いは綿菓子。

顔に「綿菓子食べたい」と書いてある。


「んじゃ、丁度5人ずついるし、2人1組でいいかな?」


谷津がはがねに聞いた?


敬語を止めつつ柔らかい言葉を使うのは谷津の得意技だったりする。


「私は構わない!どう決める?」


「くじ引き!」



仁の意見でくじ引きになった。


結果を黒板に書いていくはがね。

尚、()内はサービスです。はがねは書いてません。


U(菅原芳春)ーC(琴浦咲奈)


Zn(野御丸仁)ーAu(中臣ジョンソン)


W(佐島文雄)ー私(杵島はがね)


Pb(岡品谷津)ーO(黒鉄徹哉)


P(黒岩陽一)ーLi(施仗明子)


元素記号だけじゃ誰が誰だか分からない…。


しかも書き方がどう見ても対戦表。


それぞれペアになり、実験がスタートした。



まさかの中途半端な終わりかた…。



ではなく!


もう1話あります!


1話で終わらせようとしたらですね、携帯電話換算で10ページ程になってしまうため、2話に分けさせて頂きました。



次回は実験編に入ります。


本当の最終回は次回です。

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