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第八三話 今までここまで
屋敷の庭。午後の光。
メルがユウの傷を見て泣いた後、少し落ち着く。
アレンがにやりと笑いながら近づく。
「お前、見せてやろうか?」
メルは驚く。
「え……?」
アレンは片腕をまくり上げる。
そこには大きく切り裂かれたような傷。
数年前、ユウとの戦いで受けた大鎌の傷跡。
メルの目が見開く。
「えっ……!」
アレンは肩をすくめ、少し苦笑い。
「治療魔法でも治せない。刃が通ったとき死んだと思ったわ」
ユウが後ろでむぅ、と顔を赤らめる。
普段の冷徹さと強さの影に、少しだけ恥ずかしさが混ざる。
メルは涙ぐむ。
「……ユウさん、こんな……!」
アレンは肩を叩く。
「戦いは命懸けだからな。でも、こうして無事に生きている」
ユウは影を少し膨らませ、警戒しつつも目だけで合図する。
「……お前、余計な心配は……」
メルは小さく息をつき、俯きながらも手を合わせる。
「でも……守りたいな……!」
アレンはにやりと笑う。
「その気持ち、よく分かるぞ。俺も同じだ」
傷跡の上に手を置き、軽く力を抜く。
ユウはむぅ、と唇を尖らせながらも、影の奥で少し柔らかい表情。
庭には光と影、痛みと絆。
影の王ユウ、光の王アレン、そして泣き笑いのメル。




