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光と影が交わる一点  作者: 柳瀬 鯨
贖罪
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第七六話 均衡

即位から一月。


王都はまだ傷だらけだ。


食料不足。


崩れた橋。


魔物の流入。


リアナは政務に追われている。


民の嘆願は止まらない。


そして。


動いたのは、玉座ではない二人だった。


■ 影の軍団


夜。


崩れた倉庫街。


盗賊団が支援物資を狙う。


闇が濃くなる。


地面から、影が立ち上がる。


人型。


無音。


無表情。


ユウの影の軍団。


「囲め」


一言。


影が散る。


盗賊が剣を抜く。


だが、斬れない。


刃は影をすり抜ける。


足元から拘束。


影の鎖。


「殺すな」


影は首を落とさない。


気絶させるだけ。


翌朝。


盗賊は縛られたまま衛兵の前。


被害なし。


噂が広がる。


“夜に黒い兵が出る”


“影の王が守っている”


ユウは表に出ない。


ただ、被害を減らす。


■ 影の再建


崩れた橋。


人手不足。


ユウが手をかざす。


影が柱の形を取り、仮設支柱となる。


完全な物質ではない。


だが、十分に支える。


「応急処置だ」


職人が驚く。


「こんな使い方が……」


影は破壊だけではない。


支えることもできる。


ルカが隣で風を流す。


粉塵を払う。


「俺も役に立ってる……?」


「立ってる」


ユウは短く言う。


ルカの風が、少し強くなる。


■ 光の王


一方。


郊外。


疫病が発生。


アレンが現れる。


王冠はつけていない。


「道あけろ」


光が、溢れる。


彼の能力は純粋な“光”。


破壊にも使える。


だが今は違う。


光が熱を帯び、空気を浄化する。


汚染を焼き払う。


「……あっちも」


医師が指差す。


アレンは舌打ちしながらも走る。


「王がそんなことを……」


誰かが呟く。


アレンが振り返る。


「王だからやんだよ」


光が広がる。


病原を削り、菌を滅ぼす。


完全な治癒ではない。


だが、致死率を一気に下げる。


リアナが到着し、治療を引き継ぐ。


光と癒し。


夜。


アレンは座り込む。


「魔力、減ると腹減るな……」


ユウが現れる。


「無理するな」


「お前もな」


短い会話。


二人は並んで街を見る。


影の兵が巡回し。


遠くで光が灯る。


民は言う。


「王が働いている」


「守られている」


支持率は上がる。


安心が広がる。


地下。


静影教。


報告が入る。


「影の軍団が盗賊を制圧」


「光の王が疫病を抑制」


ボスは静かに聞く。


「理想的だ」


カイが目を閉じる。


「均衡してる」


「でも……」


「揺れる日が来る」


ボスは燭台を見る。


複製した炎と、本物の炎。


「影が民を守るなら」


「神は不要かもしれない」


だが。


思想は消えていない。


民の中には、こう言う者もいる。


「やはり影の王が真の守護者だ」


「光は表、影は本質」


象徴は、再び形を持ち始める。


ユウは夜空を見る。


(俺は、ただの戦力でいい)

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