僕、狂愛警報。
「ごめんね」
・・・どうしたの?突然。
どうして謝るの?
なにを誤ったの?
「ごめんね」
ああ、謝らないで?
あなたは何もしてないんだから。
それとも私がなにかしたのかしら?
「ごめんね」
でも、私、あなたに何もしてないと思うわよ?
ほら、ご飯だってちゃんと食べたし。
「ごめんね」
歯磨きだってしたし、服も着替えたし、髪も整えたし、お風呂もあなたとちゃんと入ったし、あなたの言うこと聞いてるし、部屋だって出てないし、足枷も手枷も外してないし、逃げようだなんてしてないし。
ほら、ほらね。
私良い子にしてるでしょ?
「ごめんね」
あなただって何もしてないのよ?
だから謝らなくても良いんじゃないの?
「ごめんね」
・・・ねぇ、ほんとに突然どうしたの?
何があったの?
「ごめんね」
・・・ん?何持ってるの?
あら、包丁じゃない。
なんで包丁なんて持ってるの?
まだ夕飯には早いわよ?
「・・・ごめんね」
あ、わかったわ!
今の間で分かったわよー?
私を食べるんでしょー。そうでしょ!
ふふ、そろそろだと思ってたわ!
というか、やっとって感じだけどね!
「ごめんね」
なぁんだ、そんなことで謝ってたのー?
ふふ、あなたらしくないじゃない。
「ごめんね」
あ、それとも緊張してるの?
そうよね。だって、やっとのことで、私を愛してくれるんだものね!
「ごめんね」
ふふ、私ね、嬉しいのよ?
あなたの血となり、肉となり、骨となり、あなたと一緒になれることが。
あなたと共に生きれることが!
「ごめんね」
だから、ね?謝らないで?
あなたの愛よ?
心から受け入れるに決まってるじゃない。
だって、あなたが好きなんだもの。
「・・・ごめんね、愛してる」
・・・うふふ、私も愛してるわ。
(狂愛?)
(いいえ、これは『共愛』よ)
≪We believed≫END.
『愛する』にも、色々な形があると思います。
例え、他人の愛が『狂愛』だとしても。
それを自分がどうこう言える立場ではないのです。