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第1話 あの、お友達になりませんか?(顔を真っ赤にしながら)

 花の少女。お友達の夜とまだ花の知らないとっても怖い世界のこと。


 あの、お友達になりませんか?(顔を真っ赤にしながら)


 お帰りの時間の豪華な高級車の中で。


「この世界はね。花が思っているよりも、ずっと、ずっと暗いの。ずっと暗くて、とっても深くて、『とっても怖いところ』なんだよ。花がそれを『まだ』知らないだけでね。私たちみたいな子供がなにも知らないままで、たとえば、そうだな。今のっているこの車の中からみんなにないしょで、こっそりと二人だけで外に遊びに出かけたら、あっという間に大きな渦に飲み込まれるみたいにして、真っ暗な闇の中に飲み込まれてしまうような、そんな怖い世界なんだよ」

 くすくすと笑いながら夜は言った。

 花と夜は同じ名門のお嬢様学校に通っているお嬢様で、年齢は二人とも十五歳だった。

 二人とも真っ直ぐで長くて美しい黒髪をしていて、猫みたいな大きな瞳と、とても綺麗なお人形のような顔をしていた。

 花と夜の二人の顔はよく似ていて、もしかしたら本当は二人は姉妹なんじゃないかとか、あるいは見つめ合っていると鏡を見ているみたいに思えることもあった。

 背の高さや体の形もよく似ていた。

 そんな似ている二人だけど、二人の雰囲気はまるで違っていた。

 一言で言うと、『花は子供で、夜は大人だった』。

(花は心が子供っぽかったし、夜は心が大人っぽかった)

 花は名門のお嬢様学校の黒い制服と白いシャツをきちんと着ていて、黄色のりぼんもしっかりとしめて、スカートの下に黒のタイツをはいていて、ふかふかの革の椅子にきちんとした姿勢で座っている。

 顔にお化粧はしていない。

 切ったオレンジが飾ってある丸いグラスの(大好きな)オレンジジュースを一口飲むと、ちゃんとテーブルの上に戻している。

 夜はお嬢様学校の黒い制服と白いシャツを少しゆるくして着ていて、黄色のりぼんもゆるくて、スカートは短くて、その下に白いジャージをはいていて、靴を脱いで、あぐらの姿勢でふかふかの革の椅子の上に座っていた。

 顔にはお化粧をしている。

 手に持ったままで飲んでいる大きなグラスの、さくらんぼの浮かんでいる輪切りにしたグレープフルーツの入っているグレープフルーツジュースのストローを口で咥えて楽しそうに遊んでいた。

 その見た目や行動だけを見ると、花のほうが大人でお姉さんで、夜が子供で妹みたいに思えた。

 時間は夜の時間で、車の外は真っ暗なはずだ。(車の窓は外が見えないようになっているので、実際に見ることはできなかったけど、どっちにしても車の窓ははじめからずっと夜のように真っ暗だった)

「花。花と私は同じ年齢だけど、花は私よりもずっと子供だね。羨ましいな」

 と笑いながら夜は言った。

 花は(子供だと言われて、ちょっとむっとして)夜にそんなことないよって、反論したかったけどできなかった。(花もそうだと思ったからだった)

 そんな小さな子供みたいに悔しそうな顔をしている花を見て、また夜は楽しそうにくすくすと笑ってから、花の香りのするクッキーを一つ手に取って美味しそうにかじって食べた。

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