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第三二話 マルフのグンシュル

お待たせしました。

ちょっと短いかも知れませんが、ご勘弁下さい。

では、楽しんでもらえると幸い(短過ぎるっちゅうの!)です。


セリヨン・ハーネストは、エディ・グラープスの野盗と交渉を行なう為に野盗の根城に訪れていた。

野盗の正式な名は「マルフのグンシュル」と言う。マルフ・フィルフェンドを族長とし、グンシェルはこの地方の斧のような武器の名である。

セリヨンが幌馬車で訪れると、大きな門が開かれた。

「よく来てきれた、セリヨン。昨日傭兵稼業を終えた仲間が戻ってな。色々必要だったんだ」

「それは来た甲斐がありました」

入口でそんなやりとりをしていると、颯爽とマルフが訪れた。粗粗しく切られたアッシュ・ブラウンの髪に、筋肉質で引き締まった体。彼は見かけでは解らないが、亜人間らしく、信じられない怪力の持ち主だと言われている。本人は自慢している訳でも無いので、セリヨンには真実かどうかの程は解らないのだが、恐らく真実だろうと思われた。

「マルフ殿、ご無事でしたか」

「ああ、仲間も誰一人欠けてない。というより身寄りの無い戦士が23人新たに仲間に入ったちゅうぐらいや」

「大所帯なのに大丈夫なのですか?」

「まあそうやな。最近は街道を抜ける良い鴨がいるいう話聞いててな、多分大丈夫やろ」

「なるほど、…実のところ、今日参ったのはその話についてなのですが。自治城塞都市ウェルデンが最近急激に発展していて、豊かになりつつあることはご存知ですか?」

「そうなんか?いや、わいは暫く傭兵頭をしていてな。ここにはおれへんかったしな。いや、それは知ってるか…、そうやなぁ、報告は受けてない」

「なるほど。実は今は、アキト・クロサワという人物が総指揮を取って町を改革しているのですよ。今日は彼からの依頼で訪れた次第です」

「へぇ、アキトいうんか?そいつは強いんか?それとも頭が良いんか?」

「率直に言って両方ですね」

「わいよりもか?」

「ドラゴンと戦い、退けられますか?」

―――。

「たぶん無理やな…。アキトちゅう奴はできたんか?」

「はい」

「そいつは凄いな。だんぜん興味湧いてきたで!で依頼ってなんや?」

「軍隊に編入してもらいたいと」

「へぇ、断ったどうなるんや?」

「討伐すると。ただ、彼はその選択肢は取りたくないようです」

「んー、まいったなぁ。しかしなぁ…、で、ウェルデンの軍隊って何人なんや?」

「千人ですね」

「よし分かった。決を取ろう。ちょっとまっててや」

そういうと、マルフは砦のテラスに立って周囲を見渡した。仲間達が杯を上げている風景はいつものことだ。

こいつらが仕官するタイプかいな、そう思いつつ(というのは後に語られた話なのだが)叫んだ。

「お前らー!よう聞け!」

そう叫ぶと、皆がテラスに目を、向けるのを待って、更に叫んだ。

「わいらがウェルデンに新しく立つアキトいう奴が、わいらを軍隊に招く言うてる!断ったら討伐っちゅう話や。

お前らの意見を聞きたい!

今のまま独立して楽しくやるか、軍隊に入って規則に縛られるかや!

わいが右手を上げたら自由を取る奴は声を上げろ!軍に入ってもいい言う奴は左手を上げたら声を上げろ!」

そいううと、マルフはゆっくりと右手を上げた。

ウォォォっっ!!!

と全員が叫んだ。

マルフは、今度はゆっくりと左手を上げた。

皆それぞれ探るように顔をみ合わせている。

「解ったで!戦争や!戦場から帰って来たばかりで申し訳あらへんが、勘弁してくれ!30人長集まれや!」


夜が開けて、

「じゃぁ、宜しく頼んだで」

とマルフ。

「了解しました。私はどちらか一方を切ることができないので、何も言えませんが…。せめて、ご無事で」

「ああ、問題あらへん」

マルフからそう受け取るとセリヨンはウェルデンへと引き返した。

途中、街道脇に馬車が止めれれており、気になって声をかけたら、「いや、気にしていただいてありがとうございます。問題ありません。連れが馬車に不慣れで伏せってしまっただけです」と返ってきた。

セリヨンはよくあることとして気にせず出発することにした。

その馬車の中には、リーハ・グレスデンとリック・ソーセルとロデ・カッテン、そしてリーナ・サーリエントが乗っていた。窓は締切、うす暗い闇の中でリーナは何かを探っていた。リーハ、リック、ロデはただリーナの護衛として派遣されただけなので自分たちが何をしているのか把握していなかった。ロデが「お嬢ちゃんの能力は何かのう?」と訪ねらた、「アキト様から誰にも言っちゃダメだって」とすげなく返ってきた。結局自分たちが何をしているのかリーナしか知らなかった。

「うふ。もういいや。帰ろう」

リーナがそういうと、3人はゆっくり息を吐いた。意味も解らずじっとするのは辛いことであった。


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