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第二八話 立場の変遷

ドラゴンの力を借りて魔物の巣窟となっていた森、ワナ・グラープスから魔物が消え、街道の安全性が格段に上がり、また、自治城塞都市ウェルデンの急激な発展に伴って、街道を行き来する行商人の往来が増えた。

これは歓迎することだが…。

黒沢明人は、悩んでいた。それは盗賊団の立場が状況の変化によって対応すべき方針が変わってしまったからだ。

以前の状況での盗賊は、ある意味、自治城塞都市ウェルデンを守る盾であったと考えられる。が、行商人がセリヨン・ハーネスト以外に多く増え、また城壁で町を囲んだ為、入口が完全に1つになり、亜人間の誘拐がなくなり、少なくとも良心的な行商人が増えた為、彼らを守ることもウェルデンの義務となりつつある。

セイフ・ハーグマンに尋ねたところセリヨンから聞いた話として盗賊団は200人程度の大所帯であるらしい。

しかし、それだけの大所帯を切り盛りする為には、副業が必要だろう。何で稼いでいるのか?

その問題に関して、セイフに尋ねると、

「傭兵団として130人程出兵しているようです。それと、彼らの頭領は見た目は人間ですが亜人間です。そういう理由もあってこの町から誘拐された亜人間を連れ帰ってくれたり、少ないながら交流もあります」

との話だった。

ということは実質70人程度。更に女子供を除くとどこまで減るか?討伐は容易だろう。だが過去の関係を考えると乗り気になれない。

「できれば穏便に鞘を収めて貰いたいのですが…」

セイフの本音だろう。黒沢明人は、彼女の感情は自分よりも強いだろうと想像した。

「ところでセリヨンはなんで盗賊団のことを知っているんだ?」

「彼らとも商売しているようです」

「…なるほど。次ここを訪れるのは二ヶ月後か。彼を仲介した方が良さそうだな」

「どうするんです」

「傭兵稼業を捨てて本業になってもらおう」

「それは良い案ですね!」

「まあ、実際そう簡単に行くとも限らないが…、セイフ、事務仕事は暫く任せる、悩んだ場合は相談してくれ。暫く現場に出て陣頭指揮を取る」

「は、はい」


その日より黒沢明人は、不眠不休で様々な陣頭指揮を取った。

算盤の製作、教師への教育から、兵器の開発、兵士の訓練、など様々だ。

特に兵士の訓練は陣頭指揮をとっていたブロン・バーリエンスと合流して、徹底的に鍛え上げることにした。

「ブロン、どんな感じだ」

「そうでやすね。そこそこ使えるようになりやしたが、まだまだひよっこですね」

黒沢明人は、朝から訓練を眺めていて結論付けた。

「息が上がるのが早いな。まずは体力をつけないといけないようだな」

「なるほど、そうでやすね。ちょっと集めますか」

「ああ、頼む」

ブロンが大声で、剣を振っている背の高い兵を呼ぶと、彼も何人かの兵を呼び、その兵が更に兵を呼びを繰り返し、またたく間に隊列を組んだ。

「ほう、行き届いているな」

「へぇ、旦那の言っていた通りの運用を何度も訓練しやした」

「となるとやはり体力だな。剣技は今準備させている物があるがまだ数が足りていないので後回しだ」

そう言うと、黒沢明人は声を張り上げた。

「諸君、今日からブロンと共に諸君の教官を勤める黒沢だ。

大体見て回ったが、諸君には体力が足りないようだ。明日から基礎体力を徹底的に叩き上げる。意見はあるか?」

「旦那、実は問題児が三人いるんでや…」

ブロンが何かを言いかけている言葉の上から3人が声を上げ、集団の中から現れた。

「意見は無い。だが俺達3人は自分より弱い教官の下には付かねぇ」

なるほど、ブロンが何を言いかけたのか解った。

「面白い、でどう判断するんだ?」

「俺達三人の中から一人を選んで勝負してもらう。俺の名はリーハ・グレスデンだ」

リーハ・グレスデンは、鍛えられた体と精悍な顔立ちの年配者だ。年齢は35から40歳くらいか。

「俺の名は、リック・ソーセルだ」

リック・ソーセルもリーハ・グレスデン同様だが年齢は若干若い。30位だろう。

「最後にわしじゃ、わしの名は、ロデ・カッテンじゃ」

ロデ・カッテンは、初老だろうか、だが年齢に似つかわしくない、鍛えられた体がただの老人では無いということを物語っている。

「3人か、よし良いものがある、ちょっと待て。ロデン、技術部(特殊技術開発部)に行って、負荷放電ソードを4本持ってきてくれ」

黒沢明人は、自分の後に控えていた武官のロデン・カーナルに指示を出した。

30分程でロデン・カーナルが4本のロングソードを持って帰ってきた。

ロデン・カーナルは黒沢明人を見た、黒沢明人は黙って頷いた。

「この剣は、一定以上の負荷を受けると一瞬電気を放ちます。喰らったら間違いなく気絶するか動けなくなります」

そう言うと、ロデンはリーハ、リック、ロデと黒沢明人にロングソードを渡した。

「三人の中から一人だったな」

黒沢明人の問に、リーハが答えた。

「ああ、誰を選ぶ?」

「後でいちゃもんつけられるのは嫌いでな。三人同時に相手をしてやろう」

「くっ馬鹿にしやがって、リック、ロデ翁、手抜きは無しだ。後悔させてやろう」

「くくく、面白い、これで負けたらわしら大恥じゃ。アキト殿の噂を聞く限り侮れんしのう」

ロデが愉快そうに肩を震わせた。

そして最後にリックが言った。

「ところでデンキ(電気)って何だ?」

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