幹部として
「国?」
俺は今、ぽっと言われて国を任されそうになっている。
「あと魔王軍の幹部になってくれ」
「ちょ…え?」
困惑してしまった。急に言われても困ると思った。
「それはいいですね。ずっと一緒にいれるし」
おい!俺はやるとは言ってないぞ。
「ラブラブぅ!」
なに煽ってんだ。
「でまあよろしくね」
「やるって言ってないんですけど」
「大丈夫。肩の力抜いてやればいいから」
「え?」
無理やり進まれた。ていうかなんで俺なんかに国任せるんだ?なんで俺が幹部なんだ?
「よろしく。同じ幹部として」
「あ…ああ」
無理やり任せれたけど言われたらやるしかないか。駄々こねることはしたくないしな。
「で幹部はなにやったらいいんだ?」
「まあ大体は魔王軍を強くすることかな」
「強くするってどうやって?」
資金的に強くするとか、単純に武器を強くするとかあるからな。
「じゃあ、魔王軍の傘下の軍作れば?」
「なんで傘下が必要なんですか?」
魔王軍があるなら、それをより強くしたらもっとよくなりそうだが。
「わかってないな。魔王軍って言ったって魔王様が指示しないと動けない。傘下の軍があれば、個人の指示1本ですぐに動ける」
「なるほど。魔王様が指示する前に攻撃されるかもしれないし、すぐ動けたほうが強くなるか」
「そういうこと。スカウト頑張れよ。私も手伝うけど」
「手伝ってくれるのか。ありがとう」
ヴィネスには色々とお世話になる気がする。
「当然だな。でこの後ちょっと魔王様と話があるからちょっと席を外してくれないか?」
なんだろう?まあ素直に従うか。
「了解」
そう言って扉を開け、この部屋の外に出た。
周りをキョロキョロしながら見る。
「絵画とかあって豪華だな…」
魔王様の趣味か?
これは個人的な意見だが魔王様はこういうのが好きそう。質素より豪華。豊臣秀吉のような性格な気がする。
「ちょっと城の中を散策してみるか」
トコトコと歩き出す。
俺はこの世界に来る前なにやってたっけ?と考える。うーん。やっぱり思い出せない。記憶にモヤがかかって思い出せない。思い出せるやつはさっきも考えたがゲームやっている記憶とか普通の常識ぐらいだ。
「ふっ」
笑みを浮かべる。
ゲームか…。兄とゲーム…。兄は今なにしているんだろう?そういえば両親は心配してないだろうか?
そもそも俺はどうやって来たんだっけ?
やっぱ転生の影響?ってやつで記憶が曖昧だ。なんとかしたいんだがな。
「へっへ…芋うめぇー」
「!?」
なんか声が聞こえたのでその方向に顔を向けると…
なんとそこには壁を歩いている俺と同年代ぐらいの男が居た。
「やべぇ。ガスが出る」
するとポッ!と音が鳴った。変な音だった。水素の中に火を入れたときの音みたいな感じだった。
「!」
俺に気付いたようで近づいてくる。
壁を走るってくる様子が妙にホラーでビビった。
「君!今見たよね」
「ああ。あのおならね」
平然を装う。正直やばいやつだと思ったから早く逃げたかった。
「おならじゃない。ガス噴射だ。OK?」
「すまん。気を付ける」
「よろしい」
結構フラットな性格。魔王様に似たのかな?
「君。いいやつだ。君は友達な」
友達?なんかそのフレーズに嫌な感じがする。なぜだろう。前の世界で嫌なことでもあったのか?今は思い出せないからなんとも言えないが。
「僕はウラヌスって言うんだ。君は?」
「ノヴァだ。よろしく」
「1個質問なんだが…」
聞きたいことが1つある。それはどうやって壁に立っているのか。
「どうした?」
「どうやって壁に立っているんだ?」
「ああ。これ?これはね。僕、重力変化スキル持っているからそれで立っているね」
スキルか。俺にもできるかな?
