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第二三話 新生ウェルデン

う、今回は短いです。

申し訳無い…。

セリヨン・ハーネストが、退出し、旅の準備をしている頃、執務室では、イリート金貨500枚の用途について話し合われていた。

こんな大金誰も見たことが無かったのだ。尤も黒沢明人は冷静であったが…。

いくつか案が出たものの、どれも早急なものでは無く、これと言って案が出なかった。

代表(セイフ・ハーグマン)は困って、黒沢明人に助言を求めた。

「明人様、何か助言を頂けないでしょうか?」

「今のこの町の人口は何人だ?」

「1万8千人程です」

「その中でも働き手は、どの程度いる?」

「1万1千人位でしょうか」

「では、公共事業を起こして、住民に還元するのはどうだ?」

「公共事業と言いますと?」

「城壁と堀の建築。家を木製から石へと立て直し。周囲の土地の開拓。特に城壁と堀は重要だろう。村人を一ヶ月デューク銀貨一枚で雇うというのが趣旨だ。住人はお金を得、町は良くなるという仕組みなのだがな」

代表とリリア・クラフト、文官2人が思わず唸った。

ただ、武官のアーネスト・フィロッツィが不満気に言った。

「兵士は雇わないのか?」

それに対して黒沢明人は、

「兵士は、リスクの高い仕事だ。一人当たりデューク銀貨二枚を払うとして、1000人もいれば良いだろう。兵士には、町の外の開拓の見張りになって貰う。北の森と南の森を重点的に監視する必要がある。残りの金は、随時必要になる費用に充てる。これでセリヨン・ハーネストが戻って来るまでの一ヶ月を有意義なものにできるだろう」

アーネスト・フィロッツィは、なるほどっという具合に満足気に納得した。

代表とリリア・クラフトも満足気に頷いた。

「それで行きましょう。明人様」

セイフ・ハーグマンは決断を下した。

尤もいざとなった時、戸籍が無い、身分証明が無い、文官の裁量権がはっきりしていない、等の多くの問題が発生し、怒涛の如き日々が始まったのだが…。


公共事業が始まり、黒沢明人は満足気に頷いた。この町には、様々な人材がいるようだ。今、城壁の建築を指揮しているのは、ベック・トリスタという小男で、しかし実に優秀な男だった。石の切り出しの指揮までもこなしたのだ。

黒沢明人も忙殺された、体内にあるミュークボックスの力を使って石材運搬時の石材の重さを軽くすることぐらいであった。尤もそのお陰でかなり作業効率が良くなったのだが。因みにミュークボックスは、手で触れることによっても質量を変えられる。尤も限度が厳しいのだが…。また、軽い石のままで工事できないので、ある程度運んだら、今度は元に戻す作業も強いられた。

外堀では、代表ことセイフが活躍した。外堀にする空間を切り抜き消していくのだ。これまた作業効率がかなりよくなった。

開拓作業では、ブロン・バーリエンスが兵士として魔獣を監視した。適当に集められた兵100人よりブロン一人の方がよほど役に立つだろう。

ディート・ウェルヘンは、文官として働いた。この町の識字率は1%未満である。そして計算ができるのは、その中でも少数であり、当然ディートの活躍が目立った。黒沢明人の信頼を得ているという事実も見逃せないが…。

リーナ・サーリエントは、これといってやることが無いので黒沢明人の後に常にくっついていた。

フェイ・アルディオーネは家族が存命でなかったので、結局黒沢明人の下で働くことになった。今は、城壁の工事で負傷した作業員の手当をする仕事に忙殺されている。まるで亡くなった家族の事を考えられないようにする為に。


一万一千人もの人材が投入されたこの町の一大事業は、一ヶ月でなんとか納得できる程までになっていた。城壁と外堀はほぼ完了したが、農業用の開拓地の開拓には、まだ時間がかかりそうだった、だが作業の終わった者から順次開拓に回る人間が増えているので、開拓も時間の問題かも知れない。

また、町も家は石造りになり、道には石畳が敷かれた。


そして、丁度一ヶ月後、セリヨン率いるキャラバンが、城塞都市と化した自治城塞都市ウェルデンに到着した。

余りの復興ぶりにセリヨンは道を間違えたのかと思った。だが、どうやら本当に、ここはウェルデンのようだ。

何故なら自治都市役所が以前と変わらず古いまんまだったからだ。

「これがアキト様の実力なんだろう。優先すべきものが何なのか真に考えておられる」

あの娘の考えでは無いだろう。


この町は、変わる。セリヨンは更なる確信を抱いた。


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