一般公開直前!谷津の陰湿な嫌がらせ
今回はかなり短いです。
一般公開部分を別に分けてやりたいので…。
そんな訳でですね、携帯電話で1ページ分に満たない奇跡の短さですが、お楽しみ頂ければ幸いでございます~。
今日は土曜日なのに学校がある。
普段ならすこぶる機嫌が悪くなる谷津だが、今日は違った。
たまに土曜日に学校に行くことがあるが、大抵は模試。
しかし…今日は違う!
待ちに待った文化祭なのである!
そしてどうでもいいことがもう一つ。
「今日だよな?何時?」
谷津と一緒に登校している仁が聞いた。
「今日だ。11時だ。ま、どうでもいいけどな」
「随分適当な…」
「後があるからな~」
実は、谷津が先月の終わりに受けた入試の合格発表が今日だったりする。
その発表が11時なのだ。
本人は受かってても落ちててもどっちでもいいと思っているが…。
つまり適当。
「まあ、文化祭で忙しくて確認してる余裕は無いだろうけどな~」
谷津はそう言って仁と電車を降りた。
学校は文化祭ムード。
校門には派手なゲートが…。
今年のテーマは神社。
大きな鳥居が出来ている。
鳥居をくぐり抜け化学室へ。
今日は仁も一緒だ。
「何だよこのアーチ!化学室見えねーじゃんかよ!」
仁が吹奏楽部の作ったアーチを見るなり文句を言った。
谷津は昨日リモネンを霧吹きした風船を確認した。
「変化無し…だな…」
何故か笑みを浮かべる谷津。
化学室に入ると、聖が綿菓子製造機をいじくっていた。
「動いた?」
谷津が聖に聞いた。
「はい。もう完璧ですよ!」
徹夜で作り直したらしい。
凄い執念…。
谷津は達也と化学室の入口の扉を外した。
冷房を入れて準備完了!
その時だった。
廊下から「バンッ!」という破裂音が連続で鳴り響いた。
みんな驚いて廊下の様子をうかがっている。
何やら吹奏楽部員が慌てている。
一人だけケラケラ笑っている男がいた。
谷津だった。
「なんだ…風船が割れただけか…。ざまーみろですよ!ていうか先輩…笑い過ぎです…」
科学部員はみんな吹奏楽部が邪魔だと思っていた。
そこで、谷津が代表して仕返ししたのである。
「いやー…。まさかこんなに上手くいくとは…あははは!」
谷津が笑いながら言った。
「風船割ったの先輩なんですか?」
達也が聞いた。
「え~?どうだろうね~…。ま、俺だけど」
「何したんですか…」
「リモネンを薄めて霧吹きした!ほら、リモネンはミカンとかの皮に入ってる目に入ると痛いあの物質だよ。あれは風船を溶かして割るから薄めて使えばある程度は割れる時間をコントロールできるのさ」
「何してんですか…。全く…バレたらヤバいですよ?」
「大丈夫!俺にはアリバイがある!」
「なんというアリバイトリック…」
慌てる吹奏楽部員をよそに、放送が入った。
「5分後より、一般公開が始まります。各団体は、最終確認をしてください」
結局、吹奏楽部は風船の装飾をせずに一般公開を迎えた。
科学解説所……谷津の知ったかぶり豆知識……
このコーナーでは谷津が限りある知識の中から本文中に出てきた科学的な言葉について解説するよ!
リモネン…。
化学式
C10H16
基本的にCの数が人間の感じる「甘味」に関係してるらしい…。
Cが多い方が甘いらしい…。ホント?
C6H12O6(ブドウ糖)とか甘いし…。
リモネンはゴミになった発砲スチロールの処理に効果的と期待されてる物質です。
発砲スチロールをトラック一杯に積んでも重さ的には人1人を運んでいるのと変わらず非常に効率が悪いです。
しかし、リモネンに溶かしてしまえばより効果的に運ぶことができる!というわけですな~。
しかも安全。(目に入ると痛いけど)
みんな!わかったかな!?
そんなわけで、次回からついに片菜祭一般公開が始まりま~す。
本番は……ハァハァ……これ…から…だ…ぜ……ぐふぅ…。