というか重力変化しなくても普通に立たないのかと思ってしまった。
「あ!そうだ芋いる?」
モグモグ。
食べながら言った。
「大丈夫なのか?生で食って」
躊躇ってしまう。だって見たことのない芋なんだもん。芋にしてはピンク過ぎるからだ。規制かけられそうな色だ。
「大丈夫だろ。芽取ってあるし、茹でたし」
「そうか」
なんか自由そうで意外と真面目なところもあるな。
「じゃあもらうわ」
と言ってもらった。
「どうよ」
「おお。うまい」
例えるなら、あり得ないけど山の頂上に長年埋まっているようなやつ食って未知の味がするみたいな感じ。でもそれがまたいいっていうか。食ったことがないものこそ躊躇っちゃうけど、だけどいざ食ってみたらうまいことだってあるし、なんか冒険した気分になる。それがいいと思うんだ。
「だろ?僕が作ったんだぞ」
「ふーん。モグモグ」
農園を持っているって感じなのかな?
「自家製はいいよ。やっぱ農園持っててよかった」
「えー。まじか。モグモグ」
「領土貰ってよかったー。なんかギルドマスターのおっさんに貰ったけどなんでこんないい土地くれたんだろう?」
「そっか。モグモグ」
「聞いてる?」
若干笑ってた。
「いやさ。これうまいから食うのに夢中になってた」
「気に入った?うれしいね。今度農園に招待するよ。それじゃ!」
「あっ!ちょ!」
言葉を返す余裕を与えてくれなく帰ってしまった。
「なんだったんだ?」
マジで嵐のように去ったし、というかウラヌスというやつは幹部なのか?
「そんなところでなにやっているんだ?」
ヴィネスの声が聞こえた。謎の安心感あるわ。
「なんかウラヌスってやつが…」
「ああ。あいつか。どうだった?」
「どうって。芋好きなやつとしか」
「そうか。あいつ一応幹部なんだけどな。でも自由過ぎてほとんど仕事をしないんだ。まったく手を焼いているよ」
「ヴィネスも大変だね」
「そういうことだ。だから——」
溜めている。
「だから?」
「抱きしめさせろ!」
すると反論を許さずにギューと抱き着いてきた。
「おっおい」
声を出そうとするが抱きしめられているから声が出しずらい。
「いいわ。これ。定期的にやるから」
定期的だと?羞恥心はないのか?俺、めっちゃ恥ずかしいと思うんだが。
「ぎゅー」
これは楽しんでいる顔だ。そんな顔だがなぜか可愛いと思ってしまった。
「!?」
今気づいた。めっちゃいい匂いするんだが。嗅いだことない花の匂いがするが不思議と落ち着く匂い。
「どう?いいでしょ」
「う…うん」
やっぱり恥ずかしさとかないのか?
「お!顔赤いぞ。なんでだ?」
ニヤニヤすんなって。絶対わかってんだろ。あなたのせいです!
「なんでもねぇーよ」
照れ隠し的になってしまった。
「なんでもないよね?ニヤッ!」
「本当になんでもないから。それにニヤニヤしないでくれ」
「はッ!顔に出てたか!まあいいや。さてこれぐらいにして」
やっと離してくれたがなんだかその抱きしめられた時間悪くなかった気がした。
それから1日が経ち、俺は魔王様に呼ばれていた。
「入ります」
「よく来たね。1日ぶりだね」
「ええ。で御用というのは?」
急かすように言った。
「ああ。そうそう。国を任せる件なんだが——」
そのことでなんか問題があったのかな?
「はい…」
「明日からやってもらう」
「え?明日?準備出来てないですよ。どこに行くかもわからないし」
そうなのだ。何も聞かされてないのだ。どんな国なのかとか。
「そっか。何も言ってなかったね。今から説明するから。明日からよろしくね」
説明されても明日からってのはマジで準備できてない。
「まず、任せる国なんだがガナギャワ王国だ」
そう言われてもピンと来ないんだが。なにしろ俺はこの世界に来て2日しか経ってないのだから。
「そのガナギャワ王国は私の持っている領土の国なんだが、その王国は王が不在でな。国を動かそうにも動かせないんだ。だから王になってもらって国を任せたいんだが」
「それはもう覚悟は決まってんですけど。そのガナギャワ王国ってどんな感じの国なんですか?」
「そうだな…。面積はかなりあって、だがそんなに街とかは発展していないんだ」
「そうですか。人口はどのぐらいですか?」
「人口は920万人くらいだな」
面積はかなりあるんだったら少ないほうだな。
「なるほど」
「どうだ?明日からやっていけそうか?」
「心配しなくても大丈夫です。任せてください」
そう言って国を動かす第一歩が始まった。
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