第六四話 戦い
大地は抉れ。
空は裂け。
影と光が、なおも激突している。
だが。
そこに殺意はなかった。
ユウが笑う。
血を流しながら。
「最高だな、アレン」
アレンが光剣を振り抜く。
影炎を弾き飛ばしながら。
「やっと本気でやれる」
再び衝突。
轟音。
衝撃波。
だが、どこか楽しげだ。
地上。
少し離れた場所。
レオンは立っている。
リアナに支えられながら。
氷は静か。
もう荒れ狂っていない。
「止めなくて、いいのですか?」
リアナが小さく問う。
レオンは、首を振る。
「今は……邪魔だ」
空中。
ユウが影へ沈み、アレンの背後へ。
だが。
アレンは振り向かない。
光を足場に、逆方向へ跳ぶ。
読んでいる。
ユウの大鎌と、アレンの光剣が十字にぶつかる。
火花ではない。
黒と白の閃光。
「昔より速いな」
ユウ。
「お前が遅くなったんじゃないか?」
アレン。
笑い合う。
地面へ着地。
同時に踏み込む。
影の連撃。
光の連撃。
刃が交錯し、何十、何百と打ち合う。
レオンの瞳が細まる。
互角。
完全な。
「……あいつらは」
レオンが呟く。
「ずっと、ああだったんですか?」
リアナ。
「子供の頃からな」
レオンの脳裏に、過去がよぎる。
木剣。
泥だらけ。
夕焼け。
勝ち負けではなかった。
強くなることが楽しかった。
今も、同じだ。
ユウが影魔法を展開。
無数の黒刃が空を覆う。
アレンが光を爆ぜさせる。
光柱がそれを貫く。
衝撃。
だが、二人とも笑っている。
「もっと来い!」
ユウが吠える。
「言われなくても!」
アレンが応える。
親友。
敵であり。
理解者であり。
同じ高みを目指す者。
レオンは観戦する。
氷の支配者としてではなく。
一人の友として。
「……楽しそうだな」
リアナが微笑む。
「はい」
空で、二人が再び激突する。
今度は拳。
刃を離し、殴り合う。
血が飛ぶ。
笑う。
影炎と光翼が絡み合いながら、空中で弾き飛び、同時に地面へ着地。
互いに息が荒い。
だが、目は輝いている。
ユウが言う。
「決めるか?」
アレンが笑う。
「ああ」




